題名  公開日  人数(男:女:不問)  時間  こんな話  作者

 風のシルヴィア(18)~夢のジャキ☆ポキ☆タウン~

2014/12/12  4(2:1:1) 30分

ヤヒヒッ♪ボッキの世界へ来てくれてありがとう!!シルヴィア・シルフィード。

 ニコ

登場人物
(年齢)
性別 その他
シルヴィア
(26)
皆の憧れ女騎士(冒険中)。
友人の弟を殺してしまった罪悪感で悩んでいます。
大人の魅力を解き放ってください。
ジャッキー
(666)
人成らざるマスコット。ハハッ♪
常にハイテンション&ジャンキーです。
はっちゃけて頂きたい。
カトー
(63)

伝説の棋士。
元気で明るい癒しキャラ。
台詞大目なので早口でお願いします。

ゴラ
(14)
不問 多感なお年頃の美少年。
と見せかけて精神年齢は高め。
蠱惑的な演技でお願いします。
プーデット(21)
ブチ猫:カトールートに登場。
子猫:同上。
狂人:ゴラルートに登場。
愚者:同上。
不問 モブ達です。
※シルヴィア以外の方々で上手く振り分けてください。


「風のシルヴィア(18)~夢のジャキ☆ポキ☆タウン~」




悪夢の街ジャンキー・タウンでシルヴィアが体験した出来事です。

※選択肢がありますので事前にお決め下さい。

カトールートは明るく、ゴラルートは本編に沿った内容となっております。

分岐箇所(分岐地点 )カトー or ゴラの台本に飛んでください。分岐終了後はA地点
※クリックで指定箇所へ飛べます。



( 悪夢:『 終わりの見えない答え 』 )

 

シル:そんな目で私を見ないでくれ。

   プーデット。

 

プー:どうしてミルケットを殺したプー?

 

シル:解らない。

   ……助けられると自惚(うぬぼ)れていたのかもしれない、

   私なら叶えられると信じたのにこの(ざま)だ。

 

プー:そんな事は聞いてないプー。

   どうして殺してしまったプー?

 

シル: ……。

 

プー:何か言ってくれプー。

   言えプー。

 

シル:ごめんなさい。

 

プー:それだけプー?

 

シル: ……。

   私は(たい)した(おんな)じゃない。

 

プー:それだけ?

 

シル: ……。

 

プー:お前が死ねば良かったのに。

 

シル: ――ッ!?

 

 

( 間 )( 夢のジャンキータウン:民家 )

 

 

シル: ―-ハッ!?

   ……ハア……ハア……。

   ( 唾を飲む )――。

   夢……?

   あれが……夢……!?

 

カト:ハロー、

御嬢(おじょう)さん。

   御加減(おかげん)如何(いかが)ですか?

 

シル: ……誰だ?

 

カト:はいぃ。

   ワタクシの名前はカトーです。

 

シル:この服……。

   お前が脱がしたのか?

 

カト:あっ!?

   ああいやその、おふっ、

   おほおほっ、ふっ。

   あっ、あなたがですね、

   雨垂(あまだ)れの小屋(こや)の中で倒れているのを見かけまして!!

 

シル:ああ……そうか。

   道理(どうり)で……。

   ( 風邪の演技 )――コホッ。

   

カト:はいぃ!!

   ワタクシはこの部屋まで連れてきて、

紳士的(しんしてき)介抱(かいほう)をいたしました!!

   決してやましい事はございませんです!!

   ハイ!!

 

シル: ……何と言ったか。

   いや、()ずはありがとう、

   カトーさん。

 

カト:えっ、

えっ、

   礼には及びません、

   ()の街では生も死も退屈に過ぎませんので。

 

シル:きな(くさ)いのは認める、

   田舎(いなか)(ふう)でいて風俗(ふうぞく)もハシシもある、

   そして何よりもメルヘンだ。

 

カト:ここは夢の街『ジャンキー・タウン』です。

   ジャッキー君が認めた変な人間だけがここに招待され、

   夢の中で過ごせるのです。

 

シル:何が(笑)

   見ろ、

   そこの流しに置いてある目玉も歯茎(はぐき)も本物だ、

   これが夢の中だとしたら、

悪夢(あくむ)以外に何が有る?

 

カト:それはジャッキー君のイタズラですね、はい。

   貴女(あなた)はやはり耐性(たいせい)がおありのようです。

 

シル:お(なか)()いた。

 

カト:おふっ、

   あっ、あぁワタクシとしたことが!?

   準備しますです、

   いやっ!?

   買ってくるです!!

 

シル:お願いしますです。

 

カト:はっ、はい!!

   あっ、あのですね、

   宜しければお名前を…。

 

シル:シルヴィアです。

   シルヴィア・シルフィード。

 

カト:うひょぉぉ!?

   ほおぉぉ。

   良い名前ですねぇ……。

 

シル:ふふっ、

ありがとう。

 

カト:はいっ!!

ではではシルヴィアさん!!

   行って(まい)りますです!!

 

シル:行ってらっしゃい。

 

カト:ルンルンルン♪( 歌いながらフェードアウト )

 

シル: ……本当に行っちゃった。

良い人なんだなぁ。

 

 

( 間 )( 闇に潜む道化師 )

 

 

シル:何を隠れている?

 

ジャ:ヒヒッ、

   ヤヒヒッ♪

 

シル:お前が『ジャッキー君』か?

   みょうちくりんなホビットだな。

 

ジャ:ホビットじゃなああああい!!

ヤヒヒッ♪

ボッキの名前はジャッキー・ポッキー!!

夢の世界の住人(じゅうにん)さ!!

 

シル:御招聘(ごしょうへい)ありがとう。

   ()んだ心に()んだ世界が染み渡る。

 

ジャ:おっ、

   おおおっ!?

   それならば!!

 

シル:何だ?

 

ジャ:ミュージカルだ!!

   ミュージカルをぶっ放そう!!

 

シル:なん……だと?

 

ジャ:ボッキの最新作、

   聞いてください。

   『ジャキ・ポキ・ドゥウウン』♪

 

シル: ……。

 

ジャ:( 最高に狂ってください )

   ウエエェェェィ♪

   ヤヒヒッ♪

   ヤヒヒッ♪

   ああ身体が熱い!!

   ママの胎盤(たいばん)にかじりついていたころを思い出す!!

   アア嗚呼アァァァァァァ!!

 

シル: ……。

 

ジャ:ヘイッ♪

   お悩みの基地外共(キチガイども)

   ボッキの名前を知ってるかい♪

   ここの名前を知ってるかい♪

   ボキはジャッキー此処(ここ)はジャンキー♪

   カニバリ最高、ペド最高♪

   俺のち○こはもっと最高♪

   ヘイッ♪

 

シル:死ねばいいのに。

 

ジャ:オオオ嗚呼ァァァァ!!

   ブオオオン!!

   デスモアの山に今日も死体を投げ込む作業が始まるッ♪

   何人目だ何時間目だぁっ!?

   ()められない()まらない、

   カル○―、

   ジャ↑ッキーオジサン↓♪

 

シル:もうやだ。

   寝る。

 

ジャ:そうだ♪

   此処(ここ)神殿(しんでん)にしよう♪

   皆おいで?

安らかに眠ろう♪

   ここはジャンキー、夢の無い夢の街♪

   ()せろこの!!

   死ねこの野郎!!

   ヨロディッヒーーー♪

   ヨロヨロディッヒーーー♪

   オロオロオロロロ(ry

   ……(くだ)らねえ。

   ゲロ吐いて死にそうだよ、

   ……ホントウニシニタアアイ!!

   ホキャアアアアアァァァァ!!!

 

シル: ……以下略。

 

ジャ:( 荒い息 )ゼエッ…ゼエッ……!!

   あ、終わったよ?

 

シル:それで?

   死ぬのか?

 

ジャ:生きる!!!

 

シル:そうか、

   良かったな。

 

ジャ:うん!!!

   ……え、

   ホントに寝ちゃうの?

 

シル:ちょっと疲れたからな。

   旅を続け過ぎたよ。

 

ジャ:ソッカー。

   いい(とし)だもんネー。

 

シル:何をしたかったのかも判らない。

   (ひと)りじゃ寂しいし、

   (ひと)りは気楽(きらく)だし。

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

   なんてことは無いね、

   生き遅れた女の(あらが)いって(やつ)だ。

 

シル:怒らないよ?

   実にその通りだと思うし。

 

ジャ:まあ寝たければ寝ればいいさ、

   そこまで野暮(やぼ)じゃないよ。

 

シル: ……( 寝息 )。

   スゥ……スゥ……。

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

ボッキの世界へ来てくれてありがとう!!

   シルヴィア・シルフィード。

 

 

( 間 )( ウナギ臭たち込める民家 )

 

 

カト:いやぁぁ驚きましたシルヴィアさん、

   おふふっ、

   おふっ、

   先程ですね、

   ワタクシの友人がお()さまの元でポカポカしていまして。

 

ゴラ:ん?

 

カト:いや普段はですね?

   滅多に部屋から出てこない、

暗い暗い美少年なのですけれども――。

 

ゴラ:( 被せる )――やめなよジゴロ。

   どうやら御姫様(おひめさま)はお休みの様だ。

 

シル:( 寝息 )――。

 

カト:あれ?

   あれ?

あれれ?

   おかしいですね?

 

ゴラ:よっぽど疲れていたんだろうさ、

   (はら)が減るのを忘れて、

   そしてそれすらも忘れるくらいに。

 

シル:( 寝息 )――。

 

カト:ふむふむ、

あれっ!?

参りました!!

   折角(せっかく)鰻重(うなじゅう)を買ってまいりましたのに。

 

シル:( 寝息 )――。

 

ゴラ:モッタイナイネ。

 

カト:そうですね、

   はい、

   (あたた)かいうちに食べますです、はい。

 

シル:うぅ……。

 

カト:( 食いながら )――しかし、

   夢の世界で夢を見ると言うのも(そん)御話(おはなし)ですね?

 

ゴラ:( 食べながら )――ああ。

   まあ、

   ここですら居場所が無いなら死んだ方がマシなのかもな。

 

シル:うぅ……!!

 

カト:モグモグ、

   ハフハフッ、

   ああ美味しい!!

   夢の中の御馳走(ごちそう)にもお味はあるのでしょうか?

   聞いてみたいものです。

 

シル:あ“あ”あ“あ”ぁぁぁぁ!?

   鰻臭(うなぎくさ)いッ!!

 

カト:ひょっ!?

 

ゴラ:マクマク……。

 

シル:ハァ…ハァ…。

   ゆ……夢……!?

   私は確かに鰻交(うなぎま)じりの風呂に()かっていた(はず)だが……。

 

ゴラ:( 食べ続ける )――。

   あっ、そ。

 

シル:何だお前は!?

   何を増えているッ!?

 

カト:えっ、えっ、

   この子はワタクシの友達のゴラちゃんです。

   シルさんに興味が在ると言うので連れてきました!!

 

ゴラ:この街の汚物共にも飽きて来たんでね、

   ジゴロが言う綺麗な娘さんに逢いに来た。

 

シル:子供の癖に偉そうだな、

   コホッ。

 

カト:あっ!?

   ほら、ゴラちゃん!!

   あれですアレアレ!!

 

ゴラ:薬だろ?

良いさ、

治してやるよ。

   材料なら腐るほどあるし、

鰻も御馳走になったしな。

 

シル:うっ!?

 

ゴラ:飲め。

 

シル:飲み物なのか……!?

   これが……?

 

ゴラ:早く飲めよ。

   そんで早く治してな?

   俺達のどっちかとデートすりゃあいい。

 

シル:ああ!?

 

カト:( 食べながら )――ハフハフッ。

   ンッ……至福///

 

シル:どっちかと……?

 

ゴラ:独りじゃ寂しかったんだろ?

   だから風邪なんかひくんだよ。

 

シル: ……( 溜息 )。

   そうか、

   そうなのかもしれないな。

 

ゴラ:どうせ誰も見ちゃいないんだ。

   『ジャッキー君』以外はな。

 

ジャ:( 出来れば遠くから )ヤヒヒッ♪

 

シル: ……子供におじさん、

   どっちを選ぼうかな?

 

ジャ:ボッキでも良いんだよッ!?

 

シル:うるさい消えろ。

 

ジャ:ホキャアアアア!!

 

シル:さて、どうしようかな?

 

 


( 間 )( ※分岐:ここからは選んだ相手カトー or ゴラの台本に飛んでください。分岐終了後はA地点へ )

 

 

 

( ※カトーさんを選んだ場合 )( ジャンキー・タウン:昼間の井戸端 )  (分岐地点へ戻る場合はクリック )

 

シル:おまたせ、

   カトーさん。

 

カト:おぉ、

   ふっ、おっ!!

   おはようございます、

シルヴィアさん!!

 

シル:随分早いんですね、

   私だって早くに来たのに。

 

カト:えっ、えっ、

そうですね!!

   準備は非常に大切な事なので、ええ。

   万全の態勢で挑みたいと、

斯様(かよう)に思いました!!

 

シル:もしかして……緊張してます?

 

カト:いっ、

   いささかっ!?

 

シル:ふふっ…。

   では参りましょう。

 

 

( 間 )( ワクワクのデートは何事も無く )

 

 

シル:良い天気ですね。

 

カト:はいぃ。

   大変ポカポカしてますです。

……ん?

 

子猫:あー♪

   カトーだにゃん、

   エサくれにゃん♪

 

カト:ヘロー♪

   子猫ちゃんたち。

   僕に逢えなくて寂しかったかい?

 

子猫:にゃん♪

   くれくれ♪

 

シル:猫か……。

   懐かしいな。

 

ブチ:おいカトー。

   お前良いオンニャ連れてるにゃん?

 

カト:あら?

ブチ君いけません。

   おそらくこの方はですね、

   ボランティア的精神で、

ワタクシと一緒に居てくれているのです。

   そういう言い方は宜しくありません。

 

ブチ:ケッ。

 

シル:私は大した女じゃありませんよ?

   当て所(ど)もない旅に疲れた、

ただのはぐれ猫です。

 

ブチ:おお聞いたにゃカトー?

   このおんにゃ誘ってるにゃ、

   チャンスだにゃん。

 

カト:えっ、あっ!?

   いやっ……!!

   あっ……!!

 

シル:良いんですよ?

だってこれはデートでしょう?

   言われるまでも無く私は貴方を選んだのですから。

 

カト:おあぁぁ……!?

 

ブチ:おらっ、

   楽しんで来いにゃ、
カトー。

 

子猫:行くにゃ~♪

   エサを貰ったら用無しにゃ~♪

 

カト:はっ、はいッ!!

   でっ、ではですねッ!!

それではですねッ!?

   シルヴィアさん!!

 

シル:はい♪

 

カト:手ッ、

手をですねッ!!

   ワタクシのテテ、

手をッ!!

 

シル:ふふ……。

   はい♡

 

カト:あっ、やっ!?

   でっ、では鰻を食べに行きましょう!!

   鰻は大変温かい食べ物ですから!!

 

シル:そうですね、

   寝坊して食べ損ねてしまいましたからね。

 

子猫: ……さーて♪

   お腹一杯だしブッチーと指すにゃ♪

 

ブチ:おう指すにゃ!!

   思いっきり指すにゃ!!

 

子猫:このゲーム楽しいにゃ♪

 

ブチ:カトーが教えてくれたおかげにゃ。

   でもお前、あれにゃ?

   さっきカトーにもっと教えてって言わなかったにゃ?

 

子猫:にゃ。

   空気読んだにゃ。

 

ブチ:ケッ。

   そんな暇があったら手を読んでみろにゃ。

 

子猫:どっちも読めないからぶっちーは独り身にゃん?

 

ブチ:ケッッ!!

   ……ケァッ!!

 

( 間 )( 誇る勇気は生き様の証なり )

 

 

シル:楽しいデートでしたね。

 

カト:ふふっ。

   御満足頂けたでしょうか?

 

シル:それはもう。

   ああ、

夜風が気持ち良いですね。

……素晴らしい景色です。

 

カト:ここは汚れていても綺麗でしょう?

   心が洗われたとしたら総て良しとすべきなのです。

 

シル:この街の人々は独特なゲームが好きなのですね。

   皆カトーさんにそういう話をしてましたが。

 

カト:はいぃ。

   ワタクシが彼等に教えました。

   この老体に出来る事はそれくらいですから。

 

シル:立派ですね。

   私の友人もああいう頭を使うのが大好きなんですよ?

 

カト:おおぉぉ!!

そうなのですか。

   是非一局手合わせ願いたいものです。

 

シル:私が此処に迷い込んだ理由が、

   解った気がします。

 

カト:はい、

うん、そうね。

おそらくそれはワタクシと同じ理由ですね。

   戦い続ける事に疲れてしまったのです。

 

シル:一体誰の為の人生なんだか。

   私は一体……誰の為に……!!

   何の為に……!!

 

カト: ……ええ、

   理由を探すのは、

高みを目指す者の試練です。

 

シル:傍に居てください。

 

カト: ……。

 

シル:私は何をしたかったのかが本当に判らないんです!!

   誰かの為に生きれる気がしたんです!!

   自分の為に生きるって言ったけど!!

   本当に欲しかったのは、

ただの温もりだったんです!!

 

カト:その役割を果たすのはワタクシではございません。

 

シル:どうしてッ!?

 

カト:成程、

確かにワタクシは導師には成れるでしょう。

   此の街の人々に娯楽を教え、

考える喜びを与え、

   愛を説く日々は何よりも幸福だけれど。

 

シル:でも……なんなのですか?

 

カト:私はやはり棋士なのです。

   貴女が騎士であるように。

   戦いを辞めてしまっては一欠けらも残りません。

 

シル:だけど……寂しいです!!

 

カト:大人しく生きる事など誰にもできません。

   私もそろそろ闘争の日々に赴かねばならないのです。

   ワタクシを信望する人々の為に、

   ワタクシが信仰する戦の為に。

 

シル:おかしいじゃないですか!?

   ここは夢の世界の筈だ、

   何時までも夢を見ていればいい筈だ!!

 

カト:夢が楽しい事だなんて誰が決めたんですか?

   大いに苦労するからこそ、

   幸福と充足は貧者に微笑みかけるのです。

   逃げ惑った人々が行き着く先が此処なのだとしたら、

   やはりこの街は、

   ふふっ、

   ワタクシには少し早すぎますね、

ハイッ!!

   ウフフフッ!!

 

シル: ……お願い、

   カトーさん。

   お願いだから最後に貴方の温もりを。

 

カト:理由が欲しいのだとしたら、

   やはり自分の脚で歩き続けましょう。

   きっと貴女を見てくれる人が居る筈だから。

 

シル:だってこの夢から覚めたなら、

   私達はもう二度と逢う事も無いのでしょう?

   だったらいいじゃないですか。

   過ちの一度や二度くらい!!

 

カト:ふーん、そうね。

   じゃあね、

   ワタクシは貴女を想い続けます。

   幸せを願い続けます。

 

シル: ……どこまでも遠い空の下でですか?

 

カト:はい。

   約束しますです。

 

シル:私はこれからも戦い続けるのですか?

 

カト:その方が良いでしょう?

   ジャッキー・タウンはその事に気付かせてくれました。

   大変素晴らしい街です。

 

シル:そうですね……。

   そうします。

   ああ…良かった、

   カトーさんとこの街で、

綺麗なまま終わることが出来て良かった。

 

カト:ウフフッ!!

   さっ、

   鰻を食べて帰りましょう!!

 

シル:ええ~~?

   また鰻ですか?

 

カト:はいっ!!

   鰻は大変温かい食べ物ですから!!

 

シル:あははっ!!

 

( 間 )( ※A地点から再開してください )

 

 

 

 

( ※ゴラちゃんを選んだ場合 )  (ジャンキー・タウン:昼間の民家 )(分岐地点へ戻る場合はクリック )

 

シル:ふぁぁ……。

   ああ、

   良く寝た。

 

ゴラ:そうか。

   何よりだな。

 

シル: ……あ。

 

ゴラ:オハヨウ。

 

シル:ごっ、

   ごめん!!

   今日はデートをする約束だったのに!!

 

ゴラ:良いさ、

   それだけ薬が良く効いたって事だろう。

   風邪のまんま連れ出すのも酷い話だしな。

 

シル: ……本当だ、

   風邪がすっかり治ってる!!

 

ゴラ:どうする?

   出かけるのか?

   俺はこのまま乳繰り合っても構わないけど?

 

シル:そういうのはもう少し大人になってから言え。

   ガ・キ。

 

ゴラ:ハハ……!!

   じゃあ支度しろよ。

   外で待ってるからさ。

 

シル:あ……。

 

ゴラ:礼なら良い、

   ほれた女に尽くすのは当然だからな。

 

シル: ……。

 

 

( 間 )( なんやかんやの忠美人は )

 

 

シル:お、お待たせ。

 

ゴラ:待ってないさ。

 

シル: ……それ、

パズルか?

 

ゴラ:ジゴロが持ち込んだ外の遊び。

   簡単なようでいて奥が深い。

 

シル:ふうん、

   是非私にも教えてくれ!!

 

ゴラ:嫌だね、

   筋肉馬鹿には身に付かないに決まってる、

   時間が勿体ない。

 

シル: ……お前なぁ。

 

ゴラ:怒るな怒るな、

   ほれ。

 

シル:これは……。

   蜂蜜酒か?

 

ゴラ:飲みながら行こう。

シラフじゃ居られないなら馬鹿になればいい。

 

シル:ひょっとして……、

   私の事を気遣っているつもりなのか?

 

ゴラ:恋人だからな。

 

シル:あ、ああ。

   『ゴラチャン』……って呼べばいいのか?

 

ゴラ:名前なんて飾りだろう?

   だからそれでいい。

 

 

( 間 )( ジャンキー・タウン:悪臭込める街路 )

 

 

狂人:ケヒャヒャ!!

   イヒャヒャ!!

 

愚者:おうぅ……!!

   あうぅ……!!

 

狂人:あっち行けよ化物!!

   気持ち悪いんだよ!!

 

愚者:ああぁぁ……!!

   やめてぇ、

   やめてよ父さん……!!

 

シル:何だ?

 

ゴラ:あれは……。

 

シル:おい、

   止めろ!!

 

狂人:ああ!?

   なんだお前!!

 

シル:何でも良いだろ!?

   何故そいつに剣をかざす!?

 

愚者:ばああ…ああぁ……!!

 

狂人:キッシッシ!!

こいつなァ?

   面白ぇのさ、

   殴られようが切り刻まれようが絶対に死なない、

   反撃もしてこない、

   キヒヒッ!!

 

愚者:ごぼっ……!!

 

シル:うっ……。

 

狂人:くらえっ!!

   無残剣!!

 

愚者:あぐあぁぁ!?

   ……あぅぅ!!

 

狂人:ケヒヒッ!!

   見ろ!!

   この様だ!!

 

シル:何なんだ……!?

   こいつは一体……。

 

ゴラ:俺達に関わりのある奴なんだろう。

   此の街はそういう所だ。

 

シル:私に関わりのある存在だと?

   繋がり……。

 

狂人:おい、

   あんたもこいつに剣を突き刺してみなよ。

   好きなだけ肉を切り刻めばいい。

   どうせ無罪だ!!

 

愚者:うぅぅ……!!

   母さん、母さん……!!

 

シル:まさか……!?

   まさかそんな……!!

 

愚者:兄……さん……!!

 

シル:嗚呼ッ……!!

   ここに、

   ここに居てくれたんだ……!!

 

狂人:知り合いかッ!?

   でも止められねえ!!

止めらねえ!!

   ……キヒヒ!!

   俺とお前はこれからずっと一緒だよん!!

   愛しい化け物ちゃん♪

 

愚者:痛いよぉ……!!

   止めてよぉぉ……!!

 

住人:いやだよ~~ん♪

死いぃぃぃ!!

……おひょ!?

 

ゴラ:良い面構えだ。

 

狂人:はっ、

   放せこの!!

 

ゴラ:ふふっ……お前、

   良い『材料』になりそうだな。

 

狂人:や……!!

   何この黒いの?

   や、やめ……、

包まないでッ!?

   ひいいぃぃ……!?

 

愚者:うぅぅ……!!

 

シル:ごめん、

   私は助けるって言ったんだ。

   それは確かに私の選んだ道だったのに。

 

愚者:こ……コロ……。

 

シル:えっ?

 

愚者:コロサナイデ。

 

シル:殺すもんか!!

   誰がお前を殺したりするもんか!!

 

愚者:モウ……ダレモコロシタクナイ。

 

シル: ……ッ!?

 

愚者:ダカラ……。

   止めて。

 

ゴラ:ほう?

   俺の事か。

 

狂人:うっ……!?

   プハァッ!!

   ゼェ……ゼェ……!!

   うっ……!?

 

ゴラ:生きたければ行くがいい。

   ( 囁くように )……命拾いは出来ないだろうがな。

 

狂人:ひっ……!?

   おっ、

   覚えてやがれぇぇぇ!!

 

シル: ……私はどうすれば良い?

 

ゴラ:未練があるからこの化物は此処に居るんだ。

   ならば、

   魔法の言葉をかけてやれ。

 

シル:魔法……?

 

ゴラ:なに、

   舌鋒(ぜっぽう)で人を殺すことも出来れば、

   説法(せっぽう)で楽にしてやることも出来る筈だ。

 

シル:この子が欲しい言葉……。

 

ゴラ:だが良いのか?

   その言葉が真実だとして、

   それでこいつはこの世界から完全に居なくなる。

 

シル: ……。

 

ゴラ:お前にその覚悟があるか?

 

愚者:う…うぅ…!!

 

シル:( 唾を呑みこむ )……。

   どんな……生き方を選んだとしても……。

 

愚者:おぇぇ……!!

 

シル:夢を……諦めたとしても……。

   誰からも愛されなかったとしても……。

 

愚者:( 呻く )……!!

 

シル:私は貴方を愛している……。

 

ゴラ: ……ふっ。

 

シル:無償でも良い……。

   何をされてもいい……。

   貴方の人生は素晴らしくて……。

   ただひたすら愛しいものだった……。

 

愚者: ……本当に?

 

シル:ああ、

きっとそうだよ。

   だからまた、

   きっと逢えるさ……!!

 

愚者: …………。

 ……ありがとう。

   ……シルヴィア・シルフィード。

 

シル:ううっ……!!

   ( 泣く演技 )――!!

   あああああぁぁぁぁ!!

 

 

( 間 )( 浄天の導き )

 

 

シル:無様な所を……見せてしまったな。

 

ゴラ:泣き止んだのならそれでいい、

   それだけでな。

 

シル:( 泣き疲れて )グスン、

   ――フッ、

   お前はどうしてこんなにも私に優しいんだ?

 

ゴラ:秘密だ。

 

シル: ……そうか。

   ああ、

綺麗な夜空だなぁ。

 

ゴラ: ……。

 

シル:( 吹っ切れたので明るく )言っておいた方が良いぞ?

 

ゴラ: ……俺も断片に過ぎないのさ。

 

シル:断片?

 

ゴラ:本当の俺はそうやって何人も自分を斬り捨ててきた。

   俺はその思い出の一人、さ。

 

シル:思い出……。

   未練か……?

 

ゴラ:もしくは後悔かもな。

複雑すぎて話にならんよ。

 

シル:私の力で救ってみせる。

 

ゴラ:その言葉は聞きたかったが、

どうやってだ?

 

シル:強くなって、

   生き続ければいつかは辿りつける筈だ、

   本当のお前に。

   

ゴラ:へえ……まあ、

   出来たらで良い、

   上手くやってくれ。

 

シル:我が剣に誓って。

 

ゴラ: ……力を求めるってのは悪い事じゃない。

   その果てに悪に染まろうが正義に染まろうが知った事でも無い、

   ――けどな?

 

シル: ……。

 

ゴラ:力を求め続ける事が、

そもそも難しい事なのさ。

 

シル: ……肝に銘じるよ。

 

ゴラ:じゃ、

   お開きにしますか。

 

シル:そうだね。

   色々あったけど君は最高のパートナーでした。

   ……ありがとう。

ゴラちゃん。

 

ゴラ:礼は良い。

   俺が最高なのは決まっている事だ。

 

シル:ふふっ、

   では部屋まで送って頂けるかしら?

 

ゴラ:喜んで、

   シルヴィア・シルフィード。

 

 

( 間 )( ※A地点から再開してください )

 

 

( ※A地点 )             (★分岐地点へ戻る場合はクリック )

 

( お別れのジャンキー・タウン )

 

シル:それでは皆さん、

   お世話になりました。

 

カト:ワタクシも行きますね、

   ゴラちゃん、

ジャッキー君バイバイ。

   この街は大変楽しかったです。

 

シル:ふふっ、

じゃあな、

   ゴラちゃん。

 

ゴラ:行ってらっしゃい。

   老兵に女騎士。

 

シル:元気でね?

   ジャッキー君。

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

   皆去って行ってしまうね♪

   素晴らしいねッ♪

 

シル:素晴らしい?

寂しい、

の間違いだろ?

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

   ボッキはね、

   ここへやって来る人も好きだけど、

   ここから出ていく人はもっと大好きなのさッ♪

 

カト:フッ、

   オフフッ、

   やはり貴方は大変素晴らしい御方です!!

 

ジャ:じゃあね、

   カトー!!

   シルヴィア!!

   君たちに出逢えて良かった!!

 

シル: ……ああ!!

   さよなら!!

 

カト:グッバァイ皆さん!!

   お幸せにぃぃ!!

 

ゴラ: ……行っちまったな。

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

   さあ~、

   今度来る人達はどんな病(や)みを持ってるんだろ?

   ヤヒヒッ♪

 

ゴラ:ジャッキー君は本当に幸せだよな。

   ここが居場所で、

   生きてる理由も確かなんだから。

 

ジャ:ヤヒヒッ♪

   ヤヒヒッ♪

   ヤヒヒヒヒッ♪♪♪

 

 




 
 
 
     
 
           
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