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題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
修理工とまじない屋の平凡な一日(涙編) |
2015/07/03 |
5(1:2:2)or4(1:2:1) |
45分 |
私一人だけ、馬鹿みたいに健康に生きていて…。 |
りり~ |
メグミ : 女 …幼い頃に母を亡くした少女。まじない師を憎んでいる。
ケイ : 不問(台詞少なめ) …修理工。手先が器用。
リサ : 女 …ケイの助手。まじないは使える。
モコ : 不問 …まじない師。リサに。こき使われている。肩の上に元依頼人のネズちゃんを乗せている。
トウサン : 男(台詞少なめ) …娘のメグミを愛する父親。最近仕事を頑張りすぎて過労気味。
※ケイとトウサンは、兼役できます(男性の場合)。
その場合は4人(1:2:1)です。
「修理工とまじない屋の平凡な一日(涙編)」
ケイ: ~♪やっぱり便利だな~掃除機。ゴミがどんどん吸い込まれていく~。
便利だな~……うちにも一台買おうかな?
リサ: あー…めずらしい音がすると思ったら、やっぱり掃除機かー。
それじゃ、ここにある箒は御役目御免にて、とうとうお蔵入りだね
ケイ: いやいや箒は必要だよ!落ち葉を集めるのは、掃除機には出来ないからねー。
後畳み掃除はやはり箒にしてもらわないと、編み目までゴミが取れた気がしないし。
お蔵入りはしませんっ!それにまだ掃除機は購入しないよっ
リサ: 今それ…使ってるの、依頼されてたのを修理した分よね?
ノリノリで部屋掃除しちゃってるしー…ケイさん、本当は欲しいんでしょ?
ケイ: あ、あくまで、修理がきちんとできているかを…実働して確認作業をしているだけだよ!
リサ: 意地張らないで、現代機器に頼ってもいいんだよー?もう家庭に一台はあるのが当然だし。
他の冷蔵庫や洗濯機などの現代機器は揃えているのに、どうして掃除機だけは頑ななんだか…。
あ、そうだ…お客様だよ?ケイさん
ケイ: ん?ベル鳴りました?聞こえなかったような…?
リサ: ベルは鳴ってないんだけど…ほら、ドアの小窓から、うっすら人影が…。
実はだいぶ前からそこにいたのは知っていたんだけど…まだ入ってこないなぁ…
ケイ: …まさか、ドアの開け方が分からない、とか?
リサ: んー…それは、さすがにないのでは…?こちらから開けてみますかね…。よいしょっと
メグミ:わ!!
リサ: こんにちは。こちらから人影が見えたもので…どうかされましたか?
メグミ:すみません。扉の前で、入るかどうしようか迷ってて…。看板もないし、ここで合ってるのか…分からなくって
ケイ: えっと…もしかして、何か修理したいものがあるんですか?
メグミ:!!やっぱりここで合ってたんだ。あの…どんなものでもなおしてくれるって本当ですか?
ケイ: どんなものでも…ではないですが。貴方の聞いた話が、この店かどうかは分かりませんが…私は修理工ですよ
メグミ:あの…単刀直入に聞きます!!
ケイ: !!…はい、何でしょうか?
メグミ:……この店では…病気は、治せますか?
ケイ: それは…専門外ですね
リサ: 普通、病院に行くものなんじゃ…でも、どうしてこの店に?
メグミ:私が小さい頃に、こちらのお店でお世話になったというのを…父から聞いていたので…
リサ: あなた、歳いくつ?
メグミ:14です
リサ: 14ってことは…ケイさん、この店が出来てから、まだ4、5年しか経ってないよね?
ケイ: うん。その通りだよ
リサ: ということは、あなたのお父さんが行った店はここじゃないんじゃないかな…
メグミ:…そう、ですか。ごめんなさい、突然変なことを聞いてしまって…。帰ります!お邪魔しました
ケイ: 待ってください。話だけでも聞かせて頂けませんか?
ここの近所の店っていう可能性もありますし、僕達も何か力になれるかもしれません
メグミ:いいんです。それにもう…無理だと思うし
ケイ: え?
リサ: ちょっと待って
メグミ:引き止めてもらわなくても、私一人で何とかしますから
リサ: そうじゃなくって。ほら、空見てみて?
メグミ:え?…あ
リサ: 雨降ってきた…。そういえば今日、一時的に豪雨になるって、さっきニュースでやってた
メグミ:そうですか…、それが引き止めたのと何か関係あるんですか?
リサ: このまま帰ったら、びしょ濡れになっちゃうよ!傘、持ってないんでしょ?
メグミ:……走れば、どうにかなります
ケイ: あ、雷も鳴り出したみたいですよ?
最近の天気は、晴れてたと思ったら、突然雨が降り出して。…でもしばらくしたら晴れて。
ほんと予想しづらい天気ばかりですね
リサ: ほんとは、傘貸してあげるのが一番親切なんだと思うんだけど、雷が落ちたら危ないし。
しばらくこの店で雨宿りして、その時間の間だけでもいいから、話聞かせてくれないかな?
メグミ:…雷が落ちたって……もう一人になるから、誰も気にしない…です
ケイ: ふー…。…それでも、僕は気になるから。はい、ここ座って下さい。
飲み物…コーヒーとココア、どちらも温かいの用意できますが、どちらがいいですか?
メグミ:私は…もう
リサ: ケイさんのココア、ほんと美味しいんだから。ね?1杯くらいなら、いいでしょ?
メグミ:……分かりました
ケイ: では、二人共ココアで。少し待ってて下さいね
リサ: ふぅ…
メグミ:あの…
リサ: ん?どうかしたの?
メグミ:いえ…
リサ: ふふふ…お節介かけられて迷惑だ、といった感じかな?
メグミ:そんなことはないです。お二人に気を遣って頂いて、すみません
リサ: 私はリサ。さっき台所に行ったのが、ケイさん。
貴方の名前は?
メグミ:メグミ、です
リサ: そんな丁寧な話し方しなくて大丈夫よー?
それで…なんだけど。さっきの話の続き聞いていいかな?
メグミ:え?
リサ: 『もう一人になるから、誰も気にしない』って言ってたけど…。
さっきの『病気を治せるか』って聞いてたのと、何か関係があるの?
メグミ:…
リサ: 話したくないなら、話さなくてもいいんだけど…。
さっきのメグミさん、すごく切羽が詰まった表情していたから、つい気になっちゃって
メグミ:そんな顔、してましたか?
リサ: うん、してたしてた。それでね、さっきの話なんだけど…あなたのお父さんがここに来たことがあるってのは…。
何かそこで、その…病気を治してもらったの?
メグミ:…病気…というか、いや実際はそうじゃなくて!あの…その……えっと
リサ: 急かしてごめんね。落ち着いて。ゆっくりでいいから
ケイ: お待たせしました。はい、ココアです
メグミ:あ、ありがとうございます
ケイ: 人肌程にまで冷ましてあるから、すぐ飲めるよ
リサ: ごくごく…うん。おいしい
メグミ:ごくごく…ん、…ほんとだ。温かくて…甘くて、おいしいです
ケイ: 良かった。あ、今日はもう一つ用意しとかなきゃいけないんだった。いけないいけない。ちょっと席外すね。
せわしなくてすみませんね。ゆっくりしていって下さいね
メグミ:…行っちゃった
リサ: 豆を挽くのに、ちょっと時間がかかるからね。手挽きじゃないとギャーギャー言う輩が一人いてね…
メグミ:へぇ…?
リサ: 少しはリラックスできたかな?
メグミ:えぇ。ありがとうございます
リサ: 甘いココア…おいしいよねー
メグミ:私も…父がよく作ってくれて、好きでした
リサ: お父さんが作ってくれたんだ!いいなぁ優しい人なんだ!
メグミ:父は男手一つで、私をここまで育ててくれました。本当に感謝しています
リサ: お母さんは?
メグミ:母さんは…私が生まれた時に亡くなりました。なので、父はシングルファザーです
リサ: 生まれた時に…か。メグミさんを一人でここまで育てて、立派なお父さんだね
メグミ:はい…でも、私は父に迷惑かけっぱなしでここまで育ってきたので…。
中学生の頃一時期すごく荒れてて、父を何度学校に呼び出させたことか。
お父さんには、手がかかって扱いづらい、嫌な娘だったと思います
リサ: そうだったんだ?意外、今はそんな風には見えないなー
メグミ:そうですか?
リサ: ちゃんと昔の自分の悪かったところに対して反省してる、えらいね
メグミ:え?
リサ: 過去を反省できてる人は今を大事にできる人だよ。
メグミさんは今、お父さんを大事に思ってるんだなぁって、さっき申し訳なさそうに昔の話を話してる姿を見て、私は感じた。
きっと、そんなメグミさんを、お父さんは分かってくれてると思うよ?
絶対嫌な娘だなんて、思ってない
メグミ:…そうなんでしょうかね…
リサ: ま、私の勝手な予想だけどね!さっき、必死になってたのも、誰かの為に…なんでしょ?
そんな優しいメグミさんを、絶対、嫌いになるはずなんてないよ
メグミ:……父は、私を産む前に、母とここに来たそうなんです
リサ: お母さんと?
メグミ:はい。母が元々身体が丈夫な方ではなくて、子供を産めるか心配だったそうで…。
それで、こちらで願掛けをしてくれるという噂を聞いて行ったと聞きました
リサ: 願掛け…か
メグミ:私が生まれる1週間前に、父と母が、まだ私がお腹に中にいる時のことなんですけどね
リサ: あれかな?『安産できますように』と、願ったのかな?
メグミ:いえ。普通はそう思いますよね?
そうではなくて…『お腹の中にいる子が健康な生活を送れますように』って願ったそうなんです
リサ: 自分の身を案じるのではなく、生まれてくる我が子に、ですか…。
ご両親は本当にメグミさんのことを愛してらっしゃるんですねー…
メグミ:私には…そうは思えません
リサ: え?どうして?
メグミ:…私なんかにそんな願掛けしたから…私は生まれてきて、母さんは死んじゃったんだ…。
生まれてこなければ、迷惑かけることもなかったのに。
お父さんも一人になることはなかったのに…そして病気になることも…
リサ: …病気を治したいという相手は、メグミさんのお父さんなんだね?
メグミ:はい。両親が私に…多分全ての健康運を分け与えちゃったんだな、って思ってます。
おかげで、けんかをしてもいつも私だけピンピンして…そのせいで、お父さんもきっと…身体が弱くなって…それで…
リサ: そんなことを…
メグミ:私は、父の病気をここで治してもらえないかと聞きに来たのと同時に…
私の願掛けを解いてもらえないかを、頼みにきたんです。
私に願ったせいで…二人共死んでしまうことになったら…これは、私にとってただの呪いです
リサ: …そう思ってしまうのも、無理ない…のかな。偶然だったとしても、私も同じ立場だと、そう考えちゃうかもしれないね
メグミ:偶然なんかじゃありません!
…私のせいなんです…私が生まれてこなければ、こんなことにはならなかったんです!!
リサ: …お父さんの病状は、どんな感じなの?
メグミ:医者には…仕事などの過労が積み重なって…。
主な病気に罹っているわけではないけど、身体が弱ってきている、とだけ聞かされました。
このままだと、命にも関わってくると言われて…それで
リサ: …そうなんだ
メグミ:最近父と話した記憶がないんですよね。小さい頃はあんなに仲良しだったのに…。
話す時と言ったら、学校に呼び出された時とか…そんな時しかなくって。……ほんと最低な娘ですよね
リサ: お父さんは、そんな風に思ってないよ?親はいつだって子供を愛おしく感じる。
きっと、今でも、お父さんは待ってるよ?
メグミ:…そうなんでしょうか…。母を殺した私なんかと…話、したいんでしょうか?
リサ: そんな言い方…よくないよ?お母さんも…そしてお父さんも悲しむよ
モコ: そーですよー!!殺したとか、縁起でもないこと言うもんじゃないと思いますよー
メグミ:え?貴方は…?
モコ: 呼ばれてなくてもジャジャジャジャーン!モコ様、ご来店ー
リサ: ほんと、いつも突然入ってくるわよね?ノックくらいしたらどうなの?
モコ: のんのん!ノックなんてしなくても、しゅって飛んできちゃってますからね!
リサ: モコまた、転移のまじない使ったのね?指定エリア外では使っちゃだめって言ってるのに!
モコ: いいじゃないですかーさっき雨振ってきちゃったし。
僕の家とリサさんの家を行き来するぐらい、誰にもばれませんって
リサ: あんたねぇ…ばれる、ばれないの問題じゃないでしょーが
ケイ: あ、いらっしゃいモコさん。思ったより早めに来たんですね。ようこそ、今コーヒーできた所ですよ
モコ: おっありがとうございますー。あ、砂糖もらってもいいですかー?
ケイ: はい。いつもの量いれるんですね?
モコ: もちろん!んしょっと!1杯ー2杯ー3杯ー
メグミ:4杯ー5杯ー6杯?!ってえ?ちょっと!まだそんなに入れるんですか?
モコ: 僕みたいに脳をいつもフル回転している人は、常に脳に糖分を送る必要があるのデース
メグミ:でも、これ…どう見ても溶け切らない量ですよ?え、え、え
モコ: スプーンでかき混ぜて…いただきまーす!ごくごくごく…っぷはー!!生き返る!!
糖がグルコースに分解されて、解糖系、TCA回路、水素伝達系を経て、脳と身体に染み渡っていくーー!!っくはー!!!
ケイ: 美味しく飲んで頂けているようで、安心しました
リサ: モコいつもわざわざ、あんたのためにケイさん手で豆挽いてあげてるんだから、そんな一瞬で飲み干すんじゃないの!!
もっと、香りも味もじっくり味わいなさいよ!
モコ: 味わってますよー!もう血液脳関門つらぬく美味しさに、僕の脳がプルプル歓喜の声をあげてますよ!
メグミ:…変な人
モコ: …ん?そういえば…この子誰ですか?見かけから判断するに、JKですよね?
リサ: 言い方をどうにかしなさい
メグミ:あ、あの…
ケイ: この方は、雨宿りをしているお客様ですよ、モコさん
モコ: あ。なんだーお客さんか。どうも、このお店の下っ端でコキ使われてる、まじない師のモコといいます
メグミ:まじない、師?
モコ: どんな願いでも、僕の手にかかればーちょちょいのちょーーい!
あ、もちろんそれに見合う代金はきっちり請求させて頂いているクリーンなお店で働かせて頂いていまーす
メグミ:それって、どんな願いでも?ですか?
モコ: え?そうですけど…?
リサ: あ、もしかして…さっきの話の願掛けをした相手って…
メグミ:昔、私の両親に会ったことがありませんか?
今から14年くらい前に、母が妊婦の時に、父と一緒に夫婦そろってここに願掛けをしに来たそうなんですが…何か、知りませんか?
モコ: んー?妊婦さん…ですか。あれですかね?お子さんがいつまでも健康で居られるようにーと願っていた、あの夫婦ですかね?
来ましたよー。そうか、貴方は、あの時のお二人のお子さんなんですか?無事産まれたようで何よりですね。
メグミ:やっぱり…貴方なんですね?
ケイ: モコさん。昔ここでお店開いていたんですか?あれ?モコさんは最初、リサさんに連れられて来たはずでは…
モコ: こわーいリサさんに連れられてこっちに来たんだけど。
ちょっと理由があって…あ、ほら、ちょっと時まじないいじってたら…迷子になっちゃってた時にね!あはは!
リサ: あはは!って言って、ごまかして!また規律破って何してるのよ!それに…怖いは余計よ?モコ?
モコ: ほぉら、今も変わらず…って!ああああ!ごめんなさい!そんな絶対零度の眼差しでこっち見ないで!!死んじゃう!!
メグミ:…あんたの…せいで…
モコ: ん?何か言った?
メグミ:あんたのせいで…私の家族はバラバラになったんだっ。どうして、お母さんを殺したのよ!それにお父さんまで…
この悪魔っ!…私の家族を返してよ!!!
モコ: ちょ!ちょっとちょっと!!いきなり何なんですかこの子!!ひゃっ!暴力はんたーい!!
リサ: ちょっと!!落ち着いて!!
メグミ:何がまじない師よ!他の人の命を犠牲にしておいて…何が『どんな願いでもちょちょいのちょい』よ!!ふざけないで!!!
リサ: あ、危ない!!
モコ: キャー!!!!!
リサ: …!!…え?
ケイ: ………女の子が拳振りかざして、人を殴っちゃいけないですよ?危ないです
リサ: ケイさん…?
メグミ:…っ!!離して!!
ケイ: まだ殴る気ですか?殴ったら、貴方は満足できるんですか?
メグミ:それは…
ケイ: 殴っても何も変わらないでしょ?それに、話をしに来たんじゃなかったんですか?
メグミ:…
モコ: あわわわわ…何か、僕、悪いことしたの?何なの?ううう…
ケイ: …こんなに怯えさせて、何も分からないまま殴って…それであなたの心は本当に満足できるんですか?
メグミ:それは…。っ…。………又、やっちゃった…ダメだなぁ…私
ケイ: …
リサ: …ケイさん。メグミさんの手離してあげて
ケイ: でも…
リサ: もう大丈夫よ。だから離してあげて
ケイ: …、…分かりました
メグミ:…私、頭がカーってなると、いつもこうやって、手出しちゃうんです。
この事で、何度も学校、呼び出されて…父さんにも迷惑かけて…。最近は、しなかったのに…バカだなぁ…
リサ: メグミさん…
モコ: あ、あのぉ…
リサ: ん?モコも大丈夫?
モコ: いや、僕はケイさんのおかげで殴られずに済んだので、大丈夫です。
それよりも…メグミさんのことで、お話ちゃんと聞きたいなーと…思うんですけど…良いですか?
メグミ:…え?
モコ: さっき『お母さんを殺した』って言ってたから…、メグミさんのお母さん、亡くなられたんですか?
メグミ:…そうです。私を産んだ時に、亡くなりました
モコ: そうだったんですか…やっぱりダメだったんですね
メグミ:貴方のまじないのせいで、母は死に、父さんも…倒れて…。私一人だけ、馬鹿みたいに健康に生きていて…。
これも全部貴方のせい。だから…私は、貴方が憎いんです
モコ: ………んっと…待ってください。メグミさんは…ちょっと誤解してますね。
僕は、貴方のお母さんを殺していません
メグミ:…何言ってるんですか?貴方が私の両親の命を、私に与えたんでしょ?
モコ: え?!そんなこと僕できないですよ?
メグミ:だってまじない師は何でもできるって…
モコ: それは、セールス文句なので確かに言ってますけど。
僕は神様でもないんで、命を操るなんていう行為はさすがにできませんよ!
メグミ:だったら…母さんは…どうして死んだの?
ケイ: その話が本当なら、真実は別の所にあるという訳ですね?
モコ: なぁにー?ケイさんも僕のこと疑うって言うのー?
ケイ: 以前の時計の件もありますし。
モコさんは人の寿命の操作が少しできるんじゃないかなって思うんですが、そこの所どうなんですか?
モコ: むむむ…外面的に変化させずに年が取った様に見えない、見かけだけとかだったら、まぁ多少はできますけど。
…それでも限界はあります。
…あのですねぇ、何度も言わせて頂きますけど~。
人の寿命をいじって増やしたり減らしたりするようなそんな大それたことは、天才の僕にでもできませんっ
メグミ:じゃあ、貴方は…一体何をしたんですか?
モコ: それは…ですね。…昔、貴方のお父さんがね。僕の店に突然来てねー…ほんと怖かったんですよ!
リサ: どういうことよ?ちゃんと説明しなさいよ
モコ: 貴方のお父さんが、来るなり早々『女房を助けてくれー!!』って叫んで入ってきて…それで…
トウサン:ここは何でも叶うまじない屋なんだろ?!頼む!!俺の女房を助けてくれ!!
モコ: 突然入ってきて、ちょちょちょちょおおっと、落ち着いてください!!
後、僕の胸倉掴むの止めて下さい!!息が出来なーいーうぐぐぐ
トウサン:わ!すみません。俺カッとなると、何も見えなくなるんで…大丈夫ですか?
モコ: ごほんごほん…大丈夫ですけども。えっと?貴方の奥さんを助けてくれ、が依頼ですか?
どんな状況なんですか?こちらの店は、ちゃんと代金を支払ってもらわないと、依頼は受け付けれませんけど。
あなた…ちゃんとお金持ってきてます?
トウサン:金はちゃんと払う!肉体擦り減らしてでも払うから、話聞いてくれ!
モコ: ふむ。じゃあ詳しく話してもらっていいですか?
トウサン:俺の女房が…その、今子供身ごもってやがるんだけど…元々身体弱い奴で…子供が産めるかどうかわからねーんだ。
医者からは、子供を産む時にあいつの命が危ないって言われてて…、情けねーけど…どーすることもできなくて…。
モコ: 最悪の場合、出産は、母子ともに亡くなるケースもありますからねー…
トウサン:そうなんだよ。それで、そんなことなら、いっそのことそんな子供生まなくていい!って言ったんだよ!
そしたら…怒鳴りつけられて…あんな細い身体のどこから、出たんだってくらいにすごい迫力で…。
それで、シュンって静かになったって思ったら、急に涙ポロポロこぼして言うんだよ。
貴方の子供を生みたいの、って。…何も言い返せなくなっちまいましたよ…
モコ: …奥様は、強い人ですね
トウサン:ほんとにね。俺が同じ状況だったら、逃げちまう所なのに。
そこが男と女の違いなんですかねー。まだ生んでないのに、もう肝っ玉母ちゃんの顔でしたよ。
モコ: …それで、奥さんを助けて欲しいと…いうことですか
トウサン:その通りだ。頼む、俺達家族を助けてくれ
モコ: …残念ですが…。僕は神様ではないので、答えはノーです
トウサン:何?!どういうことだよ!!
モコ: 僕には貴方の奥様を助けることはできません
トウサン:喧嘩売ってるのか…?てめぇ?
モコ: うわあ!ちょっと!胸倉掴まないで下さい!脅迫や恫喝をしても答えは一緒ですよ!
トウサン:てめぇまじない屋なんだろ?!何でも叶えれねぇんじゃただのボッタクリじゃねぇか!!
モコ: 僕は人の命の長さを弄るようなことはできません!勝手に勘違いしているのは貴方の方ですよ!!暴力ハンターイ!!!
トウサン:…ちっ!!
モコ: ふぅ、怖いなぁ。事実を言ってるだけなのになー
トウサン:そんなの知らねーよ!なんだよ…あいつに…何て言ってやればいいんだよ…。もう少ししたら、ここに来るっていうのに…
モコ: 奥さん、ここに来られるんですか?妊婦さんなのに…身体弱いって言ってたのに…こんな所に連れてきて良いんですか?
トウサン:仕方ねーだろ!あいつ来るって言ったら聞かないんだよ!
モコ: そうですか…あ、噂をすれば来られましたね。いらっしゃいませ
トウサン:サトミ…来て早々悪いんだけど。ここじゃ、何も出来ないってさ、他を当たるぞ
モコ: え、え、え、ちょっと!何も出来ない、とは言ってないですよ!ただ、奥さんの命は保証できないってだけです!!
トウサン:よくもそんな減らず口を、本人の前で叩けるな…お前…ぶっ飛ばすぞ
モコ: ひいー!!そんな怖い顔しないで下さい!!
トウサン:…ってサトミ?あぁ、近くに寄るから…待って
モコ: ん?奥様、声…どうかされたんですか?
トウサン:身体きつくて、もうあんまし声出せねーんだ、少し黙っててくれ。あ、後何か紙とペン用意できるか?
モコ: それくらいなら…えっと。これどうぞ
トウサン:さんきゅ。何だ…言いたいことあるんだろ?これ使って書いてくれ。声出すのしんどいんだろ?
モコ: …ん、何て書かれてるんですかね…?
トウサン:…お前。何だよそれ…。何が、『私の命はもういいから、この子だけは生かして欲しい』…だよ?
ふざけるな…お前がいなきゃ意味ないんだよ!!
モコ: お子様の健康を祈ることなら、できますよ?
トウサン:そんなことお前に聞いてねぇ。おい!お前も、『頼みます』とか書いてるんじゃねーよ。
…冗談はよしてくれよ?
モコ: でも、奥様は本気みたいですよ?
僕も、奥様の願いなら協力できます
トウサン:…俺は、それなら、子供は…もう…。って!!痛っえ!!
モコ: 見事なスケッチブックのフルスイングですね
トウサン:しかも角当たったし…ちっ!!分かったよ!!
…俺も覚悟決めるよ
モコ: ……お二人とも、決意は固まりましたか?
トウサン:あぁ。俺達の…これから生まれてくる子に願掛けを頼むよ。
俺達の…大事な子供が、いつまでも健康にいれますように、ってな。
……これでいいんだろ?サトミ?
モコ: …分かりました。それでは、奥様、少しお腹に失礼致しますね
トウサン:変なことすんじゃねーぞ?
モコ: 分かってますよー。おや…奥様、泣いてらっしゃるのですか?
トウサン:何だ?どこか痛むのか?
モコ: 綺麗な涙だ…ちょうどいい…これを媒介物にしますね
トウサン:ばい、かい、ぶつ?
モコ: まじないの契約をするための、ヨリシロですよ。ま、深くは考えないで下さい
トウサン:あぁ、分かった。サトミの…俺達夫婦の一生分の願いだ。頼む…
モコ: …子の富みたる命よ、母の涙をヨリシロに、健やかなる力を身に備うることを約束せん!ハッ!!
モコ: それで、貴方は健康に今まで育つことになりましたとさ。
命を分け与えるなんて行為はしていませんっ。何度も言いますけど、僕にはそんなことできませんっ
メグミ:母さんの命を…私が奪ったんじゃ…なかったの?
リサ: メグミさん…
メグミ:母さん、私なんか堕ろして…二人でもっと幸せに暮らせば良かったのに…
リサ: そんなこと…
モコ: あーそれは、多分、産んでも産まなくても、なかなか難しいことだったかもしれませんね
メグミ:…どういうことですか?
モコ: さっきも言ってたでしょ?元々身体の弱い方、丈夫じゃない方だったんです。
遅かれ早かれ、この世の生が長い人ではないように、僕には見えました
ケイ: だからこそ、きっとお母さんは、この世に、貴方だけは残して、健やかに生きて欲しかったんでしょうね…
リサ: 最期の親の願い…か
メグミ:そん、な…
モコ: これで、僕に対する誤解は解けましたかね?
ま、僕のまじないがなくても、貴方は、僕の胸倉掴んでくるぐらいの元気な子みたいですから。
大丈夫だったんじゃないですかねー?
でも、ほんと、そういう所も含めて。やっぱり…親子なんですねぇ
ケイ: でも、まじないはまだ解けてないんですよね?
モコ: おそらくー…それに、この性格だと、解けてないんじゃないかなー?
リサ: 何それ?どういうこと?
モコ: ま、とにもかくにもー今お父さん、入院してるんでしたっけ?
お見舞い、行ってあげたらどうですか?どうせ、ちゃんと顔合わせてないんでしょ?
メグミ:…っ
ケイ: お父さん、きっとメグミさんが来たら喜びますよ?
メグミ:喜び…ますかね?迷惑がられるんじゃないかな…今更
リサ: 会っておいた方が良いよ。失ってからだと、何も伝えれなくて、残るのは後悔だけだよ
メグミ:私は…お父さんがいなくなるのが怖い、だけなんです。まだまだ、子供なんですよね…ははは…
リサ: 当たり前じゃない!!
メグミ:え?
リサ: 何歳になっても貴方は、お父さんにとっては子供!変に大人ぶっても仕方ないよ!
早く、会いたいなら、会いなさい!!
そして、貴方の元気な顔見せてきなさい!!
メグミ:…そう…ですね
ケイ: あ、雨止んだみたいですね
モコ: わーい!じめじめした雨ともおさらばだ!よーし!あの美人な人妻に免じて、僕がお父さんの所に送ってあげよう!
メグミ:美人な…人妻?
リサ: まーたー誤解を招くようなことを言う!
モコ: 誤解じゃありませんよ!人妻じゃなかったら、邪な心が騒いで、手出しちゃってたかもですよーぐふふー
ケイ: モコさんそういう趣味あったんですね…
モコ: ちがうけーどー!妄想だけならいいでしょ!
メグミ:あの、それってもしかして、私のお母さんのこと、ですか?
モコ: オフコース!美人に涙は相性バッチシだね!とーくーに嬉し涙がベストマッチング!
メグミ:え?嬉し涙…だったんですか?
モコ: そうだよ!メグミさんが無事に健康に生きてくれるんだって思ったら、安堵したんだろうね。よーし送るよー!準備おっけー?
メグミ:え?え?!ええ?
リサ: ちょっとあんた!まさかまた転移の…!
モコ: 聞こえない聞こえないー!雨が上がったお天道さんしか見えないー!えいっ!
メグミ:キャッ!!
ケイ: あーあー。消えちゃった
リサ: もう!モコ!!あんたっていつもいきなり説明もなしに何やってんのよ!
モコ: えー!今回は予告したでしょ?!!なんでー!!
リサ: メグミさんは意味も分からず反応してただけでしょーが!
ケイ: それにしても…モコさん、メグミさんをどこに送ったんですか?
モコ: え?決まってるでしょー?メグミさんのお父さんの病院ですよ
ちゃんと話、できてたらいいなー
メグミ:…イタタ…尻餅ついた…。あれ?ここは…
トウサン:……その声は…メグミ…なのか?
メグミ:!!お父さん!
トウサン:…元気にしているのか?学校には、ちゃんと行けてるか?
メグミ:子供じゃないんだから…ちゃんと行ってるよ
トウサン:…誰かに又いじめられてないか?嫌なことがあったら、すぐに父さんに言うんだぞ?
メグミ:そんなこと…ないから、大丈夫だよ
トウサン:メグミは…小さい頃から、何でも我慢して…、辛くても言わないから…父さんは心配なんだぞ
メグミ:お父さん…
トウサン:母さんがいないのに、涙一つ見せないで、ここまで立派に育ってくれて…本当に良かったって思っている
メグミ:…お父さんが、いてくれたおかげだよ
トウサン:良かった…。こうやって長く話せるのも、久しぶりだな。こうやって、話せて…良かった
メグミ:何言ってんの?…最後みたいな言い方言わないでよ。これから元気になるんでしょ?
トウサン:そうだな…いっぱい働いて、お前の…花嫁衣裳を見てやんないとな…
メグミ:ばっか…っ。気が早すぎるでしょ。まだ高校生だよ?
トウサン:はははっ…そうだな…。
でもあんな小さい…まだサトミの腕に抱かれてた時、あんな赤ん坊だったお前が…こんなに立派になって…
サトミも…嬉しがってるよ
メグミ:…え?母さん……私を…抱いてくれてたんだ…?
トウサン:生まれた直後は、まだ意識があってね。お前を抱いて『生まれてきてくれてありがとう』って言ってね。
涙をポロポロ零して、嬉しそうな顔して、お前の頭を撫でて…。
そう…今のお前みたいな顔してた…
メグミ:私…そんな顔してないよ
トウサン:母さんによく似てる。我慢しなくていいよ。泣きたいときは、泣いていいんだから
メグミ:!!私は…私は…っ!!…ぅ…うぅ、うう…ううう…っ…うわあああああん!!!
トウサン:よしよし。まるで、今生まれた赤ん坊みたいだ。……今まで、我慢させて、ごめんな?
メグミ:う…う…そんな…!!私も、ずっと、話さなくてごめん…。
お父さんが一番大変だった時にも、何もしなくて…本当に…ごめんなさい
トウサン:メグミが…生きてくれている。それだけで、満足なんだよ
メグミ:お父さん…っ
トウサン:ん…あれ?涙が…光って…?メグミ?
メグミ:え?あれ?本当だ…どうして?
トウサン:…気のせいかな…身体が、軽くなったような…?
メグミ:え!お父さん!お母さんの所に行かないでっ!
トウサン:……ははっ。何を言ってるんだい、別に宙に浮いて軽くなった訳じゃないよ。ははは…
メグミ:ん…だって…。あれ?でもお父さん、顔色良くなってきた?
トウサン:さっきまで身体に力が入らなかったけど…よいしょっと
メグミ:え!いきなり立ち上がって大丈夫なの?
トウサン:んー…さすがにきついか…ふぁー
メグミ:わぁああっと!危ないよ!もう!焦らさないでよー全く!
トウサン:ははは…ごめん。でも…本当に元気が出てきたみたいだ
メグミ:ほんと?あー…でも心配だから…ちょっとお医者さん呼んでくるから、待ってて!
トウサン:うん。あ。メグミ
メグミ:ん、え?何かまだある?
トウサン:ううん。愛してるよ、メグミ
メグミ:えっ!!いきなり何よ!!やめてよ気持ち悪い!
トウサン:ごめんごめん
メグミ:………私もよ
トウサン:……え?
メグミ:…だから、もう働き過ぎないこと!分かった?!もー…えっと…行ってくるから、大人しくしておいてね!!
トウサン:はいはい。いってらっしゃい。
……………メグミ…ありがとう。そして……ありがとう、サトミ…?
ケイ: 無事退院できたって。メグミさんから手紙が来たよ
リサ: 良かった。やっぱり娘の笑顔は、どんな病にも効く!ってことなのかな?
ケイ: そうだね
モコ: のんのん!それは違うよ!それは僕のまじないのおかげさ!
あ、これ貰うね。頂きマース、ごくごく。わー苦いー何これー…ぶぇええ
リサ: あんた、いきなり現れて、私のコーヒー奪っておいて、よくそんな台詞口にできるわね…
とりあえず、詫びにその頬貸しなさい
モコ: こんな砂糖入っていない黒い水なんて飲んでも何の栄養にもならないよー
あぁ。砂糖、砂糖が欲しいよー身体が砂糖を求めてるー
あ、頬なんて貸しませんよー。返却されないものに投資はしません!!
ケイ: モコさん。お口直しにこれ、どうぞ
モコ: ん?あああ!これミルクレープじゃん!!食べたかったんだ!!
頂きマース!!…あーおいしい。ペラッあーおいしい!ペラッ
リサ: その食べ方…ほんと行儀悪い…。最低
せっかく何枚も層を重ねてるのに、1枚ずつ剥がしちゃって…ケーキに対する冒涜行為にしか見えないわ…
モコ: えー!食べ方なんて人それぞれでしょ?僕は、一番この食べ方が好きなんです!!
はぁーおいしい!!さすがケイさん、おいしいー
ケイ: それなら良かったです
リサ: ケイさんも嫌なら言っていいんだよ?!こんなマナーの『マ』の字もない奴!!
ケイ: 形がどうであれ、美味しく食べてもらえているなら、問題ないよ
リサ: そういう所、甘いんだから…
ケイ: そういえば、モコさん。
さっきのまじないのおかげって言ってましたけど…今回メグミさんに何かまじないかけていたんですか?
モコ: あーあの時は何もかけてないよ
ケイ: そうですよね。…じゃあ、どうして?
モコ: あの時はかけてないけど。
あーれ?健やかに送れます様にみたいな奴。お母さんの涙、媒介物にしたって言ってたでしょ?
ケイ: 確か…メグミさんのお母さん、サトミさんの…涙でしたよね?
モコ: そうだよ。それが、サトミさんからメグミさんへ~。そしてメグミさんからお父さんへ~
リサ: それって…涙を介して、まじないの効果が移動して発動したってことなの?
モコ: そのとーり!それで、親子して、僕が家族全員を救っちゃったってこと!
いやー僕天才!センスあるー!追加料金請求しちゃおうっかなー?
リサ: すぐ調子に乗るんだから…
ケイ: ここまで見通して、最初にそうしてたなら、モコさんやっぱりすごいですね
モコ: え!!
ケイ: …どうかしましたか?
モコ: …えーっと、えへへへへ
リサ: 気にしないでケイさん。モコは真っ直ぐに褒められると…照れるのよ
モコ: そんなことないー!!!あーミルクレープもう一個オカワリ!!
ケイ: ふふ…はい。用意しますね
リサ: また1枚1枚めくって食べたら、はっ倒すからね
モコ: 暴力ハンターイ、ハンターイ、ハンターイ!!
リサ: 何度も言うなうるさい
モコ: もーリサさんも、少しぐらい僕に優しくしてくださいよー。
ケイさんには優しいくせにー
リサ: あんたとケイさんじゃ月とすっぽんぐらい差があるから無理よ
モコ: えーすっぽん美味しいのに
リサ: …はぁ。じゃあ今度、すっぽん食べに行こうね
モコ: え?!いいの?!リサさんからまさかの奢り?!裏がありそう!!
リサ: 一言余計よ?ま、一応、メグミさんの悩みを解決してくれたし。日頃のお礼を兼ねて、ね
モコ: …裏がありそう
リサ: ……もう、連れてかない
モコ: あーすみません!すみませーん!!ほらネズちゃんをストラップにしてプレゼントしますから!許して!!
リサ: いらないわよ!それに、やめてあげなさい!!…もう、いい加減にあんたも元の姿に戻りなさいよ!
モコ: ははは、なんだかんだで、その姿が落ち着くんですよ。きっとー?
リサ: はぁ…変人ばかりで、頭痛くなるわ
モコ: リサさんもその仲間っ!
リサ: …はいはい
ケイ: お待たせしました。はい、ミルクレープです。そしてネズちゃんにはこのプロセスチーズを
モコ: ネズちゃんにも!わーい!ありがとう!!
ケイ: それじゃ、一息つきましょうか?リサさん?
リサ: …はーい。分かりましたよー
ケイ: どうぞ温かいココアです
リサ: ありがとう
モコ: あーそれもおいしそうだなー僕にもちょうだ…
リサ: 何か言った?
モコ: いえ……ひいいいいい。リサさんの食べ物には手を出さない、めもめも。
今の一睨みで僕の寿命、1年縮んだよ!!恐ろしい…
あ、でも砂糖1杯ですぐ回復するけどね!わわわ。まだ睨んでる!
リサ: じゃあ、そうね…?…新品の掃除機1台で勘弁してあげる
モコ: え?…掃除機…ですか?
ケイ: 掃除機?!いいんですか?!
モコ: え!!
リサ: …(貰うんだったらいいんだ…?やっぱり欲しかったんだ…ケイさん)…
ケイ: ありがとうございます!!モコさん!!
リサ: 決まりー!それじゃ、よ・ろ・し・く・ね!モコ!
モコ: …くっ!!わーかーりーまーしーたーよー!!
リサさんに続き、ケイさんまで…僕を操って…ちくしょー!!
あの純粋な瞳の熱い視線に抗えない…!!うぐぐぐぐ!!!
あぁぁあでも、すっぽん代全額ゴチとか言われるよりかはマシかなぁ…?
まぁケイさんには今回助けてもらったし、仕方ないのかなぁ…むー。
あはは…はは…。………はぁ
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