「風のシルヴィア(6)~ 選択肢…そうか、そういうのもあるのか。 うん…これは良いぞ、 どれを選んでも結末は変わらないって所が気取らなくて良い。 と言う台本です。 自分が選んでもらえるように頑張ってください。 ※ちなみに分岐する箇所は( A:オーサン B:ジジ C:ミア )です。
( ベルホスト近郊:夜の酒場 ) マス:皆様…本日は良くぞ『 もちろん皆様がお求めの獲物は『かまいたちの オー:( 酔っ払い )おうマスター!! 良いから酒だ!! 酒を持ってこい!! マス:かまいたちの獣はベルホストの先代国王を殺害した魔獣です。 先王がアイゼフィールとの その後 多くの無駄な血が流れる事となりました。 ジジ:そしてその魔獣は ミア:おお騎士の国ベルホスト!! マス:私は皆様の武運をお祈りするだけです。 貴方達ならきっと勝利を シル:え…? 私達が誰と戦うんだ? ジジ&ミア:は?(えっ?) オー:あー…娘よ。 何をどうしたのだ? シル:ここは酒場だろう? 闘技場ならこの国おあつらえの立派なものがあるはずだが? マス:貴女は特別枠で招待させていただきました。 風の シル:何が何やら解らん。 誰か説明してくれ。 ジジ:お嬢ちゃんには招待される程の腕前が有るって事だろ。 ミア: キャハハ!! マス:ここはハンター 依頼されたターゲットを仕留めれば報酬を得ることが出来ます。 ミア:しかも今度の獲物はS級ターゲット!! 依頼主は国家そのもの!! 報酬だって シル: まあいい。 旅に オー:腕が鳴るわい……!! 騎士の誇りにかけて祖国の マス:では皆様どうでしょう? 明日には『かまいたちの 自己紹介 シル:私の名前はシルヴィアだ。 よろしく頼むよ。 オー:おお 良かろうッ!! 我こそはベルホストにその人ありと ミア:( 被せる )マスター!! お酒 キャハハ!! ジジ:やれやれ…。 面倒な奴らが ( 間 )( 狩人の酒場 ) オー:我が名はオーサン・ゴッツィ!! 誇り高きベルホストの騎士である!! まずは祖国の危機に ジジ:別にお前さんに感謝される 獲物が居ると聞きつけただけさ。 シル:オーサンとやら、 見たところ オー:おうこれか!? うむ、そうさな……。 鉄の国の ミア:ああ知ってるよ! アイゼフィールの戦場には常に オー:実に見事な武人であった……。 腕のもう一本くらい マス:そういう経緯がおありだったのですか。 ゴッツィ 決して ジジ:俺の名はジジ・シーヴス。 お前達と違って正真正銘の ミア: オー:なんと!? お主眼が見えぬのか!! ジジ:ああ……。 だがその眼も捨てたもんじゃねえ。 俺は代わりに相手の シル:面白い。 是非とも私の心を見て貰いたいものだ。 ジジ:ふむ。 シル:どうかな? ジジ:仕方がないと『 心 』は知らんぷりを決め込んでいるが、 『 体 』って奴は案外正直なもんなのさ。 シル: ――ッ!? ジジ:お前さんはそれに気づいていながら、 気づいていない振りをしていやがる。 シル:私は…記憶を探す旅を続けているんだ。 マス:なんと記憶を…成程。 ジジ:別に心を偽ってるのはお前さんだけじゃない。 この中にも何人か判り易いのがいるな。 ミア:む―!! どういう意味だよ!? マス:皆さん。 穏やかにお願いします。 ジジ:ケッ! ……シルヴィア、 あんたの旅路に シル: ……。 ミア:俺っちは おっと、亜人だからって偏見は無しな? オー:ガハハ!! なんとも可愛らしい亜人じゃわい!! そんな ミア:めくらの 記憶喪失の女だってハンターになれるんだ。 俺っちが一番まともじゃないの? オー:成程……言われてみれば!! してそんなお主の獲物は何ぞや? ミア:ふふん…それを言っちゃあつまらないだろ♪ オー:ヤヤヤッ!? シル:ジジ、お前も秘密か? ジジ:俺の獲物は『 こいつ 』さ。 シル:銃…? そんな威力の低いものが役に立つのか? ジジ:こう見えて手先は器用なんでな。 俺なりに改良を加えてある。 シル: ジジ:お前さんもな。 ( 間 )( 狩人の酒場:作戦会議? ) マス:では皆様が挑まれる『かまいたちの ジジ:頼むぜ。 マス:先の話にも上がりましたが、 奴は先代のベルホスト王を 罪もない村人たちを虐殺し続けています。 当然見過ごせる ミア:それで済んでれば俺達は呼ばれてないよね。 マス:はい。 そのことごとくが全滅の ジジ:この国自慢の重装騎兵隊が、 ナマスの様にバラバラにされたって噂じゃねえか。 オー:ぬぅ…!! シル:オーサンはその オー:う…うむ。 かつて討伐隊の一員としてな。 ミア:全滅じゃないじゃん! マス:私が言うのも何ですが…。 良くぞ生き延びたものですね。 オー:あれはまさしく魔獣の 霧とともに現われては姿を そして獲物をかまいたちで…切り刻むッ!! シル:かまいたちの射程はどれくらいだ? 一度に何発程撃ってくる? オー:オゥ!? シル:奴の 他に攻撃方法はあるのか? ジジ&ミア:ほう(へぇ)…。 シル: それとも前兆があるのか? 鳥が逃げ出したり木々が揺らめいたり―――。 オー:( 被せる )ええい解った解った解った!! おおい、マスター!! マス:はあ…なんでしょうか? オー:酒を シル:おいオーサン!! オー:飲みながらだ!! おお行き当たりばったりの勇者達よ!! ジジ:まあここは酒場だし別にいいけどよ。 普通逆じゃねえか? ミア:良い酒も良い女もいる。 俺っちは シル:だらしないぞお前達!! 酒や女に溺れて前後不覚になる奴は大抵 私の眼の黒いうちは勝手な真似はさせないからな!! おいマスター、何を ( フェードアウトしながら )こらっ何を乾杯してる―― ( 間 )( 出来れば時計の音のSE ) シル: ―――ハッ!? マス:お目覚めですか? シル:ここは酒場のカウンター…か? マス:どこまで覚えてます? シル: マス: ノリノリでしたよ? シル: ……。 マス: 夜も長い事ですし、 シル:お前はどうして酒を 後ろめたさは無いのか? マス:さてねぇ…。 世の中の正しい事が実は 美しいものが シル:あ…あぁ…。 マス:正解は人の数だけ存在し、 私はその人達に酒を 誇り高くも無ければやましくも無い仕事ですよ。 シル: マス: 正しいかどうかは シル:私は…ずっと自分が主役だと思い続けたい。 だからこうして マス:ふふ… 貴女にお会い出来て良かった。 シル:誰も彼もが私の過去をはぐらかすんだ。 もう慣れちゃったよ。 マス:誰にだって言いたくない事はありますよ。 もう行ってください。 シル: ……誰と話そうか? ( 間 )( シルヴィア役の人が誰と話すか決めてください ) ( A:オーサンを選んだ場合 )( 星見の丘 ) シル:オーサン・ゴッツィ。 オー:おお、誰かと思えばシルヴィアではないか。 シル:中途半端に起きてしまってな。 少し話そうじゃないか。 オー: お主も妙な奴よのう。 シル:否定して欲しいのか? オー:まあ良い座れ。 ……お主記憶を失っていると言ったな? シル:ああ…その事か。 オー:今の方が幸福か? シル:さあ? 『 昔 』って奴には段々近づいている感じはするけどな、 今が幸福じゃ無きゃ生きてる価値なんて無いと思う。 オー:らしい事を言う。 かつて戦場でお主と斬り結んだことがあるのよ。 シル:そうなのか。 オー:どこまで話せばいいか解らんが…そうだな。 お主は味方のみならず敵すらも 真っ直ぐで豪快で… シル:ふふん、 今と何が違うっていうんだい? オー:ぬあっ…ガハハハハ!! ああそうだな、 腕がもう一本生えていれば抱き締めたくなるような良い女だ!! シル:ひょっとして…。 お前の腕は私が斬り落としたのか? オー:いやさ…実はこの腕はかまいたちの 仲間を シル:お前が悪い訳じゃない。 オー:どうだかのう。 散々 騎士の未練を シル:誇りを持てない人間にだけはなるな。 ただ人を傷つけるだけの人間にはな。 オー:うむ。 シル:前を向いて歩こう!! そうだ、私と一緒に旅でもするか? 旅ってのは思いの他、 心を豊かにしてくれるぞ? オー: ……お主は 出会えて良かったと心から思える。 シル:ふふっ…。 酒飲みの オー:( 微笑 )どっこらせっ!! お主も風邪なんぞ引くなよ? シル:ああ。 おやすみ。 ( B:ジジを選んだ場合 )( 大樹の切り株 ) シル:ジジ・シーヴス。 ジジ:これはこれはお嬢ちゃん。 俺みたいな老いぼれに何の用だい? シル:少し話がしたくてな。 迷惑だったか? ジジ:お喋りなら嫌いじゃないぜ? 必要の無い場所で話すのが嫌いなだけさ。 シル:器用に 本当に見えないのか? ジジ:こんなのは手が覚えてる記憶に過ぎねえよ。 経験ってのは口程に物を言うもんだ。 シル:経験か。 私も 記憶を失ってもこれのおかげで助かってる。 ジジ: 向かない事に向かい続ける馬鹿も世の中には大勢いるが、 俺達は幸い天職に辿りつけたって訳だ。 シル:ジジは昔、 何をやってたんだ? ジジ:しがない時計屋さ。 村に一件だけのな。 シル:眼が見えないのに? ジジ:その頃はまだ見えてたんだ。 今でも村の景色は俺の眼に焼き付いている 風のそよぐ緑豊かで シル:村ってのは大抵 だけどそれぞれに染みついた色があって、 だからこそ人は故郷を懐かしむんだ。 ジジ:ああ…。 確かに今となっちゃ悪くなかったな。 シル:もっと聞かせてくれよ。 私もジジと同じ景色が見たい。 ジジ:( 思い出すように )川の上の シル:( 苦い表情 )ひょっとしてそこに…お前の眼の中に…。 私はいたのか? ジジ:いんや、居なかったよ? 偶然を信じ過ぎるのは シル:本当に…そうだろうか? ジジ:ああそうだとも。 シル:私を気遣っているんじゃないか? ジジ:じゃあ人の親切は受け取っとくもんだ。 シル:む…。 ジジ:それと親切ついでに言っとくが、 俺達をあまり信じねえこったな。 …きっと痛い目に逢うぜ? シル:皆良い奴さ。 ジジも入れてな。 ジジ:なんだそりゃ? お前さんなりの『 シル:『 一緒に居たいと思える人は、 決まって良い ジジ:( 自分の服を嗅ぐ )ヤニ シル:( 笑い )。 ( C:ミアを選んだ場合 )( 屋根の上 ) シル: ミア: ――っと!! 良く俺っちを見つけたねえ? シル:私も屋根で ミア:まあ寄ってきなさい、うん。 二人の仲をお月様に見せつけてやろう。 シル:邪魔するよ。 ミア: ……亜人ってさ。 シル:うん? ミア:人間と大して変わらないと思わない? シル:ああ… お前と同じ ミア: 人懐っこくて頭が良い。 シル: ミア:お金は大事さ。 価値に気づかないのは英雄か馬鹿のどっちかだよ。 シル:命知らずも同じだな。 ミア:実は用事があってね。 久々に シル:何を言ってる? ミア:ミシェル・フォン・フィーバストルテ。 シル: ……初めて聞く名だ。 誰だそれは? ミア:優しくて恥ずかしがり屋の美少年さ。 シル: ……もう亡くなっているのか。 ミア:彼と君は一時期非常に近い所に居た。 僕は彼から君の話を毎日聞かされたよ。 シル:ミアは私の過去を全部知っているのか? ミア:それについては何も言えないな。 シル: ……。 ミア:僕はただ伝えたかっただけさ。 シル:何を? ミア:彼が君を愛していたことを。 シル:そうか…。 ありがとう。 ミア:さてと…これで友人として半分は役に立ったかな? 後は乗るか… シル:お前……。 亜人じゃないな? ミア: ご シル:喜んで 素敵な友情に ミア: シル:何を言われたとて気にするものか。 何もかもが私の生きる ミア:成程…あいつが シル:是非その子と会ってみたかったなぁ。 今でも良い友人になれたと思う。 ミア:まあ一つ屋根の『 上 』って事で、 ここは酒でも飲んであいつの死を シル:( 微笑 )見せつけてやるんだったな。 ミア:ミシェルの好きだった酒です。 シル: …… 夢から ( D )( 黒い森 )( 出来れば雀の鳴き声のSE ) ミア:いや~良い朝だね。 なんだか力がみなぎって来るよ。 オー:確かに!! 我が ジジ: オー:ぬぁんだと貴様!? シル:静かにした方が良い。 これじゃあまるで、 獲物に獲物にされるのを怖がっているようだぞ? ジジ:気にしなさんな。 ミア: シル:ああ、代わりに霧が濃くなった。 ジジ:お出ましって訳だ。 かま:グルル…!! シル:これが『 かまいたちの 思っていたより小さいな。 オー:いや…殺気で こやつこそ かま:ウオオォォォン!! ミア:へ? シル:おいっ!? ミア!! ミア: ……ゴボッ。 ジジ:確かにとんでもねえな。 一瞬で八つ裂きかよ。 オー:ぬう!? やはり かま:グルルル…!! オー:何を嘆いておるシルヴィア!? 我等は使命を ならば仲間の死に―――。 シル:( 被せる )たあぁぁぁ!! かま:ギャウゥ!? オー:オ…オウ? ジジ:( 笑い ) かまいたちの射程と間隔をその身で測ろうってんだからな!! オー:お主の自慢の銃は何をしておるか!? ジジ:物事には シルヴィアが見切った奴の動きを、 俺も使わせてもらう。 かま:グアァァァァ!! シル:ぐぁっ…。 オー:シルヴィアッ!? シル:なんのまだまだ!! 一度に 五人の敵を同時に相手してると思えばいいんだ!! かま:グルル…!! ジジ:お前さんはどうなんだ? 女に オー:ぬ…!! シル:このかまいたちには覚えがある!! 私はこの 私の身体がそう教えてくれている!! ジジ:それとも失った 『誇り』ってやつで取り戻すか。 選べオーサン!! オー:グフフ…!! ああ…そうだとも!! ウォォァア!! かま:ギャアアッ!? シル:オーサン!? オー:これぞ我がゴッツィ家に代々受け継がれし とくと知らしめてくれるわ!! シル:はっ…良い男だなオーサン!! 行くぞ!! オー:ガハハハ!! ( 間 )( 黒き森:かまいたちで拓けた広間 ) シル:( 荒い息 )全く…何て奴だ。 速い上に隙が無い。 かま:グルル……!! オー:( 荒い息 )いや…隙ならば見出せた。 奴はかまいたちを放った後に一瞬だけ硬直する。 シル: ……ならば私が行こう。 ようやくあの刃に慣れてきたところだ。 オー:今こそ我が シル:ああ? オー:お前は良い女だシルヴィア!! 共に戦えた シル:おい待てっ!? 何をする気だオーサン!? ジジ:あの野郎。 かまいたちを オー:ヌゥウオオオオォォォォ!! かま:ウォォオン!! オー:( 独白 )そうさのう…。 もしも生き延びたなら…。 諸国を こやつに食われた…あやつ ―――ゴファッ…!! シル:オーサン!? ジジ:良くやった!!( 出来れば銃声のSE ) かま:ギャアアァァァァァ……!! ジジ:確かに心臓を撃ち抜いたッ!! お前の勝ちだぜオーサン!! オー: …グ…フフッ…!! シル: ――!? こいつは……。 かま:グ…グルル…ジル…ヴィア。 ジルヴィア…ジルヴィア…。 シル:( 被せる )ふんっ!! ジジ: ……首まで 名前を呼ばれてビビったのは解るがよ。 シル: ……霧が晴れてきたな。 オー:なんと…!? 『もや』が取れたと思えば こやつの顔は……昨夜の酒場のマスターではないか? ジジ:ああ……。 つまりあいつは、 死にたがりの幽霊だったって事さ。 オー:ななっ、なんと幽霊とな!? 珍妙な事もあるもんじゃのう…。
シル:お前は自分の命の心配をしろ。 オー:う…うむ…そうであった。 悪いがジジよ、 肩を貸してはくれぬか? ジジ:( 呆 )あ~? お前さんその傷で生き延びる気なのか? 図々しいこったな。 オー:たわけぃ…!! やっと騎士の誇りを 後は シル:そうか…お前はやっと自由になれたのか。 ジジ:とんだくたびれ なにせ シル: ……ジジは何のために戦ったんだ? 最初から ジジ:俺は冒険するのが好きなだけさ。 せめて 相棒がこれじゃあ長居をする訳にもいかねぇ。 オー:ぬぅ…この恩は決して忘れぬぞ、ジジ。 生き延びて必ず払う。 シル:礼を言う。 また ジジ:全く…騎士って奴はこれだからよ。 シル:貴方の ジジ:そうそう、 シル:ああ。 気づいてるよ。 ジジ:あばよシルヴィア。 ( 間 )( 怪しげな根元 ) ミア:あーあ!! ひっどいネタバレ!! 台無しだよねあの シル:それがお前の正体か? ミア:残念!! これも偽物です。 そう簡単に尻尾は シル:どうして共に戦わなかった? それとも戦う訳には行かない立場の人間なのか? ミア:僕の 僕は君を殺さなくてはならないね。 シル: ……。 ミア:ふふっ♪ シル:この子の首に用があるなら、 もう少しこのままで居させてくれ。 ミア:おや。 まさか記憶を? シル:半分くらいな。 この子のこんなにも安らかな顔を私は知らなかった。 ミア:良かったねぇ、 ミシェルが化け物になってて。 彼がまともに生きていたら君達じゃ勝てなかった。 シル:何を ミア: …ふむ。 シル:この子はようやく自由になれた。 やっと自由になれたんだ。 ミア:そうかもね。 シル:この子を ミア:僕はその為にここに来たんだ。 シル:ありがとう。 ミア:さよならシルヴィア。 君達と飲んだ酒は シル:ああ……。 シル:( 独白 )出来ればあの子にも飲ませたかった。 人形みたいに綺麗で、 少女の様に夢を見ていたあの子に。 誰よりも誇り高かったあの子に。 |
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