題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(16)~決意~
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2014/11/30 |
5(2:2:1) |
25分 |
努力ならしたさ。こうやって身なりにも気を使ってるし優しくもあろうとした。でもさ……。もう遅い。
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ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア
(26) |
♀ |
金髪碧眼の美女。
本作の主人公。
芯の強い自由な性格です。 |
アーウィン(30)
兵士(不詳) |
♂ |
兼ね役でお願いします。
アーウィンはダンディーかつお茶目な色男、
兵士は立派に殉職した若者です。 |
プーデット(21)
大将(不詳) |
♂ |
兼ね役その2。
プーデットは皆の天使です。
大将は後半わずかに出てきます。
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エレナ
(30) |
♀ |
敵方の麗しき女司令官。
何気に相当な実力者。
優しくも底知れぬ怖さを醸し出してください。 |
ミルケット
(17) |
不問 |
プーデットの弟です。
シルヴィアとプーデットに憧れています。
※獣の様なシーンは演じ分けてください。 |
「風のシルヴィア(16)~決意~」
傭兵になったシルヴィアは砂漠の国で知古と出逢う。
誰の為に戦うのかを問う内に己を見つめ直すシルヴィア。
そして友と共に決戦の地へと赴く。
( 情熱の国マディーン:とある戦線 )
エレ:私はいつも考える。
兵士:う…うぅ……。
エレ:親しき隣人に何かを与える為に、
他の誰かから奪う事を正当化するのなら、
それはもう……。
兵士:愚かな……。
何故貴様等は戦争を続ける……?
その果てに何を望むというのだ?
エレ:( 溜息 )――。
争いこそが願いなのです。
兵士:何……?
エレ:貴方も子供の頃にお母様から習ったでしょう?
他の人間を蹴落として幸せに成るように、と。
あの子の様には成るな、と
兵士:違う……。
少なくとも俺は、
目的の為に人を殺すようには教わらなかった。
エレ:成程。
貴方がたマディーンは情熱だけを謳うのでしたね。
我がアイゼフィールは戦争と平和を愛します。
兵士:ふっ……。
聖騎士め。
思いのほか血生臭く、
醜い心をしているな。
エレ:せめて安らかに眠りなさい。
私の手にかかれば御魂を天へ送ることが出来ます。
兵士:浄化の剣か。
あいにくだが遠慮しておくよ。
エレ:敵の情けは受けぬ。
と言う事ですか?
兵士:俺は祖国を守る為に戦った。
例えこれが無残な敗戦だったとしても、
砂の大地は、
俺の屍を暖かく飲み込んでくれる事だろう。
エレ:立派な心がけです。
兵士:嗚呼……。
考えるだに恐ろしい。
四騎士を二人も相手取っていたとはな。
竜騎士シルヴィアに聖騎士エレナ、
まさに英雄に相応しい……ぐふっ……。
ミル:グルル……!!
グオオォォォ!!
エレ: ……さあ、
行きますわよシルヴィア?
……物思いにふける暇など我々には無いのですから。
( 間 )( 紅い砂の街サライ:『 露天商通り 』 )
シル:あ“ぁぁっづぃぃぃ……!!
アー:黙って歩け!!
余暇を兵舎で過ごすのが嫌だってのが、
お前の言い分だろうが!!
シル:だぁってあんな所に居たらカリカリになっちゃうじゃないですか。
重ね着用のヴェールでも買ってのんびり昼寝でもしましょうよ。
アー: …まあ、
敗色濃厚な陣幕で、
野郎共と一緒にいるのは俺も御免だ。
シル:隣に美人も居ますしね!!
アー:ここで何人斬った?
いや、勿論そういう意味でだが。
シル:6人くらいですね。
流石は情熱の国です。
アー:ふっ!!
お前を風のシルヴィアと知っていれば誰も手を出さないだろうにな。
シル:私を恐れるならばそれまでの事です。
そんな人間に誰が惹かれるものですか。
アー:相変わらず厳しいな。
そういえば、
『シルヴィア』ついでに竜騎士についてはどう思う?
戦場に現れては戦況をひっくり返してくれる、
『ディオールの四騎士』の一人だが。
シル:偽者なのは確実ですね。
私はかつて彼女の遺品と死体を目にしたことがあります。
それに、
もしも彼女が本当に生きていたとしたら……。
国などは簡単に滅ぶことでしょう。
アー:おとぎ話を信じるなら、な。
是非一度真偽の程を確かめたいものだ―――。
ん?
プー:プェェ~。
お腹減ったプゥゥゥ……!!
アー:おいシル、あれを見ろ。
子豚の亜人が行き倒れているぞ。
シル:プーデットッ!!
アー:ああん?
プー:プ?
あ~~。
シルヴィアさんだプー。
シル:何だよお前、
カヴァロさんの店で修業してるんじゃなかったのか!?
どうしてここに居るんだよ?
プー:僕もシルさんみたいに旅に出たプー。
世界は果てしなく広くて楽しいプー。
そうしてたら何時の間にかこんな所まで来てしまったプー。
シル:そうか、
そうだったんだな。
プー:プゥゥ……。
でも、
ちょっと疲れたプー。
アー:知り合いか?
シル:ええ、
この子は私の友人です。
旅の先々で一緒になって、
別れて、
何時までも諦めないんです。
アー:諦めない、か。
良い心掛けだな、
プーデット君。
プー:誰プー?
アー:俺の名はアーウィン。
シルヴィアとはまあ、
長い付き合いだ。
シル:悪い人じゃないよ。
約束する。
プー:ププッ。
シルさん楽しそうプー。
シル:プーに逢えたからね。
夢は叶いそうかい?
プー:プー。
おっきなレストランを建てて、
皆を幸せにするプー。
薄利多売だプー。
アー:( 苦笑 )なるほど、
らしいな。
シル:そうだ、
商売ならこの人に習うといい。
今は傭兵をしているが、
きっと詳しい筈だよ。
プー:プ?
ホントプー?
アー:だがしかし!!
タダでは教えられんな。
責任感が違ってくる。
プー:プー……。
これで良いプ?
アー:世界中の地勢、情勢、
流行、符牒。
それら総ての情報をこの金で買えると?
シル:幾ら必要なのですか?
アー:お前は出すな。
男の夢に女が自ら関わると、
ロクな目にあいやしない。
シル: ……むぅ。
プー:じゃあこれをあげるプー。
アー:指輪……?
こりゃあ結構な代物だ、
氷の神獣ガバルダイテの加護が刻まれている。
プー:これを身に着ければ暑く無いプー。
僕の家の宝物プー。
アー: ……お前にこれ程の覚悟を見せつけられては無碍には出来ん。
俺の商魂をお前に叩き込んでやろう!!
プー:タダであげるプー。
アー:ぬぁに?
プー:他人に優しくするプー。
その心掛けが皆も自分も幸せにするプー。
忘れないでね。
アー: ……。
シル: ……クスッ。
プー:プププッ。
アー:全く……。
どいつもこいつもキラキラしやがって。
シル:プーはお腹を空かせています。
アー:ならば飯とするか!!
人を愛せぬ哀れな男に、
せめて驕らせておくれ。
プー:プウゥゥゥ!!
ご飯だプーーーー!!
( 間 )( 繁華店:『 星砂停 』 )
ミル:( 食物にガッツク )ハフッ、ハフッ。
モグモグ……ングッ。
エレ:ふふ……美味しい?
ミルケット。
ミル:ああ、
美味いよ母さん。
流石は万国の特産品が入れ交う国、
マディーンだね。
エレ:そうね。
もうすぐ思い出の味に成ってしまうのは悲しい事だけれど。
ミル:えっ?
エレ:こちらの話ですわ。
ミルケットには関係の無い事ね。
ミル:そ、そうかい?
プー:プップップー♪
お邪魔しますプーーーーー!!
シル:おいっ、
はしゃぐなプー!!
……すいません、
ご迷惑をおかけします。
エレ:あら?
シル: ……え?
プー:プッ?
シル&アー:エレナ・サースティ……。
エレ:ふふ……。
ごきげんよう。
アー:何故かな?
アンタはまごう事無き宿敵の筈だが。
エレ:敵地で豪胆にも飲食を楽しむ。
これもまた英雄の嗜みですわ。
シル:良いのですか?
貴女の素性をここで明かせば、
如何に貴女と言えども――。
エレ:よろしくてよ?
貴女達がそんな事をする様には見えないけれど。
シル: ……。
アー:俺も考えてはみたが、
公私混同してまでこの国に義理立てする義務が無い。
つまりはそう言う事だな。
プー: ……ミルケット。
ミル:兄さん。
シル:兄さん!?
プーデットが?
アー:ううむ……。
まさに豚に真珠。
シル:ちょっと!!
エレ:そう、
貴方がプーデット君なのですね?
プー:そうプー。
エレ:噂は聞いていますよ?
家を飛び出して世界中を旅しているのだとか。
プー:お姉さん誰プー?
エレ:私はエレナ・サースティ。
シルヴィアの友人であり、
ミルケットの後見人です。
ミル:俺もあの後家を飛び出したんだ。
兄さんと同じようにね。
プー:なぜプー?
ミルは貧乏人になりたかったプー?
ミル:あんな汚らわしい奴隷商の家なんか、
だれが引き継ぐもんか。
プー:勿体無いプー。
ミルはかっこいいし頭も良いし、
良い跡取りになったプー。
ミル:兄さんは俺の憧れだよ。
兄さんが居たから俺は自分が間違っていることに気付けたし、
こうやって世界を巡る冒険に出られたんだ。
アー:ではミルケット君、
軍人と一緒に居るのはどうしてかな?
ミル:母さんがこんな俺を愛してくれたからさ。
母さんは奴隷商の生まれで、
母親も奴隷で、
兄さん以外総ての人間が嫌いだった俺を愛してくれたんだ。
エレ:私も子供が出来て嬉しいわ。
ミルケットに出逢えた奇蹟を神に感謝します。
ミル:へへっ……。
シル:愛でたい話なのだろうか……。
我々はどうすべきなのでしょう?
アー: ……。
飲もう!!
シル:ええっ!?
アー:夢日頃一夜の出逢いこそ万物の至宝なり。
いわんや酒に酔い、
女に溺れ、
汝酔狂を極めつつ、
星を愛する童であれ。
エレ:エルジュの教え第四章、
『神樹フェルディアースの賢者』、
ですわね。
アー:美女二人と麗しき兄弟愛、
俺としてはこれ以上の肴は無い。
思いっきり飲んで馬鹿な事を語り合いたい!!
シル:ふふ……。
可愛いですね団長。
そう言う所は昔とちっとも変わらない。
アー:アァァーウィンン!!
シル:はいはい。
クスクスッ。
ミル:何だか夢みたいだな。
兄さんや母さん、
それにシルヴィアさん達と一緒に過ごせるなんて。
エレ:ふふ……。
こんな壱日も良いのかも知れませんわね。
皆様どうか遠慮なくお願いします。
( 間 )( 星砂に飲まれて )
シル:ははっ!!
どうしたんだプー、
もう負けちゃったのか?
プー:プー……。
なんだか眠いプー。
アー:仕方ねえなおい。
ペースが早過ぎるんだよ。
エレ:ミル、
大丈夫?
ミル:うーん……。
眠いよ、
母さん。
エレ:良いわよ?
ちゃんと送ってあげるから。
ミル:ありがとう、
母さん。
俺を見捨てないでね。
エレ:大丈夫よ。
安心して眠りなさい。
ミル:へへっ……。
( 間 )( 微睡みに囁く世迷い人は )
ミル:シルヴィアさん。
シル:ん……。
ミル:シルヴィアさん。
シル:んん……。
何だい?
ミルケット。
ミル:少し話したいんだ。
起きてくれますか?
シル:( あくび )――。
どうしてもかぁ?
ミル:今が良いんだ。
俺達は敵同士だし、
こんな機会は皆が寝てる今しかないと思うから。
シル:皆……?
プー:プゥ……プゥ……。
アー:スー…スー…。
エレ:んん……。
シル:何かしたのか?
ミル:ちゃちな薬を少しね、
俺はまともな人間じゃないんで。
シル: ……ふふっ。
可愛い顔して、
結構良い性格をしているんだな。
ミル:二人だけで話がしたい。
母さんから貴女の話を聞いて、
ずっとそうしたいって思ってた。
シル:良いよ。
( 背伸び )――何処かへ散歩でもしよう。
きっと夜風が心地良いから。
( 間 )( それでも止めて欲しくて )
シル: ……どうだ、
良い景色だろ?
赤き砂と天津引く天宮。
私のお気に入りだ。
ミル:ああ…。
血の海に無限に降り注ぐ流れ星、
だね。
シル:それでどうした?
何を話したい?
ミル:俺はね、
シルヴィアさん。
巷では竜騎士と呼ばれている。
シル:お前が?
冗談だろう?
ミル:じゃあどうして俺が母さんと一緒に居るんだい?
何の価値も無いこの俺が、
どうしてこうやってシルさんと話せるんだい?
シル:私は誰ともなく、
好きな人と話す。
ミルケットの事も好きだし、
エレナの事も好きだ。
ミル:へえ……寒いね。
少しさ。
シル: ……。
ミル:俺には兄さんみたいに良い人に巡り合える人生は用意されていなかった。
利用されて見捨てられて、
何一つ得る事も無いまま奪い続けられた日々だった。
シル:違う、そうじゃない。
自分が魅力的にならなければ誰も見向きもしてくれないし、
その努力が自分を成長させるんだ。
待ってたって何も変わりはしない。
ミル:うるせえんだよ!!
シル: ……。
ミル:努力ならしたさ。
こうやって身なりにも気を使ってるし優しくもあろうとした。
でもさ……。
もう遅い。
シル: ……。
ミル:へへっ、
そんな目で見ないでよ。
ちゃんと解ってるから。
シル:何がだい?
ミル:結局人間は一人でも生きていけるけど、
独りじゃ大きくなれないんだ。
そう、誰かを利用して何かを喰らって、
騙し合って生きるのさ。
シル:そんな生き方、
楽しいか?
ミル:少なくとも今までよりは。
母さんは俺の中にある『宝物』を愛してくれている。
シル:宝物?
ミル:俺自身はその価値に気付けなかったけど、
とても貴重で大事な代物なんだってさ。
シル:身体の中にある宝……心……。
魂に刻み込まれた『特性』……?
ミル:ああ。
俺達の一族は人の心を引き付け同じ色に染める、
『同化』の特性を持っているそうだよ。
シル:それは……。
ミル:奴隷商には相応しい特性だろう?
シル:だけどお前は変わろうと努力した。
ミル:はははは!!
結局俺は歪んでいたから、
そんな人間しか俺の周りには集まらなかった。
糞山にたかる蠅のような奴等と一緒に過ごしてみなよ。
それはもう――。
シル:( 被せる )そんな事関係無いよ。
ミルケットがどれだけ熾烈な人生を歩んできたとしても、
歪んできたとしても、
私に心の内を明かしてくれたことは嬉しいよ。
ミル:( 満足そうに ) ……。
母さんの言っていた通りだ。
強くて綺麗で優しくて……。
あんたとヤれるなら命さえ惜しくない。
シル:ならこっちに来てくれ。
そんな生き方はもう辞めてくれ。
ミル:あんたは俺が兄さんの弟だから優しくしてくれている。
母さんと何ら変わりはしない。
だからもう話は終わりさ。
シル: ……違うよ。
私は私だ。
他の誰でも無い。
ミル: ……ッ!!
エレ:あらあら、
二人でデートですの?
ミル:母さん!?
エレ:お似合いですわね。
ミル:どうして?
エレ:ミルの好きにさせてあげたくて。
ミル: ……。
エレ:シルヴィアと話して、
貴方は何か変われたのかしら?
ミル:そうだな、
もっと力が欲しくなった。
言葉だけじゃどうしようもないから、
この人を手に入れる力が欲しいよ。
母さん。
エレ:そう。
では愛しのアイゼフィール軍へ戻りなさい?
私はこの人にもう少しだけ話があるから。
ミル:うん。
( 間 )( 決別の夜景 )
シル: ……エレナ・サースティ。
お前は悪魔なのか?
エレ:壊れているなりに綺麗でしょう?
歪な人形ほど趣があるものですから。
シル:あの子を英雄に仕立てて、
さらに歪ませて、
その果てに何がある?
誰を幸福に出来る?
答えろエレナッ!!
エレ:この星空と何も変わりはしないわ。
シル:何?
エレ:この枠に収まっていることが出来ずに世界に瞬いて、
散っていく星屑の中で、
ただ一人だけを見繕って護る。
その行為自体が『独善』に違いないのだから。
シル:何を言っているんだ?
エレ:もしも貴女がミルケットを救う為に私達に攻めかかったとして、
一体何人の兵士が犠牲になるのかしら?
雄大に詭弁を騙る、
貴女こそが『 悪 』そのものではなくて?
シル: ……ッ!!
プー:プーーー!!
エレ:なっ!?
プー:馬鹿馬鹿馬鹿!!
そんなの関係ないプー!!
シル: ……プーデット。
エレ:そう叩かないで。
一体何が言いたいのかしら?
プー:夢だけ見てれば良いプー!!
誰だって夢を否定されるのは嫌だプー!!
エレ:夢?
プー:お姉さんもミルも何かを持ってたのに諦めたプー!!
だから人に冷たく出来るんだプー!!
エレ:ええ……。
その通りね、
だから傷を舐めあっているのかも知れない。
プー:だったらまた挑戦すれば良いプー!!
誰かを頼れば良いプー!!
善い人を見つければ良いプー!!
エレ: ……。
プー:シルさんも自信持つプー!!
シル:えっ?
プー:何の為に戦うプー?
誰かの為プ?
考えて欲しいプー。
シル: ……。
プー:プゥゥ……。
シル:私は……。
アー: ……全く、あのガキ。
俺も焼きが廻ったもんだぜ……。
何がどうなった……?
……ん?
( 間 )( その姿は風の如く )
シル:誰かの為に正しいと思う事をしても、
きっとそれは私のエゴに過ぎないから。
誰かの為、と言うよりは、
私の為、
なのかな。
エレ: ……ッ!!
シル:だから全力で戦えるんだ。
アー: ……。
シル:誰にも私を止める事は出来ない。
エレ:貴女が自分の為に戦えるのは、
貴女が恵まれているからでしょう?
シル:そういう貴女は私の数百倍恵まれた地位に生まれ、
何も出来ずに歪んでいくだけでした。
だから私は……、
貴女にはもう……。
惹かれない。
エレ: ……あらあら、
すっかりイジめられちゃったわね。
貴女達もこんな国も皆……大嫌い。
アー:ああ、受けて立つぜ。
今度戦場で逢ったら女だろうが血を吐いていようが関係無い、
俺の生き様を叩き込んでやる。
シル:ふふっ、
楽しい夜会でした。
後はそれぞれの正義を貫きましょう。
エレ:ええそうね。
ではごきげんよう、
滅びゆく人々たち。
プー: ……ミルケットを助けてくれるプー?
シル:ああ、
約束する。
プーデットの頼みだからね。
プー:ププッ。
( 間 )( 白砂の大丘:『 サシャ 』 )
大将:( 太い声で )良いか!!
これは我がマディーンとアイゼフィールの雌雄を決する戦いだ!!
敵方は8万!!
我等は6万にも満たぬ劣勢!!
だが地の利は我等にあるぞ!!
シル: 良き喧騒ですね。
……心がさざめく。
アー:ああ、悪くない。
あの大将も口が達者だ。
大将:慣れぬ砂漠で連戦続き!!
如何にアイゼフィール軍と言えども長期戦には耐えられぬ!!
皆こらえよ!!
必ずや勝機は訪れる!!
アー:これ程の戦いだ、
奴等も必ずいる。
シル:ふふ…そうでなくては困ります。
約束を守るなら早い方が良いですから。
大将:我等こそが情熱の国マディーンなのだ!!
最後の一滴に至る迄その血を燃やし尽くせぃ!!
……かかれえええ!!
アー:行くぞ!!
シル:はい!!
エレ:やれますか?
シルヴィア。
ミル:グルル……!!
エレ:竜騎士の甲冑に英雄殺し。
偽りとは言え狂化は免れませんか。
ミル:グオオオォォォ!!
エレ:良い気焔です。
さて、
一体どちらのシルヴィアが勝ると言うのかしら?
血飛沫の果てに私に魅せて御覧なさいな。
ウフフッ………!!
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