題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(22)~影の光~
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2015/02/14 |
5(2:2:1) |
30分 |
君が僕の幸せを願ってくれるように、僕も君に幸せになって欲しい。
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ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア(26) 女給(不詳) |
♀ |
誠実で気高い女騎士。
誰よりも優しく、誰よりも不器用。
女給と兼ね役でお願いします。 |
ゼオルード
(226) |
♂ |
底知れぬ狂気を秘めた宰相。
冷酷且つ残虐な妖怪爺。
村人と兼ね役でお願いします。 |
道化&村人&父親
(不詳) |
♂ |
圧倒的モブ。
演じ分ける事が出来れば楽しいかもしれません。
父親は気弱な感じでお願いします。
|
ジーニアス
(17) |
不問 |
『王の影』の異名を取る空虚な暗殺者。
『影』という実体化している分身を持つ。
すっごい喋るし叫ぶよ!! |
ミシェル
(15) |
♀ |
質実兼備で心優しき美少年。
故人(詳しくは5話&6話を宜しくな!)。
出番少な目です。 |
民1&2&3
(不詳) |
不問 |
皆さんで割り当てて下さい。 |
「風のシルヴィア(22)~影の光~」
とある暗殺者の葛藤の話。
今虚しいと思っている人に、
何か少しでも報われて欲しいと思って書きました。
( 夢の中 )
ジー:何時からそう思ったのだろうか。
ミシ:何が?
ジー:僕は憎悪を抱き続けながら生きるより、
ただの機械である方が幸せだと確信したんだ。
ミシ:それは間違っていたのかい?
ジー: ……解らない。
でもそれは、
決定的に何かを踏み外してしまうものだった。
ミシ:後戻りが出来ないって事?
ジー:そうさ。
僕は只の暗殺者。
どれだけ英雄視されても、
もうそれだけは変わらない。
揺るがない事実なんだよ。
ミシ:だけど君は生きている。
ジーニアス・フィール・トライダアト。
ジー: ……だけど君は死んでしまったね。
ミシェル・フォン・フィーバストルテ。
ミシ:教えてくれ。
君が本当に為したかった夢は、
何だったんだい?
ジー:僕が?
僕が為したかった事……!?
はっ、そんなの――。
( 間 )( 王都アイゼフィール:市井 )( ※出来ればひそひそ言って下さい )
民1:うう……。
ぐすっ……。
民2:おい、聞いたかよ?
フェンシア様が戦死なされたって話。
民3:まさか!?
有り得ないよ。
あのフェンシア様が。
民2:だけどさぁ、
只でさえ四面楚歌のアイゼフィールだ。
もしも事実だとしてもさぁ。
民3:公表することは無い……か。
民2:ああ。
北の連中は随分と焦ってるって話だ。
民3:やれやれ。
エレナ様は引き籠っちゃったし、
ガルフォード様は裏切るし。
……これじゃ、
この国も終わりだな。
民1:( 泣く )――。
民2:おい、
泣くなよ。
まだ四騎士が、
全部居なくなった訳じゃないんだからさ。
民1:違うよぉ……。
民3:ああ?
民1:ひい婆ちゃんが言ってたんだ。
フェンシア様は優しかったんだって。
だから独りが好きだったんだって。
……今ならそれが解る気がしてさぁ。
民2&3: ……。
( 間 )( 王城:掃き溜め通路 )
道化:トテテン♪
トテツク♪
女給:あら、
ごきげんよう。
道化師君。
道化:やあ♪
可愛い女給さん。
女給:また素敵な創り話を聞かせて?
道化:良いけど、
サボってて良いのかい?
女給:良いのよ。
私みたいな端女、
誰も見向きもしないんだから。
道化:じゃあ、
ハーフエルフと孤独な老人の御話はどう?
羊腸で可哀想な物語。
女給:アハハッ!!
相変わらず悪趣味ねぇ。
道化:泣かせる自信はあるぜ~♪
ベベベン♪
女給:そういえば、
そのフェンシア様が、
亡くなられたって本当かしら?
道化:ん~~?
女給:暫く見ていないもの。
あの人の綺麗な御顔を見るのが、
大好きだったのに。
道化:ただの噂さぁ。
本当ならベルホストの連中が、
放っておく筈ないよ~♪
女給:それもそうね。
不安な事は考え無い様にしましょ。
道化:そ~そ、
さ~さ、
仕事仕事。
仕事へどうぞ~♪
女給:あら?
恋の御話は?
道化:怖いお爺ちゃんがやってくる~♪
怖い顔してやってくる~♪
女給:またまたぁ、
そんな嘘吐いちゃって――。
ゼオ:( 被せる )何じゃ、
近頃の王城勤めは。
ここまで寄っても気付かぬのか?
女給:ひっ!?
ゼ、ゼオルード様!?
道化:やあ♪
ゴラムザード卿。
ゼオ:もう良い、
失せよ下女めが。
女給:は、はいッ!!
ゼオ:どこから入り込んだかは知らぬが、
面妖な道化め。
儂自らあしらってくれるわ。
女給:あのっ!!
その子は決して悪い子じゃ――。
ゼオ:( 被せる )ああ?
誰に口を訊いておる?
女給:いっ、いえっ!?
申し訳ございませんでした!!
ゼオ: ……全く、
招喚を命じてはおったが、
まさかその様な成りで、
紛れ込んでおったとはな。
ジー:やあ、
ゼオ爺。
良く僕が判ったね。
ゼオ:魂にこびりつく穢れは隠せん。
緩みきった王城においては特にな。
ジー:しかし、
その王城も閑散としてるねえ。
民達も不安で仕方ないみたいだし。
ゼオ:やはり、
あやつの死はそれ程の衝撃か。
ジー:素知らぬでは通じないと思うけど?
それとも本当に、
何も感じないとなるとぉ……。
いよいよもって枯れちゃったのかな?
ゼオ:たわけ。
良くもいけしゃあしゃあと。
貴様がフェンシアを手引きした事は解っておるのだ。
ジー: ……あんたが死ねば良かったのに。
ゼオ:ハッ!!
……青いのう。
やはりまだ小童か。
ジー:御蔭で僕まで悪役だ。
これ程無念な事は無い。
ゼオ:だがそれで、
宿願が叶うのではないか。
ジー:まあね♪
ゼオ:どちらに転んでも外れ無き道とは、
如才無き男よ。
ジー:それでどうなんだい?
首尾は。
ゼオ:さて、
上手く創る他にあるまい?
このままでは、
大駒が足りぬでな。
ジー:ガルフォードは強い。
急がないと間に合わないってのに、
君は随分と楽しそうだね。
ゼオ:応よ。
戦に魔導に政、
飽きる程に喰らい尽くしたその果てに、
ようやく己の願いが見えてきおった。
その悦びが貴様に解るか?
ジー:解るよ。
僕と君は似た者同士なのだから。
ゼオ:フハハハ……!!
まあ、待っておれ。
すぐに死ぬ程使役してやろう。
ジー:それは……楽しみだね。
( 間 )( アイゼフィール近郊:暁へ向かう道 )
シル:さて、
もう少しでアイゼフィールだ!!
……ふふっ。
村人:おおい!!
旅の御方、
朝焼けに何をそれ程はしゃぎなさる!?
シル:えっ!?
……いえ。
懐かしくて、つい。
村人:アイゼフィールへと続く道が、
ですかな?
シル:私は長い間、
この国の禄を食んでいた身ですので。
村人:ホッホ……。
やはり貴女には、
この世界は狭過ぎましたかな?
シル:はい?
村人:ロヴェル団長に救い出され、
まるで幽鬼の様にふらつく貴女を、
クロウリへいざなったのは私です。
シル:貴方は……。
村人:それがまさか、
たった一年足らずで帰って来てしまうとは。
風のシルヴィアここに極まれり、
ですかな?
シル: ……騎士とは祖国に忠誠を誓う者。
たとえ裏切られても、
傷ついても、
逃げ出しても、
最後には必ず戻ってきてしまう者なのです。
村人:へえ?
僕はそうは思わないけどね。
シル:違いますか?
ジーニアス、
『王の影』よ。
ジー:それは狗の生き方だ。
シルヴィア、
君は狗か?
シル:そう呼ぶ人が居るのならそれでいい。
それで私が変わるとも思わない。
ジー:( 満足そうに )――そう。
君はそれでいいんだ。
それでこそシルヴィア・シルフィードだよ。
シル:今ここに居る貴方も、
『 影 』なのですね。
ジー:その通り。
僕は判り易く言えば分身人間だ。
何処にでも居るし、
実は何処にも居なかったりする。
シル: ……何故です?
貴方はあの時、
その影で私を殺すことも出来た筈。
何故私を見逃したのですか?
ジー:見てみたかったのさ。
たった一人の人間がどこまで足掻けるか、
どこまで強くなれるのか。
シル:馬鹿げている……!!
私にそんな価値等ありません!!
貴重な影を割いてまで、
貴方は何をしていたのですか!?
ジー:君が好きだからさ。
シル:なに?
ジー:君が僕等を英雄視する様に、
僕達も君の事が大好きだった。
ただそれだけの事さ。
シル: ……私はもう、
貴方々に憧れを抱きません。
ただ好きなだけです。
ジー:( 口笛 )――♪
やっぱり良い女だ。
ガルフォードが一途になるのも無理はない。
シル:話があるから私を待って居たのでしょう?
ならば早く仰れば良いではないですか。
ジー:おお~~?
僕の扱いに慣れて来たねぇ。
シル:大事な話なのでしょう?
ジー:何故解る?
シル:闇の中で生きる貴方が表に出てきたと言う事は、
やはり平時では有り得ない事ですから。
ジー: ……総てを知った後で君が何を為そうと、
僕は君を応援する。
殺してくれても構わない。
シル:貴方は……。
何を……。
ジー:ふふ……。
僕はね――?
( 間 )( 王城:誰も知らぬ部屋 )
ジー:本当にそんなことが出来るのか……!?
ゼオ:貴様の影は実に見事な触媒じゃ、
まさに万能の器と呼ぶに相応しい。
ジー:『時の翁』にそう言われるのは光栄だけどさ、
どうせ良からぬ企みなんだろ?
ゼオ:なに、
善悪の択一は民の決める事よ。
真の弱者であれば、
フフ……まあ否定はすまい。
いや……させぬがな?
フハハハ……!!
ジー:それで?
君が僕から奪った影だけじゃ、
足りないって言うのかい?
ゼオ:念には念を入れておきたい。
そこでどうじゃジーニアス、
もう一体、
影を儂に譲ると言うのは?
ジー:それはつまり、
僕にそこまでさせる見返りがあるって事か。
ゼオ:最後に残った貴様の影を用いて、
貴様の最も愛する者を、
生き返らせてやろう。
ジー: ……何だって?
ゼオ:儂には貴様の渇望が見えるぞ?
人ならざる身で、
人の心を理解しようと足掻き、
暗い水の底で蹲る獣の姿がな。
ジー:どの面をして救いを差し向ける?
その醜くヒビ割れた腕で、
僕を掬い上げるというのか?
ゼオ:左様。
儂は悪魔に相違無い。
故にしっかと、
代価は払って貰おう。
ジー:代価?
ゼオ:まずは影もう一体の速やかな提供。
これは、
件の禁術の実験体にさせて貰う。
ジー:それから?
ゼオ:貴様の魂の永劫の束縛じゃ。
最愛の者が蘇った途端、
反旗を翻されてはたまらんのでな。
ジー:その頃には、
僕は影を持たない只のアサシンじゃないか。
構わないでくれよ。
ゼオ:その技量はやはり惜しい。
この枯れ果てた老骨に変わり、
死神の鎌を振るって欲しいのじゃ。
その命尽きるまで、な。
ジー:き・ち・く!!
ゼオ:フハハハ!!
如何にも、
如何にも……!!
……さて、
貴様に選ぶ余地があるかの?
ジー:ある訳無いだろう?
僕に意味なんて無いのだから。
( 間 )( 夢の中 )
ジー:何が楽しくて生きていたんだろう……。
何が楽しくて殺し続けて来たんだろう……。
何が……。
ミシ:君の人生に、
本当に意味は無かったのかい?
ジー:僕は何でも出来る。
楽器も一通り弾けるし、
言葉も色々話せるけどさ、
そんなもの、
人を殺す為の道具でしか無かったんだ。
ミシ:でも家族は居たんだろ?
それも意味は無かった?
ジー:家族……?
ミシ:君に逢いたがっているよ?
ジー:ハン!!
どうせ本当の家族じゃない。
あんなの、
好きでも何でもなかったさ。
ミシ:でもさ、
彼の話も聞いてあげてよ、
ジーニアス。
ジー:はいはい、
聴くだけなら聴きましょう?
ミシ: ……。
父親: ……ジーニアス。
ジー:やあ、
父さん♪
父親:久しぶりだね、
ジーニアス。
ジー:なんで……ああ、そうか。
ゼオ爺の実験の副作用、
ちょっぴりリアルな夢って所か。
父親:時間は無い。
だから最後にアサシンとして、
君に伝えておきたい事があるんだ。
ジー:それはそれは(笑)
此の僕に対してねぇ。
今更届くとは思えないけれど、
どうぞ?
父親:トライダアト家は光と影、
そのどちらも内包した務めを持つ一族だ。
ジー:ふうん?
父親:人々は我々を暗殺者として畏れるが、
それをお前が恐れる事は無い。
何故ならば、
我々はこの国に必要な『英雄』なのだから。
ジー:トライダアト……古き国の四騎士……。
1000年の伝統と誇り……。
もう聞き飽きたよ。
父親:だが、
どうしても己の生に誇りを見い出せないのであれば、
それもまた仕方が無い事だ。
ジー:じゃあ、
どうしろっていうんだよ?
父親:その時は自分の『 光 』を見つけなさい。
命を賭して、
この人を盛り立てる。
陛下でも如何なる貴人でも無い、
己が信じた人の為に『 影 』と成りなさい。
ジー: ――ッ!?
そんな生き方ッ!!
あんたが僕に一番伝えたかったことがそれか!?
あんたが見つけ出した『答え』だってのか!?
父親:仕方が無い、
我々はそういう存在だ。
私も色々頑張ってみたが、
やはりこういう風にしか生きられなかった。
ジー:あんたは、
やっぱり死んだんだな?
父親: ……ああ。
総ての化けの皮を剥がされ、
誰とも判らぬままに捨てられたよ。
ジー:情けないの。
仕事が出来ない奴は嫌いだね。
父親:( 達観 )――。
私はお前を『連れてきて』本当に良かった。
お前が家に居てくれた、
ただそれだけで闇の中を生きていける気がしたんだ。
ジー:僕は光なんかじゃない。
血塗れの、
ただの壊れてしまった玩具だ。
父親:だが、
今お前は、
お前自身の『 光 』の為に生きている。
なら、
それで良いじゃないか。
ジー:良くないって。
馬鹿親。
父親:その、
父親らしい事は何一つしてやれなかったが、
お前が悩んでくれる子に育ってくれて、
嬉しかった。
ジー:なんだよそれ、
アイゼフィールどころじゃない、
世界が滅びるかも知れないってのにさ。
父親:大丈夫だよ?
何時だって今更だなんて言葉は存在しないんだ。
誇り高く、
自分の道を歩みなさい。
ジーニアス。
( 間 )( アイゼフィール近郊:希望へと続く道 )
ジー:それから……ええっと。
なんだったっけ?
ええっと……。
シル:ゼオルードとの密約、
夢の中での父君との会話、
それを私に話した意味。
ジー:そう!!
そうだ、
それを伝えなきゃ……!!
シル:何故……泣いているのですか?
ジー:えっ?
あ、あれ……?
変だな。
シル:誰の為に涙を流すのですか?
ジー: ……僕は。
シル:はい。
ジー:僕はあいつが大好きだったんだ。
シル: ……はい。
ジー:守りたい友達が居た……!!
たった一人しか居なかったけど、
そいつの為ならどれだけ手を穢しても!!
穢れても傷ついても手足をもぎ取られても!!
僕はどんなになっても構わなかったのに!!
シル: ……。
ジー:それなのに!!
なんで!?
何であいつが死ななくちゃならなかったんだ……!!
あいつを英雄にさせる為なら、
僕は喜んで闇の中を生きたのに……!!
だのになんで……なんであいつがぁ……!!
シル:自分を責めないでください。
あの子も、貴方も、
きっと悪くない。
ジー:ハハ……!!
ハハハハ……!!!
笑ってくれよ、
シルヴィア。
シル: ……。
ジー:僕は例え世界を犠牲にしても、
大事な家名に泥を塗ってでも……!!
僕はまた……!!
またあいつの笑顔が見たかったんだあぁぁぁぁぁ………!!!
シル:ジーニアス……。
ジー:( 泣く )――。
シル:それが……貴方だったのですね。
ジー: ……ふふっ。
そうさ、
無様だろう?
シル:いいえ?
とても綺麗です。
ジー: ……。
シル:だって自分で決めた道じゃないですか。
辛くたって、
きっと楽しい事が待っているに違いありませんよ。
ジー: ……あいつの事、
宜しく頼むよ?
もうじき此の影から生まれてくる筈だから。
シル:はい。
ではいずれ、
相応しい舞台で。
ジー:全く、
優しいんだか厳しいんだか。
シル:ふふっ、
楽しみにしています。
再び貴方と見えるその時を。
ジー:僕もさ、
シルヴィア。
最後に君と話せて良かった。
シル: ……さよなら。
ジーニアス。
( 間 )( 王都アイゼフィール:繁華街 )( ※回想シーン )
ジー:きーめたっ!!
ミシ:何が?
ジー:今夜さ、
海岸まで出かけてみないか?
ミシ: ……。
門限を守らないと、
父上に叱られてしまうよ。
ジー:叱られたら死ぬのか?
君の価値はそんな事で下がるのか?
ミシ: ……。
ジー:しっかりしろ、
未来の大英雄。
いじけた奴なんかには、
誰もついてこないぜ?
ミシ:そうかなぁ?
英雄たる者、
常に規律と鍛練を忘れるなって、
父上が。
ジー:かぁんけぇい無いね!!
だってそうだろう?
親が決めた道を進んだら、
きっとそれが当然になっちまうよ!!
ミシ:( 悩む )――。
ジー:脳みそが腐ってチーズになっちまう!!
世界の終わりだ!!
ミシ:じゃあさ、
ジーニアスは僕を赦してくれるの?
ジー:赦す!!
例え世界を敵に回しても、
ミシェルを赦し続ける!!
ミシ:クス……。
解った。
じゃあ行くよ。
ジー:よっし♪
そうこなくっちゃ!!
( 間 )( 星の見える海岸線 )( ※回想シーン )( ※出来れば波の環境音 )
ミシ:砂浜……。
本当に寝転ぶの?
ジー:応とも!!
男と男の友情の証!!
浜辺で星を見ながら語らうのだ!!
ミシ:うう、
汚い……。
ジー:よっと!!
……それで?
悩みとかある?
ミシ:悩み?
ジー:うん♪
ミシ: ……僕さぁ。
今度エルツィ傭兵団って所に行くんだ。
ジー:へえ!!
飛ぶ鳥を落とす、
試金石隊か。
確か黒騎士ロヴェル団長と、
一番隊隊長の……。
ミシ:シルヴィア・シルフィード。
ジー:ああ、
それそれ!!
腕も立つが、
とびきりの美人だって聞くな。
この間の凱旋式でも相当な評判だったって。
ミシ: ……。
ジー:なに?
惚れたの?
ミシ:あの人に振り向いてもらえたら、
どんなに素敵だろう。
……あの人を信じて、
あの人に信じて貰えたら、
どんなに幸せだろう。
ジー:だけど君は貴族だ。
身分が違う。
ミシ:だったら何も要らない。
僕はこの剣を彼女に捧げる。
ジー: ……ま、
それもお前らしいよ。
ミシ:どうして僕を赦してくれるの?
まるで母様みたいじゃないか。
ジー:ミシェルの母君か。
一緒にたくさん遊んだな。
ミシ:あの頃は皆キラキラしてて、
とても楽しかったね。
ジー: …………あ!!
さ、さぁいしょはさ、
知らぬ存ぜぬで通すんだぜ?
生まれの高貴さを存分に売りつけるんだ!!
そんでお互い、
少しずつ距離を縮めてってぇ――。
何?
ミシ:クスッ……。
ジー:何だよ。
ミシ:君が僕の幸せを願ってくれるように、
僕も君に幸せになって欲しい。
ジー:はあ。
そうですか。
ミシ:君に逢えて僕は変われたんだ。
……君が居なかったら、
僕は母様以外、
誰も愛せない人間に成っていたと思う。
ジー:あのね?
そういう台詞はさ、
これから先に出逢う、
素敵な人の為に取っときなさい。
ミシ:今ここで言いたいから言うんだよ。
それだって僕の自由だし、
こういう場所だから言えたんだ。
ジー: ……。
ミシ:今日は誘ってくれて有難う、
ジーニアス。
ジー:へいへい。
ミシ:君は僕に聞いて欲しい事、
何か無いのかい?
ジー: ……いや。
何も要らない。
ただこうやって、
ミシェルと星を眺めていたい。
ミシ: ……そっか。
クスッ……。
僕達には言葉なんて、
最初から要らなかったね。
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