題名 |
公開日 |
人数(男:女) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(3)~そよ風と豚と白狼と~
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2014/06/27 |
3(2:1) |
30分 |
素敵な夢を持つ人はね、綺麗な心のまま夢を叶えなきゃきっと苦しむんだ。
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ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア
(26)
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♀ |
記憶を無くした金髪碧眼の美女。
大人な女性の役です。
包容力に期待。 |
ヴェイン
(64)
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♂ |
落ちぶれた海賊。
乱暴で豪快な老人です。
ヤクザみたいに演じてください。 |
プーデット
(21)
|
♂ |
不思議系の純情少年です。
道化役。
一番難しい役かもしれません。 |
「風のシルヴィア(3)~そよ風と豚と白狼と~」
無人島に漂流した3人の平和でのほほんとした話です。
悪役も居なければ誰も死にません。
口調の改変等はご自由になさってください。
( 無人島 )( 古い難破船の佇む海岸 )( SE:出来れば波の音 )
シル:やれやれ…暇だな。
海と空以外見るべきものが無い。
ヴェ: ……他に見たいものでもあるってのか?
目の前には偉大な海、
横には絶世の美女。
俺にはどっちも捨てがたい財宝だ。
シル:そうだろうか…?
私は貴様のような老いぼれの海賊など必要無いぞ?
ヴェ:……おめぇ自覚無しに他人から嫌われること多くねえか?
だからこんな無人島へ島流しにされちまったんだろ。
シル:偶々乗った船が嵐で座礁したんだ。
生き残ったのは私ともう一人だけだよ。
ヴェ:臆病風に吹かれた奴らは皆死んじまったって訳か。
シル:あそこに佇む難破船の連中も全滅したのか?
ヴェ:ああ。
流行病でな。
…もう一人はどこにいったんだ?
シル:プーデットか。
飢え死にだけは嫌だって食料を探してるよ。
プー:プヒィ…。
プヒィ…。
お腹減ったでプー。
ヴェ:なんだありゃあ?
保存食か?
プー:あっ…カモメ。
美味しそう…プププッ。
シル:中々に愉快な奴だぞ。
ぷってりとしているから嵐にも良く浮いたしな。
プー:カモメさん…カモメさん…。
こっちにおいでぇ。
一緒に遊ぶプー。
ヴェ:哀れなもんだ。
ウミドリ程船乗りにとって身近で遠い獲物は無いってのによ。
余計な体力を使って野垂れ死ぬのが関の山だぜ。
シル:( 被せるように )おいプーデット!!
カモメを捕えるなら石を投げろ!!
…ふんっ!!
プー:プヒィィ!?
カモメが獲れたでプー!!
ヴェ:馬鹿な…。
プー:ありがとうでプー!!
シルヴィアさん!!
シル:獲物を持ってこい。
それでこの爺様への挨拶としよう。
プー:プヒッ、プヒッ、プヒッ!!
ヴェ:ハッハァ!!
面白い奴等じゃねえか。
太っちょの間抜けがプーデットで、
美人の馬鹿力がシルヴィアってのか。
シル:御老体の名前は?
ヴェ:マーソルド・ヴェインだ。
知ってるか?
シル:私は記憶喪失だ。
ウェ:なんでぇそうなのか。
そいつは名乗り甲斐が無いこったなぁ。
プー:プゥ…プゥ…。
ヴェ:おいプー公!!
プー:プェッ!?
なっ、何でプー?
ヴェ:『死神』ヴェインって知ってるか!?
プー:ああ、手下のラウザに裏切られて島流しにされたチンケな海賊でプゥ。
ヴェ: …フハハ。
プー:今じゃその海賊団は飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍してるらしいでプよ?
よっぽど才能が無い船長だったんでプね。
ヴェ:ハッハァ!!
ハーハッハッハ!!
プー:『伊達男』のラウザ船長の口癖でプゥ。
ヴェインと言う古臭い心臓を変えたおかげで血の巡りが良くなったって!!
プップップッ!!
ヴェ:( 被せる )そうかそうか…それならそうと早く言えってんだ。
プー:プヘッ!?
ヴェ:死にたいなら望みどおりにしてやる。
シル:止めておけ。
無頼漢が。
ヴェ:うるせぇ!!
その心臓が血を欲しがってるって言ってるんだよ!!
プー:プヒィィィ!!?
……プ?
ヴェ:て、てめぇ……。
シル:手入れもしないまま数多の血を吸い続けた凶剣か。
お前の人生そのままだな。
…マーソルド・ヴェイン。
プー:プヒッ!?
こっ、この爺様が本物のヴェイン!?
プッ、プヒィィィィ!!( 逃げ出す )
ヴェ: ……俺も衰えたもんだ。
かつては13隻の大船団を指図した、
アイゼフィールの『死神』が……。
シル:さぞや無念だろうな。
財宝の為に青春を捨ててきた男が部下に見捨てられ、
こんな小娘にあしらわれてしまってはな。
ヴェ:( 自嘲 )だけどな、
俺は後悔なんざ一度もしてねえ。
シル:なら良かったよ。
ヴェ:あの豚はああ言ってたがよ、
俺は確かに海賊として今まで生き延びてきたんだ。
誇りと勇気を忘れずにな。
シル:立派な事じゃないか。
……皮肉じゃないぞ?
ヴェ:どっちでも構わねえさ。
傍目には息子と信じた部下に裏切られた無様な男に違いねえ。
シル:( 愉快そうに )だが後悔はしていない。
それが一流の海賊なのだろう?
ヴェ:そりゃそうだ!!
海賊ってのは詰まる所夢を売る仕事なんだ!!
シル:夢…か。
ヴェ:応ともよ!!
俺の末路にしたって、
これはこれで伝説の一つになる筈さ。
シル:本当に不思議な物だな。
確かに忌み嫌う筈の海賊だが、
我々は彼らの心が躍る冒険譚を何時だって待ち焦がれた。
ヴェ:誰だって自由に憧れるもんだ。
こんな国に育った以上はな、
誰だって暴力と権力を手に入れたがるのさ。
シル:満たされぬ若者に夢を与える仕事…か。
ヴェ:どうだシルヴィア!?
俺に協力すれば、天測器だの海図だのの見方を教えてやるぜ?
シル:ふふ……。
生き延びるつもりなのか?
ヴェ:ああ!!
俺独りじゃどうにもならねえが、
お前等が居るなら話は別だ。
シル:船…か?
ヴェ:材料なら揃ってる。
あそこの難破船を解体してボートを作ればいいんだ。
シル:それは面白そうだ。
夢と好奇の心こそ人生の友とすべし!
ってところかな。
ヴェ:ハッハァ!!
やっぱり良い女だぜお前は。
プー:シ、シルヴィアさぁん!!
向こうの茂みに巨大なモンスターが居たんだプゥゥゥ!!
シル:さっそく獲物か。
食料には困らなそうだな。
ヴェ:おぉうプー公!!
もう怒っちゃいねえからこっちに来な!!
プー: ……プッ?
ヴェ:おめぇ海賊にならねえか?
プー:プ?
悪い事するプ?
ヴェ:ああ悪い事だ。
だけど大したことじゃねえ。
みぃんな誰かを蹴落として生き延びてんだからな。
プー:プー。
シルヴィアさんは?
シル:この島から出るまでは海賊でいるよ。
その後はまた、
私なりの旅に出るさ。
プー:じゃあ僕もこの島から出るまでプー。
僕もやりたいことがあるんでプー。
ヴェ:ハッハァ!!
正直な奴らよ!!
だからこそ信望に値するんだ!!
プー:ムギュウウウウ!?
親父臭いプゥ!!
シル:( 溜息 )暑苦しいな。
色々と。
ヴェ:良いかッ!?
お前等だけは俺を裏切るんじゃねえぞ!!
絶対に俺を信じるんだ!!
プー:意味わかんないプー。
ヴェ:さあ獲物を獲ってこいシルヴィア!!
今宵は宴だ!!
新人を迎えるには宴を開かにゃあならん!!
シル:サー、キャプテン。
……ん?
無人島に酒があるのか?
ヴェ:俺は海賊だぜ?
酒と肉が無きゃ死んじまうよ。
( 間 )( 星空の宴会場 )( SE:出来れば虫の声と薪が燃える音 )
三人:( 笑い )( このシーンは各々酔っ払いの演技をして下さい )
ヴェ:ハッハァ!!
イケる口じゃねえかプー公。
プー:美味しいでプゥ船長。
これが海賊のラム酒って奴でプね?
シル:確かに、掛け値なしのラム酒だな。
ヴェ:おお、どんどん飲めッ!!
海賊稼業を続けて40年、
いつしかてめぇで作った酒をてめぇで振る舞うのが俺の趣味になった。
プー:美味しいプゥ、美味しいプゥ。
涙が出てきたプゥ。
ヴェ:そうだ垂れ流せッ!!
海の上じゃ何時敵に襲われるか判んねえんだ!!
一気に酔って一気に醒めなきゃ生き延びれねぇぞ!!
プー:プー!!
( 可能であれば鼻歌を歌いながらフェードアウトしてください )
シル:良い夜だ。
礼を言うよヴェイン船長。
ヴェ:ハッハァ!!
本当に気持ちが良いや。
独り酒程寝つきの悪いものは無ぇからな。
シル:( 扇情的に )夢の様だろう?
目の前に居る良い女を口説きたいとは思わないのかい?
ヴェ:うぉうおっかねえ!!
命がいくつあっても足りやしねえ!!
シル:あははっ!!
…失礼な奴だ。
ヴェ:ラウザの野郎と違って俺は紳士だからな。
シル:ラウザ…?
ああ、お前を島流しにした裏切り者か。
ヴェ:あの野郎は駄目だ。
見かけ倒しの小心者。
間抜け、腰抜け、女垂らし。
シル:だがお…船長は、
そのろくでなしを息子と信じたんだ。
ヴェ:ああ、人懐っこくてなぁ。
どれだけ失敗しても赦しちまう何かがあった。
シル:今でも大事なのか?
ヴェ:どうだろうなぁ。
あいつの胸板にカトラスを叩き込むまでは解らねえよ。
俺に人の血が残っているなら…。
少しは涙が流れるはずだが……。
シル:『誰かの為に振るえる刃を持つ人間は幸せ』…か。
ヴェ:ああ?
シル:そういう考え方もあるということだよ。
ヴェイン船長。
ヴェ:ハッ!!
俺から言わせりゃあな、
『誰でも良いからぶっ殺して奪えりゃ幸福』だ。
女もさらえりゃあ尚始末が良いや。
シル:きっとまともに口説いた方が気持ちが良いよ?
ヴェ:俺は仲間に手は出さねえ。
シル:アハハッ!!
爺さんなのに子供みたいだな。
ヴェ:うるせぇ黙れってんだ小娘が!!
口喧嘩なら首だけにしてから相手をしてやるぜ!!
プー:( イビキ )
ヴェ: ……この豚が。
シル:プーデットも寝たことだしお開きとしよう。
明日も船を作らなきゃいけないんだ。
ヴェ:ケッ!!
勝手に寝ろってんだ!!
俺は飲むぜ!!
年寄り扱いにガキ扱いもされて寝られるかってんだ!!
( 間 )( 照りつけられた渚 )
プー:船長―…疲れたでプゥ。
…船作るの。
ヴェ:ふぁぁぁ…ん?
頑張れ。
プー:どのくらい頑張るんでプか?
ヴェ:俺を信じろ。
今日中には完成させるさ。
プー: …プゥゥゥ。
毎日そう言ってるプー。
ちょっと休むプー。
ヴェ:なんでぇ、根性がねえ野郎だなあ。
立てよ!!
立ちやがれってんだ!!
プー:無理プー。
ヴェ:今頃女のシルヴィアはなぁ!
食料を獲るためにモンスターと戦ってるんだ!!
てめえが情けないとは思わねえのか!?
プー:プゥ。
情けないプー。
ヴェ: ……おめぇ、
一体何の取り得があるんだ?
プー:自分でも良く解らないプー。
でも僕は自分の選んだ道に後悔はしてないプー。
ヴェ:いっちょうまえに…。
プー:僕の家は奴隷商の家だプー。
おかげで僕は何不自由なく育って来たでプー。
ヴェ:道理で無駄に肥えてる訳だ。
プー:だけど僕の友達になる子は皆ガリガリになって死んでいったでプゥ。
男の子も女の子も。
働いて働いて。
皆最後は僕を恨んで死んでいったプー。
ヴェ:へぇ、そうかい。
プー:皆は僕の事が好きなんじゃなくて、
生きるために僕の友達になってたんでプー。
それに気づいたとき、
僕は何もかもが嫌になったでプー。
ヴェ:プー公。
…そりゃあ、夢物語だぜ。
そう言う奴はみぃんな現実が見えずに、
敗北者になるんだ
プー:それでも僕は皆が好きなんだプゥ。
だから夢を描いたんでプー。
ヴェ:…言ってみな。
プー:海の見える丘でレストランを開くんでプゥ。
美味しいものを皆で食べるんでプゥ。
薄利多売でプゥ。
ヴェ:お前らしいじゃねえか。
プー:皆を僕と同じくらい太っちょにするプー。
まずは料理を覚えるんでプー。
ヴェ:ああ…頑張れ。
プー:プゥ…。
頑張るプゥ。
ヴェ:なあ、プー公。
プー:プー?
ヴェ:星の読み方を教えてやるよ。
俺の言うとおりに船を動かせば、
島に突き当たる筈だ。
……そこなら人も居るだろう。
プー: ???
なんで教えてくれるプゥ?
シル:( 遠くから )おーい船長!!
獲物はこれくらいで良いか?
プー: ……シルヴィアさん、
モンスター以上にモンスターしてるプー。
ヴェ:( じっくりと )おめぇの夢が宝物みてぇだったからさ。
( 間 )( 満月の宴会場 )( SE:出来れば虫の声と火の焼ける音 )
三人:( 笑い )( このシーンは各々酔っ払いの演技をして下さい )
プー:プッハァ!!
酒が美味しいプー!!
やっと船が完成したプー!!
ヴェ:ハッハァ!!
これでこの島ともおさらばだぜ!!
( 飲む )明日には出航だ!!
シル:ふふっ。
長いようであっという間だったな。
ヴェ:お前等のおかげだぜ。
ありがとよ。
シル:良いよ。
大したことはしていない。
プー:美味しいプゥ、美味しいプゥ。
ヴェイン船長の酒は最高だプゥ。
ヴェ:ああ、何時かおめぇの店が出来たらな、
うんと安値で売ってやるよ。
ついでに俺のクルー総出で遊びに行ってやる。
シル:あはは!
それではあっという間に店仕舞いになりそうだな!!
プー:楽しみだプゥ。
皆をもてなすプゥ。
これからの僕はそうやって生きていくんだプゥ。
シル:素敵じゃないかプーデット。
( 明るく )私もどうにかしないとなぁ。
ヴェ:そういやシル、
おめえは何で旅をしてるんでぇ?
シル:さぁ?
失った記憶を取り戻すためか、
プーデットの様に自分のやりたい事を探すためか。
ヴェ:俺はおめぇの話が聞きてぇなぁ。
何か一つ位は思い出があるんだろう?
プー:プー。
興味あるプー。
シル:ああ…。
あると言えばあるが…。
プー:わくわく。
シル:私が自分の名前を覚えたきっかけだ。
楽しい話じゃないがそれでもいいか?
( 間 )
シル: ……その少年は私に名前を教えて死んだよ。
ロミオ・ジュピトリアと言う素敵な名前を持った人だった。
プー:プゥ…ロミオ君死んじゃったプゥ。
悲しいプー。
ヴェ: ……待てシルヴィア。
そのガキは確かにロミオ・ジュピトリアと名乗ったんだな?
シル:ああ。
自分の名前をとても大事にしていた子だった。
命を懸けて私を守ってくれた小さな英雄だよ。
ヴェ:ロミオ…シルヴィア…。
ひょっとしてお前…。
シル: ……私の事を何か知っているのか?
ヴェ:俺の船にお前等の知り合いが乗っていたよ。
海の様に深く蒼い髪をそよがせた良い女だった。
シル: …どうしてこの場で話してくれないんだ?
ヴェ:どうしても知りたきゃ海賊島に行きな。
ラウザの野郎に愛想がついて無けりゃあ、
あの女はまだ船に乗ってるはずだぜ。
プー:僕に教えてくれた島プ?
ヴェ:俺の言った通りに進むんだ。
それから先は好きに生きな…プー公。
……やれやれ。
……ちょいと…酔ったな。
プー:船長疲れたプー?
寝るプー?
ヴェ:ああ…もう寝るぜ…。
爺さんになって初めて解った…。
俺は…誰かの為に…一度だけでも…。
シル: ……。
ヴェ:じゃあな…シルヴィア。
プーデット。
…上手くやれよ。
( 間 )
ヴェ:( イビキ )。
プー:プ?
本当に寝たプ?
シル:そのようだな。
毛布をかけてやらないと。
プー:今プ。
二人で逃げるプ。
シル: ……え?
プー:きっとこいつは僕らを裏切るプー。
一秒でも一緒に居たくないプー。
ヴェ:( イビキ )
シル: ……なあプーデット。
この人はそんなに悪い人なのだろうか?
プー:プー!!
人殺しの屑の 海賊だプー!
シル:プー。
こっちへおいで?
プー:プ?
シル:( 抱きしめる )……よしよし。
プー:な、何するんでプー!?
シル:プーは今まで本当に頑張って来たよ。
どんなに辛くても自分の夢の為に耐えてきたんだ。
プー:プー。
シル:でもね?
夢の為に誰かを犠牲にするなんて考えは間違ってるよ。
プー:それはシルヴィアさんやこいつが恵まれてるからだプー!!
シル:恵まれている?
プー:そうだプー!
魅力的だし才能があるし技術があるし!!
僕みたいな只の太っちょは誰かを傷つけなきゃ生きていけないんでプー!!
シル:それはプーの夢と矛盾している事だよ?
プー:だって僕は何にも持ってないプー!
だのに皆は僕を利用するだけ利用して!!
僕だって人間だプー!!
シル:だから何が何でも生きるのか?
プー: ……。
シル:もしも誰かを裏切ったり傷つけたりしたら、
もう二度と後戻りはできなくなるんだよ?
プー:シルヴィアさんも戻れないプ?
シル:そうだよ。
失って初めて気付くんだ。
だから今こうやってプーに話してるんだよ。
プー:でもシルヴィアさんは綺麗だプー。
シル:ふふっ。
……ありがとう。
プー:僕はそっちにいっちゃ駄目なんだプ?
シル:駄目だよ。
素敵な夢を持つ人はね、
綺麗な心のまま夢を叶えなきゃきっと苦しむんだ。
プー:そしたらまた…。
僕は裏切られるかもしれないプー。
シル:( 嬉しそうに )そしたらまた、
私がこうして抱きしめてやるよ。
何時でも逢いに来ればいい。
プー: ……じゃあその時は逢いに行くプー。
シル:ふふ。
それにほら、
この人を良く見てみろ。
ヴェ:( イビキ )。
シル:怖がるほどの事か?
プー:プー。
ただの爺さんでプ。
シル:誰だってそういう者さ。
プー:プププッ!
解ったプー。
シルヴィアさんを信じるプー。
シル:ふふ。
……もう寝ようよ。
プーデット。
プー:プー。
寝るプー。
( 間 )( 出航の朝 )
ヴェ:ふぁぁ…良く寝たぜ。
……ああ!?
なんでぇ、お前等?
シル:ふふっ。
…何か?
ヴェ:馬鹿野郎共が。
そのまんま行っちまえば良かったのによ。
……馬鹿だぜほんとに。
プー:誰も傷つけないって決めたプー。
シル:大事な処女航海だ。
船長が居なくては話にならないだろう?
ヴェ:この老いぼれが必要だってのか?
プー:必要だプー。
船長にも幸せになって欲しいプー。
ヴェ:ハッハァ!!
いっちょうまえにこの野郎!!
シル:裏切られるのが怖いのは皆同じだよ。
だけど自棄になるのは話が違うさ。
ヴェ:ああ…そうだな。
確かにそうかも知れねえ。
今ならまた、
真っ新な夢が見られるかも知れねえな。
シル:行こう!
船長。
プー:行くプー船長。
ヴェ:行くぜ野郎共!!
海賊島へ出航だ!!
二人:おお!!
プー!!
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