題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
風のシルヴィア(28)
~終わり行く世界~
|
2015/05/29 |
7(5:1:1) |
30分 |
『 愛していた 』。
只それだけで良い、しかと伝えよ。 |
ニコ |
登場人物
(年齢) |
性別 |
その他 |
シルヴィア
(26) |
♀ |
永遠の26歳。
金髪碧眼の美女。
龍と風の属性を持つ怪力の女騎士。 |
ミシェル
(17) |
不問 |
シルヴィアの元同僚で彼女に付き従う美少年。
天才剣士、名門貴族、品行方正、容姿端麗。
人気キャラ。 |
グレン
(29) |
♂ |
シルヴィアの元同僚その2。
兄貴キャラ。下品で乱暴。
嘗てシルヴィアに告白した事がある(手紙で |
アッチ
(25) |
♂ |
グレンの部下。ソッチの兄。
お調子者の熱血漢。
兄弟揃うと『千里眼』のスキルが発動する。 |
ソッチ
(24) |
♂ |
グレンの部下。通称『アッチ・ソッチ兄弟』
お調子者の優しい青年。
二人の所属していたエルツィ傭兵団は王国の花型だった。 |
アノワルドゥ
(321) |
♂ |
不死王・リッチ・ワイトキング。
様々な異名を誇るアンデッドを総べる超常者(骸骨
通常武器では傷すらつけられない。 |
死霊&黒龍 |
♂ |
圧☆倒☆的モブ。
死霊は想像し得る限りの最高に気持ち悪い演技で。
黒龍は最後の方で出てきます、力の限り叫んで下さい。 |
「風のシルヴィア(28)~終わり行く世界~」
シルヴィアとミシェルは最後の休息を終えエレナの家を出立する。
目指すは王城、悪の宰相ゼオルードを滅ぼす為に。
一方、四面楚歌の王都は謎のアンデッド達の襲撃を受ける。
※戦闘回です。すっごい叫ぶよ!!
( 其の名は轟く。万世に憧憬を抱かせて )( ※プロローグ )
グレ:シルヴィア?
……ああ、竜騎士シルヴィア・アルトルージュの事か。
この国で其の名を知らない奴は居ないだろうな。
シル:炬竜ドーラに見出され、育てられ、
英雄どもを屠り尽くした最悪の魔性。
何者にも縛られず、美しく、そして残忍だった。
ミシ:龍の力はあらゆる力を相克する。
故に只々強く、我が人生もそうあれかしと、
騎士の誰もが憧れた伝説の英雄。
( 間 )( 王都アイゼフィール:白昼の悪夢 )
アノ:出でよ……出でよ、呪われ子よ。
はらわだをすすれ……血潮こそ我らが至上。
死霊:( 唸る )――。
アッ:何だァァッチ!?
このアンデッド共、
手薄な王都に突然湧き出しやがったッチ!!
ソッ:だ、駄目だァッチ!!
剣じゃ歯が立たないッチーー!!
ま、まさに死体が死体を呼ぶこの不始末ッチ!!
死霊:グフッ……グフフ。
グヒッ。
グレ:ううむ…真昼間にも関わらず、この不死身っ振り……ハッ!?
アーーッチ!!
ソーーーッチ!!
アッ&ソッ:応ッ!!
グレ:こいつらの奏者が何処かに居る筈だ!!
お前等兄弟の『千里眼』の力で、何としても探し出せ!!
死霊:( 呻き声 )――。
アッチ&ソッチ:うおっ!?
グレ:オウリャア!!
死霊:ウギャアッ!?
グレ:はっやーーーーく!!
アッ:ムムッ……!!
アッチ?
ソッ:ソッチ?
グレ:ドッッチよッ!!?
アッ:アアアァァァッッチ!?
アッチだッチ、グレン隊長!!
時計塔の屋上、呪詛を吐く黒衣のアンデッドッチ!!
アノ:グガガガガッッ!!
ヴァーラ・イーダ・ソウル・イーダ……。
ソッ:と……唱えてるッ!?
何か唱えてるッチ!?
グレ:何て禍々しい瘴気なんだ……!!
およそ名のある不死に違いないが、
アイゼフィールにあんな怪物が潜んでいたとはな。
死霊:ゴオォォロォォズゥゥゥ!!!
アッ:隊長!!
早くしないと街中ゾンビだらけだッチ!!
グレ:俺が行って叩いて来る!!
貴様等は此処を死守せよ!!
アッチ&ソッチ:合点だッチ!!
アノ:ん……?
おお……早くも嗅ぎつかれたか……。
木偶共の中にも優秀な駒が居るらしい。
死霊:グヒヒ……ススッテヤル。
ぎざまだのこぼれ落ちる内臓……桃色の脳みそ……!!
アッ:黙リャァァアアアッチ!!
死霊:うびゃあっ!?
アババ…ブシュッ…ま、まだ血が出てぐる。
おで……まだ生ぎでる?
アッ:おえっ、体液が顔に…うえ。
ソッ:だから只の剣じゃ意味無いッチ!!
不死には属性付きの武器が有効ッチ!!
アッ:それならグレン隊長が持ってるッチ!!
水属性の斧槍、シーハープーンッチ!!
アッ&ソッ: ……あ。
死霊:グヒヒヒ!!!
アノ:闇よりの使者、御魂を以て地に降り満てよ。
其の罪と憎しみ、恥辱と汚辱を存分に晒し尽くせ。
グ……ガガガガッ。
ソッ:うわああああっっ!?
だ、大地が腐っていくッチ……!!
剣も……身体も……全部ッチ!!
アッ:糞ッ!!
あの高笑いのドクロ野郎、この地を穢すつもりッチ!?
アノ:皆死ねや。
死者が跋扈し、生者悪と化すまで死ねや。
滅びこそ福音也……疎ましき生を捨て……。
今こそ永久の安らぎを……。
グレ:おうりゃあああああぁぁぁ!!
アノ:( 途中から被せて )むッ!?
グオェアッ……!!
グレ:ひとんちの庭でなぁに呪ってやがる、
このドクロ野郎!!
アノ:グガガッ…!!
随分と足の速い事だ。
中のアンデッド共はどうした?
死霊:ゥ……グブブッ……!!
おぉぉ、溺れるゥ……あ、あいづ強いぃぃ。
グレ:俺様の名はグレンゴル・ベルカッツィ!!
海原の国ゴーランドが出自だ!!
聞いたらとっとと冥途に帰りなッ!!
アノ:我が名は不死王アノワルドゥ。
闇の穴に棲み、深き叡智を探求する者。
グレ:不死王だと?
仮にも不死を統べる者が野心に憑りつかれたか!?
アノ:グガガカッ……多くを語るつもりは無いが、嬉しいぞ?
此度は縁故に則り現界してやったが、
ただ蹂躙するだけでは華が無いのでな。
グレ:属性付きの斧槍で八つ裂きにしても即時再生する不死性……。
流石リッチ、次元が違うと言う事か。
アノ:恐れるな……若者よ。
貴様も不死に成るか?
大いなる闇に抱かれるは幸甚だぞ?
グレ:御免だね!!.
あいにくと今の人生、負け続けだが嫌いじゃない。
……だが、一ついいか?
アノ:語るつもりは無いと言った。
この身姿とて骸を借りた物、
ならば仮初めのまま闇へと還ろう。
グレ:いや、そうじゃねえ。
アノ:ほう?
グレ:アンデッドに成っても、おっ勃つもんは勃つのか?
だったら考えてやってもいい。
アノ: ……貴様。
グレ: ――ッていうかよぉ。
ずっと闇の中に居て、どうやって処理してんのよ?
ぶっちゃけ辛くなぁい?
アノ: ……。
グレ:フヒヒッ。
アノ:轟くは雷鳴の禁。
嘆くは刻冥の門。
茫漠たる闇の孕み子よ、
今こそ総ての業火を背負い其の罪過を贖わん。
グレ:( 被せながら )――おい、冗談だって!!
やめちくり!!
何唱えてんだよ、おい!?
やーめーれ、コノオッ!!
アッ:なんだッチ……?
暗雲から……。
巨大な咢と茨のイカズチが……。
ソッ:ま、まさかあれを此の王都にぶちまける気ッチ!?
死霊:ウゴオォォォ!?
アッ&ソッ:うわっ!?
死霊:燃える!?身体が燃える!?
皆一緒に燃えよおおぉぉよおおぉぉぉ!!
アッチ&ソッチ:ひいぃぃっ!?
ミシ:ハアッ!!
死霊:グヒャアッ!?
カ、カラダ……バラバ……ボンッ!!
ミシ:ふん、何とたわいの無い。
手こずる事すら難しいとは。
アッ:おおっ!?
何と輝く美少年ッチ!!
ミシ:クスッ……。
お久しぶりですね、君たち。
ソッ:そ、その身姿はエルツィ傭兵団は十番隊隊長!!
ミシェル・フォン・フィーバストルテだッチ!!
ミシ:二番隊のアッチ・ソッチ兄弟。
ならば塔の上で戦っているのはグレンさんですか。
アッ:なんで此処に居るッチ!?
ていうか今までどこに行ってたッチ!?
ミシ:君たちには知らなくてもいい事です。
……だけど、僕の事を覚えていてくれて有難う。
ソッ:あうあ?
ミシ:欲しいものは家名なんかじゃ無かった。
やっぱり僕は、エルツィ傭兵団に入って良かったんだ。
死霊:( 呻き声 )――。
ミシ: ――ッ!?
来ますよ、備えて!!
アッ:そ、空も堕ちてくるッチ!!
ミシ:それは大丈夫!!
あの人を信じて!!
グレ:ぐ……くっそおぉぉぉ!!
駄目だ!!
詠唱を止められねえ!!
アノ:グガガガ……!!
グレ:糞ッ垂れッ!!
アノ:大昔、フィロクシェンの街を一夜で滅ぼした我が禁術、
牧陽の庭に放つのも悪くない……!!
グレ:来る!!
アノ:死ねぃ虫けら共!!
シル:伏せろグレン!!
グレ&アノ:何ッ――!?
シル:ハアアアァァァッッ!!!
アノ:ウゴオォォォ!!?
( 間 )( 颯爽登場。風のシルヴィア )
アノ:ぬぐっ……おぉぉぉぉ!?
馬鹿め…こんな傷…こんな……!!
シル:( 息を荒げて )――。
済まん、遅くなった!!
グレ:シルヴィア!!
来てくれると信じてたぜ!!
アノ:な、何故だ!?
再生が効かぬッ!!
シル:( 疲れながら )あの髑髏の男、
奴を仕留めればこの騒動は収まるのか?
グレ:いや…だがどういう事だ?
お前の斬撃は奴に届いただと?
アノ:グアァァ……ハッ!?
き、貴様ッ!!
よもやその剣、龍剣か!?
シル:しぶとい。
アノ:何故貴様がそれ程の獲物を持っている!?
現世に残存する武具ではあるまい!!
シル:ドラゴンスレイヤー!!
風の神獣リューシオン様より賜った一振りだ!!
最早その瘴気は飾りに過ぎぬと知れ、不死王!!
アノ:リューシオン……?
そうか、貴様がシルヴィア・シルフィードか!!
貴様こそがゼオルードのッ!!
シル: ……何?
ゼオルードだと?
アノ:だが敗けん!!
我が名はアノワール・ドゥ・ゴラムザード!!
闇の神獣クラハミよりその存在を赦された、
大いなるアンデッドなのだ!!
シル:貴様はゼオルードの造り上げた造魔か?
ならば――。
アノ:( 被せて )答える必要は無い!!
シル:我が剣を前にしてその虚勢。
死を厭わぬと言うのだな?
闇の狂者よ。
アノ:ブレダ・カリス・ブードゥ・ゾルド!!
死を讃えよ、やれ満てよ――!!
グレ:( 途中から被せて )――召喚だ!!
来るぞシルヴィア!!
シル:合わせろグレン!!
グレ:任せろッ!!
アノ:出でよッ!!
リビング・デッド!!
死霊:( 呻き声 )――!!
グレ:纏うは海神の一撃!!
舞うはやっこさんの血飛沫!!
ベルカッツィー式戦斧術奥義!!
ネレイディード・ザンバーーー!!
死霊:ギョオオォアァァァ!!??
アノ:ぐっ、波で死骸が混ざり合い前が見えぬ!?
盾にも壁にもならぬ奴等め!!
シル:行くぞ!!
龍化式極限最大剣術奥義!!
アノ:ウオオオッ……!?
な、なんという龍気だ!!
いかん!!
シル:シルフィーーン・スレイヴアアァァァ!!!
アノ:ぬわああああああぁぁぁ!!??
( 間 )( 颯爽失敗。風のシルヴィア )
アノ: ……お?
グレ: ……え?
シル: ……ん?
アッ:なんだ……アッチ。
時計塔の上から何かが飛んでいったッチ。
ミシ:ハアッ!!
死霊:グヘエェ!?
ミシ:ちょっと!?
ちゃんと前を見て下さい!!
アッ:綺麗な流れ星だったッチー。
ミシ: ……ん?
流れ星だって?
ソッ:違うッチ。
僕の眼には剣を追いかけるドラゴンに見えたッチ。
ミシ: ――ッ!?
シルヴィアさんのドラゴンスレイヤーだ!!
あれが無ければゼオルード様を殺せない!!
アッ:へ!?
今何気にとんでもない事言ったッチ!?
ミシ:教えてくれ!!
あの剣は何処へ飛んで行った!?
ソッ:嫌だッチ!!
ミシェル隊長はアイゼフィールを裏切る気だッチ!!
ミシ:君たちは誰の為に戦う!?
アッ:う?
ミシ:自分達を信じてくれた陛下の為か!?
守らなければならない国の為か!?
ソッ:何を……。
ミシ:僕はシルヴィア・シルフィード只一人にこの命を捧げたい!!
今だけで良い、それだけで良いからッ!!
だから僕に協力してくれ!!
アッ:むむっ!?
……ソレハアイノチカラッチ?
ミシ:ああそうだとも!!
馬鹿にしたいならそうしろよ!!
だけど僕は諦めない!!
何があってもこの手で護ってみせるんだ!!
アッ: ……弟よ。
ソッ:応。
ミシ:駄目……ですか?
アッ:アッチ?
ソッ:ソッチ?
ミシ: ……。
アッ:いやいや、アッチだ。
ソッ:いんや?
ソッチッチ。
ミシ:どっちなんですか!!?
ソッ:ニシシ……ソオォォォチ!!
武闘殿の方向に飛んで行ったッチ!!
王城の東にある御前試合の会場ッチ!!
アッ:あ……だけど王城付近は危ないッチ。
秘蔵の甲冑達がひとりでに動いて、
近づく奴等を皆殺しにしてるって報告があったッチ。
ミシ:それでも行かなきゃ。
出来なきゃ意味が無いんですから。
ソッ:頑張るッチ。
王子様。
ミシ:君たちは平気ですか?
アッ&ソッ:任せろッチ!!
ミシ:クスッ……有難う!!
二人とも!!
死霊:( 呻き声 )――。
アッ:燃えてくるッチ!!
スーパー愛の力に焚き付けられたッチ!!
ソッ:僕等も生きて帰って早く結婚するッチ!!
ぼちぼちお袋も心配してるッチ!!
アッ:お前それ――!!
死霊:( 被せて )ウグオオォォォ!!
アッ&ソッ:ギャアアァァ!?
( 間 )( 時計塔:屋上 )
グレ:は……外しやがった。
シル:ん?
グレ:『 ん 』じゃねーよ馬鹿野郎!!
どうすんだよ!?
秘蔵の剣を放り投げちまってよお!!
シル:う、五月蠅い!!
お前が土石流とか出すのが悪いんだ!!
御蔭で前が見えなかったじゃないか!!
グレ:大体何で一撃必殺だぁ!?
ちったぁ後先考えて行動しろよ!!
シル:だってかっこいいじゃん!!
全力でドラゴン出すんだぞ、滅茶苦茶かっこいいじゃ――!!
アノ:( 被せて )グ……グガガガガッ!!
シル&グレ: ――ッ!?
アノ:矮小な猿共め……。
最早戯れぬぞ!!
寸刻なりとて我が肝を冷やしてくれた此の報い、
死を以て償うが良い!!
グレ:ぐっ、糞ッ!!
アノ:呪え呪え、御創りの御手よ。
悪しき魔犬、鋭角より来たるべし。
其は斬刻の爪。
其は墓碑銘の刻印者。
出でよ――!!
シル:( 被せる )たああぁぁっ!!
アノ:ウゴォッ!?
グレ: ……は?
アノ:え?
……え?
グレ:殴った…だと?
シル:でえぇやああっっ!!
アノ:ウギャアッ!?
……な、何故だァ!?
何故貴様、リッチであるこの儂に手傷を!?
シル:知れた事!!
祖国を守るは正義の心!!
ならば無手勝とて敗れる道理は無いッ!!
アノ:い、いや……其の身からほとばしるは龍の血脈!!
そうか、おのれゼオルードめ!!
この儂ですら使い捨てるとは!!
シル:オラオラオラオラ(ry
アノ:( 被せる )アンギャアアアァァァァ!!?
グレ:アガガッ……!?
素手であの怪物を……!!
シル:( 手を叩く )――!!
どうだ!?
ヘマは返したぞ!!
グレ:あ、ああ……。
流石は元一番隊隊長。
シルヴィア・シルフィード…だな?
シル:私はこのまま王城へ行く。
後は任せた。
グレ:おいおい、何処へ行くって?
シル:殺さねばならぬ者が居る。
いや、最早ヒトと呼べるのかも疑問だが。
グレ:そうか、それはつまりなんだ、
俺にすら言え無い事なんだな?
シル:悪いな……上手く説明できないんだ。
グレ:あいあい。
……しっかし何かお前、随分と変わったよなぁ。
前はあんな真似をする馬鹿じゃ無かった気がするが。
シル:恥も無茶も、存外齢を取ってからの方がやりやすい。
なあに、まだまだこれからさ。
グレ:( 溜息 )――。
たったの一年で、悟っちゃってまあ。
シル:ふふん♪
グレ:だが、敢えて言わせてもらう。
お前は相変わらず美人だぜ、シル。
シル:有難う!!
そうだ、あの手紙、まだ私の私書箱に入っているかな?
グレ:お前の席ならとっくの昔に消えちまったよ。
それどころか、エルツィ傭兵団その物が消えちまった。
シル:そうか……だけど、
物よりも忘れてないって事の方が大事なんじゃないかな?
グレ:ほう?
シル:楽しかったなぁ。
皆が居て、戦って、飲んで。
グレ: ……早く行きな。
ゾンビ共は俺が始末しとくから。
……お前はお前のやりたいように生きろ。
シル:グレンはちっとも変わらないね。
グレ:うるへー。
アノ:グ……グガガ。
シル&グレ:何ッ!?
アノ:何と言う顛末か……。
この儂ともあろうものが……。
グ…オオオォ……!!
シル:おのれ不死王!!
性懲りもなくこの王都を呪うつもりか!?
アノ: ……ゼオルードは四騎士の塔に居る。
王城に居るのは影武者、文字通り唖奴の影よ。
シル:世迷言をッ!!
呪詛を吐いた其の口から出た言葉を誰が信じる!?
アノ:グ…カカッ……ならば悪戯に時を費やすが良い。
それもまた良かろうて……どの道結末は…変わらぬのだからな。
グレ:こいつ…現身を亡くして成仏しかかってやがる。
もう長くないぜ。
アノ:しかしなぁ……。
倅を悪魔に売り渡し、永久の命を得たは良いが。
グレンとやら…貴様の言う通りよ。
グレ:ああ?
アノ:永遠の魔術の探究と言う至上の喜び、
その永遠が永劫になると知ったのは随分と後の事であったが……。
あの時は……。
よもやな。
シル: ……倅?
アノワール…ゴラムザード?
アノ:知らぬも已む無し、か。
三百有余年……いや、実に永い時を生きた。
シル:まさか貴方は……ゼオルードの父親なのか?
アノ:いや?
儂は最強の力を唖奴に呉れてやり、
唖奴は儂に不死を寄越した…ただ、それだけの間柄よ。
シル:だが貴方は息子の呼びかけに応じた。
捨てた筈の俗世に舞い戻り、屍の山を築いた。
……それは何故ですか?
アノ:ふっ…お前は戯けた女だな。
この汚れきった魂をすら救おうと言うのか?
……古今稀だぞ、それ程の女は。
シル:申し訳ありませんが、私はゼオルードを殺します。
彼に何か伝えておくことは御座いますか?
アノ: ……赦せとは言わぬ。
これが贖罪だとも言わぬ。
だが、あの薄暗き部屋で共に魔導に興じた日々は悪くなかった。
シル&グレ: ……。
アノ:あの頃のお前は確かに人であり、正義と力を信じ……有能で。
……誰よりも気高く華が在り、
私の様な人間にはまるで理解の出来無かった。
安らかな時を呉れた…大切な――。
シル&(グレ):( 被せて )ふふふっ!!(ハハハッ!!)
アノ:( 溜息 )――。
『 愛していた 』。
只それだけで良い、しかと伝えよ。
シル:はい。
シルヴィア・シルフィードの魂魄に誓って。
アノ:( ふっ……。
そうか…真の安息とは……。
お前が傍に居たあの時間だったのだな……ゼオルードよ。 )
( 間 )( 現れるは万世を破壊い尽くす終末の悪龍 )
アッ:な、何だッチ!?
青空に戻ったと思ったら地鳴りが突然!?
ソッ:ワッ……ワワワアッ!?
とんでもない規模だッチ!!
建物が全部沈んでいくッチ!!
シル:何だ……!?
この悍ましい瘴気は!!
グレ:真下からだ!!
来るぞ!!
黒龍:グウオオオォォォ!!!
アッ&ソッ:( 被せる )うわあっ!?
黒龍:ォォォオオオォォン……!!
アッ:ウゥオオォォァアア!?
デ、デッケエエエエェェェ!!!
ソッ:真っ黒な塊が…空へ突き抜けていくッチ……!!
ミシ:あれは……。
古生龍…なのか?
滅びた筈の長大なる者、数多の龍の元祖にして頂点。
グレ:こいつ何処まで伸びやがるんだ!?
王城を遥かに超えたぞ!!
シル:黒い…龍…なのか?
これが!?
グレ:良いからお前は早く行け!!
此処は俺達に任せろッ!!
シル:解った!!
死ぬなよ!?
グレ:へっ!!
黒龍:クウォォォオオオン!!
ミシ:何て醜悪で禍々しい姿なんだ……!!
世界を一飲みにするこんな怪物を呼び出して。
ゼオルード様は…一体何を……!!
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