題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(5)~かまいたちの獣~
|
2014/07/19 |
5(3:1:1) |
25分 |
父上が居なければ何一つ手に入れる事は出来なかった筈ですから。 |
ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア
(24)
|
♀ |
傭兵団の隊長を務める金髪碧眼の美女。
強さを追い求める涼やかな女性です。
堂々と良い女を演じてください。
|
ミシェル
(15)
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不問 |
実質的な主人公です。
英雄の血筋の美少年。
可哀そうな子です。 |
団長(28)
村人(不詳)
|
♂ |
兼ね役です。
団長はシルヴィアの上司のダンディーな偉い人です。
村人は最後にちょびっと出てきます。 |
ロミオ
(17) |
♂ |
2話目で死んでる人です。
気さくな盗賊って感じで演じてください。
シルヴィアの部下で彼女に恋してます。 |
カミュ(40)
兵士(不詳) |
♂ |
カミュはミシェルの父親で悪役です。
予想以上の屑ですが頑張ってください。
兵士は最初にちょこっと出てきます。 |
「風のシルヴィア(5)~かまいたちの獣~」
ミシェルという少年の周りで起こった出来事です。
100%悲劇ですのでご注意ください。
中世ヨーロッパ風のファンタジーです
( エルツィ傭兵団:兵舎 )
兵士:おい、聞いたかよ?
今度の新入団員の話。
ロミ:ええ、マジかって話っすよね。
名門フィーバストルテの御曹司が入団するなんて。
兵士:一体何のメリットがあるってんだ?
アイゼフィール軍で一番待遇悪い、
エルツィ傭兵団なんかに入ってよ。
ロミ:そ、その台詞は先輩からは聴きたく無かったっすけど。
……本当に何のつもりなんすかねぇ、
あの美少年。
団長:ようこそ我がエルツィ傭兵団へ。
ミシェル・フォン・フィーバストルテ殿。
ミシ:随分と手荒い歓迎ですね。
ここにたどり着くまでに20人は斬り倒しました。
団長:そうは言ってもな…。
やはり連綿と続く四騎士の血筋の者と聞くと血が騒ぐものさ。
俺達は荒くれ者揃いだからな。
ミシ:ならば便宜を図ってください。
このまま怪我人が増えてもメリットは一つもない。
団長:と、いうと?
ミシ:この傭兵団で最も剣技に秀でた人物と戦わせていただきたい。
その方を完膚無きまでに叩き伏せれば、
私の実力も知らしめられましょう?
団長:と、なると…( 目線を配る )。
シル:( 笑顔 )当然私でしょうね!
ロミ:シルヴィア姐さん!!
…何時からそこに?
シル:団長に立ち会えと言われたからにはそうせざるを得ません!!
ええ、仕方のない事ですとも!!
ロミ:こ、こんな笑顔の姐さん初めて見たッす。
ミシ:正気ですか?
この私に女人と立ち会えと?
団長:そう言わずにシルヴィアと遊んでやってくれないか?
四騎士と戦うって夢が図らずも叶ったんだ。
ミシ:解らないな。
私を恐れているのか侮っているのか。
団長:一番隊隊長シルヴィア・シルフィードだ。
掛け値無しにうちが出せる最高の剣士だよ。
シル:ミシェル殿、
是非ッ!!
ミシ:うっ!?
シル:是非ッッ!!!
ミシ:くぅ…!?
( 間 )( 闘技場:観覧席 )
ロミ:( 大声 )さぁーさぁー賭けるっす!!
四騎士の一人とうちの一番隊隊長の一騎討ちっすよ!?
どっちが勝っても可笑しくないっす!!
兵士:そんなこと言ってロミオォ!!
お前どうせ姐さんに賭けてるんだろう!?
ロミ:あったり前っすよ!!
シルヴィア隊長があんな美少年に負ける訳が無いっす!!
団長:こりゃあ結構な歓迎会になったもんだな。
ロミ:( 勢いよく )ところで団長!!
『四騎士』って何なんすか!?
団長:おおっ、己の無知をさらけだす勇気!!
嫌いでは無いぞロミオ君!!
ロミ:うっす!!
団長:四騎士というのは二組居てな。
俺達の国、アイゼフィールを建国した『ディオールの四騎士』と、
アイゼフィールの前の国から続く『古き国の四騎士』が居るんだ。
ロミ:竜騎士シルヴィア…でしたっけ?
団長:それは『ディオールの四騎士』の方だな。
フィーバストルテは、
『古き国の四騎士』の方だ。
ロミ:血統書付きの本物って訳っすね。
姐さんが憧れるわけだ。
団長:あの美少年を甘く見るのは、
無知と呼ばれても仕方のない事だぞ?
ロミ: ……あれがねぇ。
( 間 )( 闘技場:舞台 )( 出来れば喧騒のSE )
ミシ:それではシルヴィア殿。
満員御礼)の様ですのでどこからでも。
シル:胸を借りるつもりで挑ませていただきます。
ミシェル・フォン・フィーバストルテ殿。
ミシ:ふふ…。
随分と我が家名に憧れを抱いてこられたようだ。
そうなると貴女の名の由来にも想像がつきますね。
シル:総てを語るには胸が一杯でどうしようもありません。
ミシ:積もる話は刃で語るとしましょう。
我々は騎士なのですから。
シル:( 息を整える )。
( 静寂 )
シル:ハァァァ!!
ロミ:( 早口 )速い!
姐さんの得意技!!
バスタードソードの大上段っす!
団長:受ければ刀身ごと真っ二つだ。
だがシルヴィアの怪力を一目で見抜ける奴は居ない。
ミシ:くっ…これは…!?
ふんっ!!
( 出来れば剣の弾かれるSE )
シル:――――なっ!?
馬鹿なっ!!
ロミ:そんなっ!?
何処狙ってるっすか姐さん!?
団長:ほう。
あの細身でシルヴィアの一撃をさばきやがった。
シル:パリィ…!!
私の呼吸を見切り剣筋を反らしたのですか?
ミシ:こちらこそ驚きました。
まさかその美貌でこれ程の剛力を秘めているとはね。
シル: ……止めを刺さないのですか?
ミシ:おや、
もう終わりにしたいので?
シル:くっ…もう一番!!
ミシ:クスッ…どうぞ御随意に。
( 間 )( 出来れば剣劇のSE )
ロミ:すっげぇ…あの姐さんがまるで子ども扱いっす。
団長:フィーバストルテは『王の剣(つるぎ)』の異名を取る程の名家だ。
その男児に産まれたからには想像を絶する鍛練が施されると聞く。
ロミ:勝って当たり前ってやつっすか?
団長:その筈なんだが…奴さんちと若いな。
ミシ:( 荒い息 )。
成程…そういう魂胆でしたか。
シル:( 荒い息 )。
体躯の差ならば…こちらに分がある!!
ミシ:ふっ…。
子ども扱いされているのは一体どちらなんだか。
シル:でやぁぁあああ!!
ミシ:いずれにせよ面白い…!!
ひた向きで純粋な刃は受けていて…!!
楽しい…!!
カミ:( 大声 )其処までだ!!
シル&ミシ: ――ッ!?
カミ:何をしておる団長殿!?
よりにもよって賭け事に我が剣技を用いるとは!!
いささか乱痴気騒ぎが過ぎるのではないか!?
団長:これはこれは…。
カミュ・レーヴ・フィーバストルテ卿。
ロミ:( 小声 )典型的な貴族様っす。
団長:これはあくまで騎士としての嗜みですよ。
見ての通り御子息も満足しておられます。
カミ:ふん!!
たかが雇われ集団の分際で騎士を名乗るとは片腹痛いわ!!
野蛮な太刀筋の通り無様な生き恥を晒すのみではないか?
ミシ:父上!!
それでは余りに言葉が過ぎます!!
カミ:黙れぃ!!
貴様それでもフィーバストルテの後継か!?
小娘相手に息を上げおって情けないにも程があろうぞ!?
シル:( 不服 )……。
カミ:四騎士ならば英雄としての誇りを損なうな!!
『風の刃』で始末をつけるのだ!!
ミシ:しかしそれでは…!!
カミ:何をためらう!!
下賎の兵士に我々が、
一瞬たりとも苦戦することは許されぬのだ!!
ミシ: …解りました。
シル: ?
ミシ:申し訳ありませぬ。
シルヴィア殿。
シル:水を差されてしまったが、
元よりこの試合はミシェル殿の物だ。
技量も精神も貴方は私の数段上を行く。
せめて全力を以て決着に華を添えましょう!!
カミ:やれいっ…!!
ミシ: ……これにて幕です。
シル:なにっ!?
ロミ:何だぁっ!?
いきなり姐さんの剣が刺身みたいにバラバラに!?
団長:『飛剣陣』。
フィーバストルテに代々伝わる風の加護だよ。
断ち切れぬものは無く、
目視することも適わぬ無敵の刃だ
カミ:クフフフッ!!
そういうことだ!!
我々は何時でもお前達を殺すことが出来るのだよ。
ロミ: …そんなの有りかよ。
カミ:どうかね団長殿?
息子の力量は充分に知らしめることが出来たと思うが、
当然それ相応の地位が与えられるのであろうな?
団長:無論隊長格として迎い入れましょう。
我々にとってもこの上ない戦力です。
しかし―――。
カミ:しかし?
団長:宜しいのですか?
我々は常に戦地で多くの仲間を失います。
御子息の命の保証は出来かねますが――。
ミシ: …シルヴィア殿。
シル:( ぶつぶつ呟く )……。
ミシ:この様な結末になってしまい私も残念です。
いずれ尋常の勝負で決着をつけましょう。
シル:なんと素晴らしい!!
ミシ:えっ?
シル:四騎士の真髄を存分に堪能させて頂きました!
次こそは貴方の技を打ち破って御覧に入れます!!
ミシ:( 微笑み )…敬語など止して下さい。
我々は仲間じゃないですか。
カミ:『あれ』が敗れる事など万が一にもあり得んよ。
曲がりなりにも私の血を引いているのだからな。
団長:曲がりなりにも…ですか?
カミ:貴卿には関係の無い事だ。
団長:まあ御子息は確かにお預かりしましたよ。
それに、安々とは死なせませんので御安心下さい。
カミ:勝手にすれば良い。
精々活躍させてやってくれ。
( 間 )( 夜の執務室 )
団長:ではミシェル君。
隊長の職務は大体こんな感じだ。
ミシ:はぁ…。
覚える事がたくさんあるのですね。
団長:人の上に立つってのはそう言う事だ。
ミシ:( 不安 )……。
団長:突然300人の部下を背負ったんだ。
きついだろうがこなしてもらわなければ困る。
ミシ:申し訳ありません。
あの顛末では、
要らぬ軋轢を産んでしまったでしょうね。
団長:それをどうこうするのも隊長の仕事だろ?
ミシ:まずは一人一人の名前を覚える所から始めてみます。
団長:良い心がけだ。
……これはチクっても構わんが、
君はあの父親とは随分と性格が違うんだな。
ミシ:クスッ…それは本当によく言われます。
僕は顔も性格も母様にそっくりだって。
団長:それならば大層な御麗人に違いないなぁ!
離婚したら是非教えてくれ!
ミシ: ……僕の母さんは亜人と人間との混血だったのです
それを知った父上は僕の目の前で母を殺してしまいました。
団長: ……屑野郎だな。
恨んでないのか?
ミシ:僕は皆が憧れる四騎士の血を受け継ぐことが出来ました。
この剣技も特異な力も贅沢な暮らしも…。
父上が居なければ何一つ手に入れる事は出来なかった筈ですから。
団長:成程…。
感謝することで赦す事にしたのか。
君の母君は立派だったのだな。
ミシ: ……それでは失礼します。
団長:ああ、一つ。
ミシ:何か?
団長:『 僕 』と名乗ってた方が『らしく』見えるぞ?
ミシェル君。
ミシ: ……失礼します。
( 間 )( 夜の闘技場 )( 出来れば剣を振るうSE )
シル:( 荒い息 )。
ロミ:姐さん!!
何時まで闘技場で剣振ってるつもりっすか?
飲みに行くっすよ!!
シル:( 剣を振っている )勝手に…いけッ!!
私はッ!!……忙しいんだッ!!
ロミ:お月様も笑ってるっすよ?
あの四騎士に勝つつもりだなんて。
シル:公言したからにはッ…!!
約束は…果たすッ!!
ロミ:生まれつきの英雄に庶民が勝つのは、
並大抵の事じゃないっす。
シル: ……ふぅ。
工夫がついたぞロミオ!!
ロミ:へいへい付き合いますよ。
何時もの得意技っすね?
シル:( 息を整える )。
……ふんっ!!
ロミ:ひょいっと…ぅおああっ!?
シル:どうだ?
さっきの上段にディレイをかけて薙ぎ払いも加えてみた。
ロミ:お…おぉぅ…。
シル:後は風の刃を如何にかわすかが難しい所だ…。
いっそ腕を囮に蹴りで攻めてみるか…。
いや、剣圧で砂を巻き上げるという手も―――。
ロミ:( 被せる )み、見事と言えば見事っすけど!!
なんか姐さんらしくないっすね。
シル: ―――うん?
ロミ:こういう捻くれた戦法は嫌いじゃ無かったっすか?
あの貴族親父の罵詈雑言にカチンと来たんでしょう?
シル:いっ…良い夜だなぁ。
風が気持ちいい。
ロミ:素直じゃないっすねえ。
ミシ: ……あのぉ。
シル&ロミ:うん?(おっ?)
ロミ:噂をすれば美少年っす。
シル:どうしたミシェル殿?
ミシ:い、家に戻れなくなってしまって。
シルヴィア殿以外に聞ける相手が見当たらなかったものですから。
ロミ:野郎臭い傭兵団の兵舎じゃ寝てられないって訳っすか?
ミシ:父上から用があると呼ばれているだけです!
……貴方が私と寝たいというのであれば話は別ですが?
ロミ:なっ…!?
のぉあにぃ!?
シル:ハハハハ!!
ロミオ、一本取られたな!
ミシ:クスッ…。
シル:そうだミシェル殿。
まだ時間があるのなら三人で飲みに行かないか?
ミシ:いえ…時間ならありますが…飲酒は…。
ロミ:そりゃあ良いや!!
あの親父のせいで碌な歓迎会じゃ無かったっすからね。
シル:あの時私を仲間だと言ってくれたじゃないか。
とっても嬉しかったよ?
ミシ:シルヴィア殿……。
ロミ:行くっすよ美少年!
シル:エルツィ傭兵団へようこそ。
ミシ:皆さん……。
( 間 )( フィーバストルテ宮:主の間 )
カミ:( 話の続きの様に )この度のエルツィ傭兵団潜入は実に見事であった。
四騎士に恥じぬ無双振りで事に当たれたのは一重に我が指導の元、
お前に一流の剣技を授けられたからであろうなぁ。
ミシ:はい。
カミ:いずれお前は団長の座をもつかみ取り、
3,000から成る傭兵団を組織する英雄となるのだ。
そうなれば我々を没落貴族とそしる輩も居なくなる事だろう。
ミシ: 総てはフィーバストルテの栄光の為に。
カミ: ……酒に酔うのも良いが己の立場もわきまえるがいい。
誇りを持たぬ者どもに心を許せば、
いずれ己の誇りをも失うぞ?
ミシ:もう…仲間ですから。
カミ:何?
ミシ:私はあの人達と共に戦地へ赴くのです。
誇りに夢想する父上とは違い、
明日を生き延びる事を夢見る人々と一緒に。
カミ:臭い所か価値観まで押し付けられたか。
やはりお前はあの女に良く似ているな。
ミシ: ……ではこれにて。
結果は追って報告します。
( 間 )( 後日 )
ミシ:( 走りながら )ハァ…ハァ…-ハァ…!!
( 固唾を飲む )父上、失礼します!!
カミ:うむ。
入りなさい。
( 出来ればドアの開くSE )
ミシ:お久しぶりです父上!!
此度の遠征で私の隊は一番槍を果たしました!
カミ:うむ…そうか。
ミシ:団長からも抜群の戦功だったと褒めて頂きました!!
これで部下達にも充分な恩賞を与えることが出来ます!!
カミ:こちらに天秤が傾き始めた…か?
ミシ: ……父上?
カミ:アイゼフィールとベルホストの戦は膠着状態が続いて久しい。
この調子で行けば和睦の日も近かろうな。
ミシ:何を気弱な!!
きっと我々がアイゼフィールを勝利へ導いて見せます!!
期待していてください!!
カミ:傭兵団はどうだ?
お前の格は上がったか?
ミシ:いえ…尊敬できる隊長達についていくだけで精一杯です。
ですが、部下たちに剣技を教え成長させるのはとても楽しいです。
カミ:うむ…?
それはフィーバストルテの剣技か?
ミシ:勿論です!
私は…私に何か一つでも仲間にしてやれることがあって…。
……とても幸福です。
カミ:ミシェルよ…凱旋祝いだ。
父からお前にこの香油を授ける。
ミシ:香油…ですか?
カミ:これから毎晩入浴の後にこれを身体に塗りなさい。
ミシ:酷い臭いです。
まるで野獣の毛皮の様な。
……これを毎晩ですか?
カミ:それはお前の中にある亜人の血を呼び起こす香油だ。
きっと今以上にお前を強くしてくれる事だろう。
ミシ:私にそんな小細工は必要ありません。
カミ:先程お前が言った事だな?
これは確実にベルホストに勝つ為なのだ。
それ以降は塗る必要など無い。
ミシ: ……。
カミ:お前はフィーバストルテの家長であるこの私に逆らうというのか?
ミシ:いえ…。
かしこまりました。
( 間 )( 風の丘 )( 出来れば風のSE )
ロミ:姐さぁん!姐さぁん!?
( フェードアウトしながら )全くどこ行ったんだろ。
用があるときに限って消えちゃうんだからなぁ。
ミシ: ……良い風だ。
まるであの人の様に涼やかで爽やかな――。
シル:おお!!
ここに居たのかミシェル殿。
ミシ: ……ふっ。
シル:隣に座っても良いか?
ミシ:止して下さい。
酷い臭いでしょう?
シル:よいしょっと…。
まあ…そうだな。
ミシ:御蔭で仲間も寄りつきません。
戦場で血潮を浴びてしまえば皆同じ臭いになりますけどね。
シル:臭いだけじゃないだろう。
ミシ:えっ?
シル:顔も性格も随分と変わってきている。
最初はようやく我々の色に染まって…と思ったんだが、
それもどうやら違うらしい。
ミシ:はは…。
シル:私には話せない事か?
ミシ:私は貴女にとって憧れなのでしょう?
何せ誇り高い四騎士なのだから。
シル:じゃあ悩み事か。
……団長が言っていたがな、
ベルホストとの和睦が決まったそうだ。
ミシ:ではこの戦争も終わりですね。
シル:ようやくな。
ミシ:貴女の眼に私はどう映りましたか?
シル:新米の隊長にしては出来過ぎだったかな。
部下を気遣うのも良いが自分の身体も労わってくれ。
ミシ:私はとても幸福でした。
皆さんと一緒に戦えた日々を決して忘れません。
ロミ:( 大声 )姐さぁぁぁん!?
何処居るんすかあぁぁぁ!?
シルヴィア姐さあぁぁぁん!!
シル:( 笑い )もう行くよ。
ロミオがうるさい。
ミシ:シルヴィアさん。
シル:うん?
ミシ: た す 。
シル:た…す…?
ミシ:( 溜息 )いえ……何でもありません。
どうかお元気で。
シル: ?……じゃあな。
( 間 )( 失う場所 )
カミ:ミシェルよ。
いよいよその香油の力を発揮する時が来たぞ?
ミシ:はい……。
カミ:お前にはこれから和睦の交渉に来るベルホスト国王を暗殺してもらう。
ミシ:それは亜人に扮して…ということですか?
カミ:馬鹿を言え!!
あんな薄汚い種族なぞ騙るだにおぞましい!!
手柄の一つもくれてやるものか!!
ミシ: ………ッ!!!
カミ:国王暗殺後はこの秘薬を飲み、
完全なる魔獣と化すのだ。
……良いな?
国王を殺したのはあくまでモンスターの仕業だぞ?
ミシ:私に…この私に……。
英雄でも亜人でも人間ですらも無い…。
自害すら出来ぬモンスターとして孤独に生き続けろと…。
そう仰るのですか…?
カミ:お前がしがない傭兵団の長になるよりも、
こちらの方が早くなってしまったのでな。
ミシ:私は…。
一体……。
カミ:総てはフィーバストルテの栄光の為だ。
お前の遺志はこの父が決して無駄にはせぬ。
ミシ:最後に一つだけお聞かせください。
後はもう……何も問いません。
カミ:良いだろうミシェル。
我が誇り高きフィーバストルテの男よ。
ミシ:確かにフィーバストルテは『王の剣』なのかも知れません。
ですが父上……。
貴方にとって……『 僕 』は一体何だったのですか?
カミ: ………ぬっ!?
ミシ:父上……!!
カミ: ………( アドリブ )。( ※どうしても辛いなら沈黙で結構です )
( 10秒以上沈黙の場合もこのまま続けてください )
ミシ:それが…答えなのですね…。
これで私も心置きなく王の剣と化す事が出来ます。
カミ:もう行きなさい。
英雄とはそういう者なのだから。
( 間 )( ベルホスト:近郊の森 )
村人:で…出たぞぉぉぉぉ!!
『かまいたちの獣』だぁぁぁぁぁ!!
ミシ:グルルルル……!!
村人:ひっ!?
ヒィィィ!!?
来るな来るな来るな―――。
ミシ:グガァァァァァ!!
村人:ヒギャアアアア!?
ミシ:( 咀嚼 )ガフッ…ガフッ………グフゥ!
グルル…!!
グァオォォォォォ!!
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