題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(19)~金色の獅子~
|
2014/12/28 |
6(3:2:1) |
30分 |
私は総てを無くしてしまったことに気付いて、やっと自由になれたんだ。
|
ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア
(26) |
♀ |
流浪のままに必死に生きてきた女性。
優しく勇気があり、
不思議と皆が憧れてしまう存在。 |
ガルフォード
(32) |
♂ |
この話はガルフォード無双です。
主人公格なのでやりがいがあります。
カリスマ性あふれる武人。 |
エレナ(30)
ノバラ(79) |
♀ |
エレナはしとやかな聖騎士。
ノバラはコメディタッチな老婆です。
ギャップ萌え枠。
|
ゼオルード(226)
オノウ(28) |
♂ |
ゼオルードは冷酷な魔術師。
オノウは情熱的なオカマです。
色物枠。 |
ジェミ(28)
カミュ(42) |
♂ |
ジェミは心優しい猫族の長。
カミュは良い齢の性悪剣士。
比較的無難枠。 |
フェンシア(108)
ポタ(11) |
不問 |
フェンシアは蠱惑的なハーフエルフ。
ポタは元気いっぱいの猫族の少年。
お色気あざと枠。 |
「風のシルヴィア(19)~金色の獅子~」
悪夢の街から生還したシルヴィアは因縁の地、クロウリで宿敵と出逢う。
登場人物が大目で年齢もバラバラですが兼ね役で頑張ってください。
メリークリスマス。
( クロウリの村:入口 )
シル: ……獣の国クロウリ。
数多の亜人を束ねた王たる獣、
獣王。
彼はこの地にもはやなく、
クロウリもまた、
滅びゆく定めなのだと聞く。
ジェ:やはり来たのですね、
シルヴィア。
シル:久しぶりだな。
ネコ族の亜人殿。
ジェ: ……歓迎しますよ?
らしく振舞ってくれている内はね。
シル: ……ああ。
相変わらず、
緑と命も満ち満ちた良い村だ。
ポタ:ねえちゃああん!!
シル:お前……ポタか!?
ははっ!!
ポタ:元気にしてたかい!?
相変わらず美人だねえ!!
シル:こっちの台詞だよ、
本当に……。
ポタ:んー?
シル:本当に……。
ジェ:続けてやればどうです?
『逢えて良かった』、
『すっかり見違えた』、
と。
ポタ:あれれ~?
もしかして、
シルヴィア姉ちゃん、
記憶を取り戻しちゃったのかい!?
シル: ……私と戦うかい?
ジェミにもポタにも、
その資格がある。
ポタ:まさか!?
ジェ:貴女が犯した罪は許されるものではありません。
獣王様を暗殺し、
クロウリとアイゼフィールとの戦争を招いた張本人、
シルヴィア・シルフィード。
シル:おかげで記憶を無くし、
さ迷い続けたが、
確かに得る物もあったよ。
ジェ:ふふ……。
良い心胆ですね。
シル:私も出来る限り足掻くつもりだ、
世界を斬り尽くしてでも生き延びてみたい。
ジェ:素敵ですね。
貴女はあの頃とは、
もはや違う。
シル:ほう?
ジェ:か弱い細り女のあの頃ならばそうしても良かった。
ですが今の貴女は余りにも……。
シル:続けたらどうだ?
『良い女になった』、
『殺すには惜しい』、
とな。
ジェ: ……生きる覚悟を決めた女とは、
かくも見事で妖艶なるものなのですね。
ポタ:本当に姉ちゃん変わっちゃったね、
人間なのにガル兄そっくりだよ。
シル:ガル兄?
ポタ:うん、そーだよ?
ガルフォード・ガーデウス。
『ディオールの四騎士』の一人さ。
シル: ……それは知っている、
だが、
ガルフォードはアイゼフィールの英雄だろう?
お前達、
亜人種の共通の敵の筈だ。
ジェ:話せば長くなりますが、
今となってはガルフォードは、
我々の同志なのです。
シル:馬鹿な……。
奴には大勢殺されたはずなのに。
ジェ:ええ、
そして我々も大勢殺しました。
だからこそ見えた光明もあったのです。
シル: ……本当に甘くて優しい猫だ。
ジェ: ……。
シル:『灰銀のジェミ』、
そんな性で生き抜いていける程、
お前達の境遇はぬるくは無い筈だが?
ジェ:解っていますとも。
虐げられた無明の日々を忘れるつもりはありません。
ですが……ああ、
ほら、会ってみたほうが早いでしょう?
シル:ん?
ジェ:感じませんか?
英気がやってくるのを。
ガル:ぬううぅぅぅぅぉぉぉぉおおおおおおお!!
シル:ん?
ガル:でええぇぇぇいい!!
ポタ:わお、
また意味も無く大木を蹴り倒したねっ♪
ガル:( 荒い息 )ぜぇ……ぜぇ……!!
ジェミ!!
待った!?
ジェ:いえ、
ただ懐かしき知己がそこに。
ガル:オッ!?
オオオッ!?
シル:なっ、
なんだ?
ガル:シルヴィア!!
お前シルヴィア・シルフィードか!?
ウハハハハ!!!
シル:な、何を笑う!?
ガル:ああ、
お前と再会出来た事に驚きだ!!
あの時の死に兵が、
まさかこんなにも麗しく実っていたとは……、
なッ!!
シル:なんっ!?
……貴様っ!!
ガル:何だよ釣れねえじゃねえか、
乳の一つくらい大目に見ろって!!
ワハハハハ!!
シル: ……。
ガル:( 咳払い )……うむ。
嬉しいぞシルヴィア。
……良くぞ生き抜いてきてくれた。
シル:嬉しい……?
だって私は……。
ガル:お前は立派に使命を果たした、
それを下らぬ隠ぺいの為に御破算にしたのは俺達だ。
本当に済まなかった、
シルヴィア。
シル:ガルフォード……。
ジェ:こほん。
ガル:あっ。
ポタ:正直なのも良いけどさ、
それで傷つく亜人も居るって事、
そろそろ学んで欲しいよね。
ガル:悪い、
そんなつもりじゃなかったんだが。
ジェ:肚に二物がある人間よりは信頼に足る存在ですよ。
だからこそ我々は貴方に協力するのですから。
ガル:かたじけない。
クロウリの衆よ、
俺は必ずアイゼフィールを滅ぼし、
お前達と俺達が共存する国を創り上げて見せよう。
シル: ……何だと?
ガル:おお、
そうだったなシルヴィア、
お前は知る由も無かったか。
シル:どういうことだ!?
何故貴方が祖国に楯突く!?
ガル:さて、な。
愛想が尽きたと言えば解り易いが……。
やりたいことが出来た、
と言えば皆が納得するか。
シル:違う!!
そうではない!!
貴方は誇り高き『ディオールの四騎士』ではないか!!
ガル:ああん?
シル:300年前、
アイゼフィールを建国した四人の英雄の末裔、
それが貴方の筈だ!!
私が憧れ、
その後塵に追いすがろうと、
必死で必死で目指し続けた夢だった筈だ!!
ガル:俺は俺だ。
お前の夢じゃない。
シル:黙れ!!
貴方は祖国を裏切ってはいけない!!
それだけはやっちゃいけないんだっ!!
ポタ:姉ちゃん……。
ガル兄に剣を向けるの?
シル:( 追い詰められたように )―――!!
ガル: ……やれやれ、
成程な、
干戈を交えて解る志もあるか。
ジェ:手を貸します。
此処で貴方に死なれては困る。
ガル:このガルフォード・ガーデウスが小娘の膂力に負けると?
良いから黙ってろ!!
ガキ!!
ジェ:しかし今の貴方は徒手ではないですか!?
それに彼女の力は――。
ガル( 被せる )充分だ。
ジェ:えっ?
ガル:覇道を志した時から決めていた。
何事も『これしきの事』!!
如何なる苦難も造作無く渡り歩いてこその覇王だと!!
シル: ――ッ!?
ガル:どうしたぁ!?
遠慮は要らんぞ!!
シル:う……!!
うあああぁぁぁぁ!!
ガル: ――ぬんっ!!
シル: ……ごふっ!?
くっ……!?
かはっ……!!
ガル:もう寝ろ、
シルヴィア。
面倒は見てやる。
シル:う……。
………。
ポタ:すご……。
圧倒的だね。
ジェ: ……本当に貴方は獣王様に瓜二つです。
磊落で純粋で何よりも、
一緒に居て楽しい。
ガル:是非まみえてみたかったものだ、
きっと良き友人となれたであろうにな。
ジェ:ええ、
きっとそうです。
ガル:( 微笑み )……よっと。
ポタ:ガル兄、
姉ちゃんを連れて行くの?
ガル:ああそうだ。
……安心しろ、
乱暴な真似はしないさ。
シル: ……。
( 間 )( はじまりの夢 )( ※回想シーン )
シル:これは……。
夢……?
そうだ……この夢は。
………この日は。
私が最後にアイゼフィールを愛した日だ。
ゼオ:良くぞ来たな、
シルヴィア・シルフィード。
シル:皆様の会談に招かれるとは恐縮です。
私に何の御用でしょうか?
フェ:まあ、
あまり良い趣では無いな。
カミ:何を言う、
栄えある事だぞ?
シルヴィア・シルフィード、
お前にしか果たせぬ使命だ。
シル: ……私にしか出来ぬ事、
ですか?
エレ:貴女の力で戦争を終わらせることが出来るのです。
他でもない、
貴女自身の力でね。
シル: ……暗殺、
ですか?
カミ:良い勘だな、
騎士の誇りにかけて全うするが良い。
ゼオ:オーズィ陛下の勅命よ、
逆らう事は出来ぬぞ?
シル:何故私なのです?
フェ:さもありなん、
そなたが美しいからよ。
エレ:かの者も貴女であれば油断する事でしょう。
好色で有名ですものね。
カミ:クフフッ……!
女であれば人でも良いとは、
まさに獣の王に相応しき度量よな。
シル:まさか……クロウリの獣王を?
ゼオ:然り。
いささか難敵ではあるがな、
酒と色香で惑わせれば落とせぬ的ではあるまい?
シル:何故です!?
戦争を終わらせると言うのなら、
獣王は和睦の交渉を既に進めている筈、
話して解らぬ相手ではありません!!
カミ:フンッ!!
和睦とは片腹痛い!!
汚らわしい亜人共なぞ根絶やしにしてくれるわ!!
シル:納得できません……。
私には……理解できません……。
ゼオ:儂を見よ、
シルヴィア。
シル: ……。
ゼオ:クロウリを信じて何になる?
儂を信じたお主が如何なる生を歩んできたか、
お主が一番解っておる事と思うがのう?
シル:それは……。
ゼオ:それでも尚、
幸福であったとうそぶくのであればそれも一興、
傭兵くんだりから見事騎士の座を射止めた器量も見事じゃ。
シル:今の私があるのは貴方の御蔭です。
ゼオ:さに非ず、
儂が良いたき事はじゃな、
『果たして皆が、お主の様に力強く生きれるか?』
ただそれだけよ。
シル: ……ッ!?
ゼオ:成程、
文句を謳うは容易い。
じゃがな、
穢れたこの世に生を受け、
一体どれほどの人間が栄華を掴める?
どれほどの人間が無垢なまま生を終える事が出来る?
シル:それは……。
ゼオ:所詮相手は獣よ。
民は亜人を蹂躙し、
蹴落とすことに夢中になる。
よしんば和睦が成ったとして、
下らぬ商争や異文化に戸惑い、
更なる憎悪を産むだけじゃて。
シル:それでも、
私は……。
エレ:ふふ……素敵ですわね。
折れませんか?
シル: ……。
カミ:ならば直截に行こうではないか。
我々は和睦する気など毛頭無い。
フェ:シルヴィア、
そなたが行かぬとあらば、
そなたの傭兵部隊を前線へ送り込むことになる。
シル:エルツィ傭兵団を?
エレ:屈強な亜人達を相手取り、
一体何人の兵士が犠牲になるのかしらね。
シル:卑劣な!!
エレ:存じています。
ですが我々はきっとそうします。
カミ:木端如きが何人死のうと知ったことでは無い。
元より戦う事が貴様等の仕事なのだからな。
シル:私が愛した祖国はこんな詰まらない国じゃなかった!!
民達はのどかに暮らし、
平和で、
戦いを誇り、
それでも尚皆が平等にあろうと努力した国だった筈だ!!
フェ:そなた達の御蔭でそうあれたのだ。
決まってしまったこととはいえ、
そなたには夢を見続けて欲しかった。
カミ:その民の顔が醜く歪む行為がクロウリとの和睦なのだ!!
シル:そんなことはありません!!
ゼオ:どうするシルヴィア?
己の犠牲で国一つ救えるとしたならば、
我々は躊躇なくそうするぞ?
シル:( 涙声になりながら )私……は……。
私は……。
ゼオ:肚を決めよ。
『 サラ 』、
これぞ『英雄』の末路に相応しいではないか。
シル:私は……こんな人生の為に……。
アイゼフィールに今まで尽くして……。
エレ:もう一つ。
この令を遂行したならば、
機密の漏えいを防ぐ為、
貴女には記憶を失っていただきます。
シル: ……。
エレ:安心して下さい。
それ相応の報酬と身の安全は我々が保証します。
シル:貴女達の……今更何を信じれるというのですか?
記憶を失ってしまえば、
私は私でなくなってしまうと言うのに。
エレ: ……。
そうね、
その通りですわね。
カミ:さっさと選べ!!
我々とて暇ではないのだ!!
シル:良いでしょう。
( 少し小声で )……引き受けます、
ゼオ:聞こえぬな。
シル:私が獣王を暗殺しましょう!!
……その代わり条件が。
フェ:何なりと申すが良い、
我がそなたに出来る事であればなんでもしよう。
シル:どなたかこの場で、
私と全力で戦っては頂けませんか?
この失われゆくシルヴィア・シルフィードの剣技を、
せめて最後にこの舞台で、
英雄で試させてほしいのです。
フェ: ……そうか。
まさかそんな褒美で良いのだな?
シル:はい。
私はこれだけが取り柄の女でしたから。
カミ:( 嘲笑い )――滑稽だな。
わざわざ挫折を味わってから死地へと赴くか。
シル:それでも私は貴方達と戦いたかった。
アイゼフィールの兵士として、
私は貴方達が大好きだった。
エレ:ありがとう、
シルヴィア。
私も貴女が大好きでした。
ゼオ:なれば誰が相対すものか。
選ぶとなれば、
やはりエレナ・フェンシアが無難かの?
エレ:シルヴィアは手強い兵ですわ。
私の剣ではきっと痕を残してしまいます。
フェ:我で良いか?
シルヴィア。
全力でとあらば、
我もそなたの身体を損なってしまうと思うが?
シル:どなたでも構いません、
負けても損なっても構いません。
ただ、
私を忘れないでください。
フェ: ……そうか、
相分かった。
存分に――。
ガル:( 被せる )俺がやろう。
エレ:ガルフォード……。
カミ:ガルフォード!!
突然なんだ貴様!!
ガル:俺がお前に出来る事と言えば此れくらいだからな。
シル:貴方が……。
ガル:でな?
お互い素手でやろうや、
それなら死ぬこともまず無いだろう?
ゼオ:ほう……。
フェ:クク……相変わらず熱い男よ。
……条件がいささか変わってはいるがな?
ガル:こまけぇ事はいいんだよ!!
どうだシルヴィア!?
やるか!?
シル:ふふっ……解って仰っているのですか?
龍の血を取り込んだ私の腕力を。
ガル:お前こそ、
大鎚使いの俺の力は知ってるな?
シル:金色の獅子、
ガルフォード・ガーデウス。
王の右腕、王の盾、
王の友。
ガル:そうだ!!
それにお前になら、
このハンサム顔をボコボコにされるのも面白い!!
良い土産になるさ。
シル:( 嬉しそうに )ありがとうございます。
……ガルフォード様。
ガル:ワハハハ!!
これからお前が背負う屈辱に比べたら、
こんなもん鼻くそ並みの恩返しだろうが。
シル:ふっ。
では、やりますか。
ガル:来いよシルヴィア!!
手加減なんざしたらぶっ殺すぞ!?
シル:はい!!
殺す気で行きます!!
( 間 )( ガーデウス城:寝室 )
シル: ……。
んっ……?
ガル:起きたか?
シル:ああ……。
お前か。
……うっ!?
ガル:無理はするな。
多分柄の骨が折れてるだろうからな。
シル: ……殺さないんじゃ無かったのか?
ガル: ?
何の話だ?
シル: ……ふっ。
いや、
何でもない。
ガル:それより俺の城はどうだ?
急ごしらえにしちゃあ無骨でかっこいいだろ?
シル:中からじゃ何も見えん。
ガル:ワハハ!!
ま、そりゃそうか。
後で案内してやろう。
シル:( 気だるげに )……誰に造らせたんだ?
ガル:民草よ。
亜人も人間も含めてな?
俺の国の民に造らせた。
シル:もう国王気取りなのか。
……随分と気が早い。
ガル:一度決めたら後は突き進むだけだ。
その為の努力も準備も抜かりは無かった。
シル:血筋のくれた才能は?
ガル:出涸らしになるまで使い果たす。
でもってな?
父祖から貰った力は拵えたガキに受け継がせるさ。
シル:それは素敵だな。
あんたは良い王様になれるよ、
きっとな。
ガル:なんだぁ?
もう熱が冷めたのか?
シル:頭が冴えたのさ。
……私が愛した国も、
愛した人も、
もうこの世界には何もない。
私は総てを無くしてしまったことに気付いて、
やっと自由になれたんだ。
ガル:へえ。
シル:どう思う?
ガル: ……貴様、
今はフリーか?
シル:フr……?
ま、まあそうか。
そうだな?
ガル: ……!!
( 小声で )あの野郎……!!
シル: ……。
ガル:良し。
シル:え?
ガル:俺の女になれ、
シルヴィア。
シル: ……。
は?
ガル:絶対幸せにする、
約束する。
シル: ……お前なあ!!
ガル:嘘じゃねえ!!
この国も民も全部お前のもんだ、
お前に総てを捧げる!!
俺の全部をくれてやる!!
シル:睦言にしては悪態が過ぎるぞ?
私の気持ち、
ジェミやポタ達の気持ちはどうなる?
考えたことがあるのか?
ガル:そんな事は考えたことも無い。
俺は楽しい国を作れればそれで良いし、
楽しい家族がそこに居てくれたら尚素晴らしいと思う。
ただそれだけだ。
シル:論外だな、
慈しみと思慮の無い社稷に何の未来がある?
暴君の兆しが射しているぞ、
金色の獅子よ。
ガル:そんなものは後から取り入れればいい。
俺よりそういうのが得意な奴に任せればいいんだ。
俺は独りじゃないんだからな。
シル: ……なら、
どうして私なんだよ?
ガル:俺にはお前しか見えないからだ。
シル:私は放浪者だぞ!?
ガル:俺とて反逆者にして国王だ。
そしてお前は、
放浪者にして英雄だ。
シル:えい…ゆう……。
ガル:エレナに勝ってきたんだろう?
影に頼らずともお前の噂はまるで、
風の様に鳴り響いている、
冒険の日々、苦悩の日々、
立ち向かい続けた日々、
それらはまるで英雄の伝記ではないか。
シル:お前は……私の人生に惚れたのか。
ガル:違――!!
ああもう、
めんどくせえなおい!!
シル:うっ!?
ガル:抱かせろシルヴィア。
シル:やっ、
嫌だッ!!
ガル:俺が信じられんのなら身体で教えてやる!!
お前を女にしてから存分に愛を注いでやる!!
シル:止めろッ!!
止めてくれ!!
ガル:良いじゃねえか!!
やらせろ――!!
オノ:( 被せる )オウリャ!!
ガル:うぶぉえあっ!?
オノ:出ていけぇ!!
ガル:へびゃん!?
オノ:( 手を叩く )全く、
信じられないわ!!
力尽くで押し倒すっていうなら、
せめてシャワーを浴びさせなさい!?
シル: ……えっ。
そこ?
オノ:無事なのね!?
小娘!?
シル:な……何だ、
このムキムキのオカマは。
オノ:あたしの名はオノウ!!
新生クロウリの軍事大臣よ!!
ガル:うぐぐ……。
ハッ!?
ババァ!?
ノバ:キエエエェェェェ!!
ガル:いてっ!?
おっ、おい!?
おい止めろババァ!!
ノバ:乙女の仇イイィィ!!
ガル:解った解った!!
俺が悪かったって!!
ちくしょおおおぉぉぉ!!
ノバ:ゼェ…ゼェ……。
情けなし、
一国の王が強姦を試みるとは。
オノ:あっちのババァはノバラ、
亜人の宮廷占い師よ。
ノバ:間一髪じゃな、
シルヴィアさん。
シル:いえ……その、
ありがとうございます。
……助かりました。
オノ:でもあれよね、
第一印象がこれじゃあ先が思いやられるわよね?
ノバ:そうさのう、
まあ、
エネルギッシュな情熱は理解してもらえたかのう?
オノ:馬鹿ねえ、
あれは只の性欲よ。
何せ目の前に、
半裸の美女が弱っていたらねえ!!
オホホホホ!!
ノバ:ブヒョヒョヒョ!!
わ、若いって、
ええのう!!
シル: ……。
オノ:さて、
式はどうしようかしら?
やっぱアイゼフィール式?
ノバ:今更のう、
かといってクロウリ式は放送出来んしのう。
オノ:あらやだ!?
激しいの!?
ノバ:おうおう、
そりゃあもう、
ケダモノ並みよ♡
オノ:いやん…もう♥
オノ&(ノバ):オホホホホホホ!!(ブヒョヒョヒョヒョ!!)
シル:あの……。
式って、
一体?
ノバ:ああ?
さもありなん、
そなたとガルフォードの結婚式に決まっておろうが。
シル:え……。
オノ:うふん、
お幸せに♪
シル:えっ!?
エエエエェェェェェェ!?
|