題名  公開日   人数(男:女:不問)  時間  こんな話  作者
 アルパカップル 2015/08/23  2(1:1) 10分 アルパカは少しもでません。  りり~

A   : 女
B   : 男


『アルパカップル』


A  んー

B  とりあえず…止まんない?

A  いや、まだいい

B  でもこのままだと、どんどん知らない道にいくよ?

A  こっちだと思ったんだけどなー…おかしいなぁ?

B  止まってから考えるのは、ダメなの?

A  止まってる時間がもったいないじゃない

B  …俺は、よく分からない道を迷う方が時間の無駄だと思うけど…

A  ん?何か言った?

B  いや、ただの独り言

A  ふーん?

B  予定では10分で着くって言ってたのに、もう30分も経ってるよ?
   一旦、どこかで休憩して、調べなおした方がいいんじゃない?

A  でも、後少しで着くと思うの。おかしいなぁ

B  ここらへんは見たことあるの?

A  ないよ?

B  …なんでそれで、着くと思うんだよ?

A  あーもう、うるさいなー。少しくらい我慢できないの?
   大体、あなたが『たまには運転しないで、のんびりしてみたい』って言うから、してあげてんのに
   のんびりしとけばいいでしょーが!したかったんでしょ?の・ん・び・り!

B  はいはい!!分かったから前見て。こわいから

A  ちゃんと見てるわよ

B  お前さ。免許取ってどんくらいだっけ?

A  さぁ?10年は経ってるんじゃない?まだ高校卒業する前に取ったんだもん

B  俺より早いのな、取ったの

A  大学とか行ってからだと、取るタイミング失っちゃうから、早めにとっとけって父さんに言われたからねー

B  よく落ちなかったな

A  何?喧嘩売ってんの?

B  違うよ!だって、ほら、さ?あ、機械苦手とか言ってたじゃん?
   コンピューター触るのも、キーボード人差し指でつんつんしてるし

A  同じ機械でも、それとこれとは別でしょ?
   合宿免許だったし、先生丁寧だったから、よゆーだったよ

B  …そ…っか…

A  はぁ…ほんっとにあなたは心配症よねー?

B  ごめん…

A  別にいいわよ。たまにうざったくなるけどね

B  う゛…

A  冗談だって!もう、真に受けないでよー

B  ちょっと傷ついた

A  いつものことでしょ?

B  …確かに

A  ねぇ

B  ん?

A  運転代わりたいとか思ってる?

B  ん…それはー

A  あ!やっぱり思ってるんだー!私のこと全然信用してないんだー!!

B  それは!そうじゃなくて…!!あー前見て!

A  見てるわよ!運転中に目そらしたらダメって常識でしょ!ちゃんと見ーてーるーわよ!!

B  ほらほら落ち着いて…ほら、リフレッシュのためにあーん

A  え?あーん

B  ほらっ…

A  もぐもぐ

B  おいしいでしょ?運転にはエネルギー必要だよー

A  …これ

B  ん?

A  からーーーーい!!

B  え?え??あれ!もしかして苦手だった?

A  ちょー苦手!!うわー最悪、もーやだー!!!うえええ!!

B  うわあああ!ハンドル手離さないでよ!

A  離してないわよ!けほけほ!!よくこんな辛いもん食べれるわよね、舌痛いよー…

B  高速乗って眠い時とかよくかむんだけどなー俺

A  舌の味覚細胞死んでるんじゃないの?ちょっと!ティッシュ貸して!

B  え?あ、はい!

A  んんん、ぺっ!!ようやく排出できたわ。もう!危ないんだからこんなことしないでよね!

B  ごめんって!ブラックミントガム嫌いだって知らなかったんだもん

A  私はアイスのチョコミントもだめだから!覚えといてよー!もう!!

B  分かった分かった覚えておくから、ごめんなー

A  私の邪魔したいから、こんなことしたんだったら殴る

B  そんな訳ないだろー。よかれと思ってやったのにひどい言われ様だな…俺

A  へこんでも、今運転中だから、慰めないよー?

B  はいはい、運転に集中してください

A  はーい。集中してまーす

B  それにしても…いつも運転席だったから、気づかなかったけど、助手席って結構緊張するもんなんだな…

A  それはあなただけじゃない?

B  どうして?

A  ふつーはそんなに騒がないわよ

B  まぁ、俺もまさか自分がこんな風になるとは思ってなかった

A  のんびりとは程遠そうね

B  そうかも…

A  はぁー…ごめんね

B  何突然?

A  だって絶対私のせいじゃん?

B  そんなことないよ

A  方向音痴なのは自覚してたんだけど、どんどんこんな茂みに入ってきちゃうと…
   さすがの私も、なんか、申し訳なくなってきたわよ

B  自覚してたんだ?

A  学生のころ、遠くから友達、下宿先に遊びに来て、案内しようと思ったら…
   迷っちゃって、逆に案内されちゃったもん。
   ここに来るまでに通ってきた道だから、もう分かってるって言われちゃってさー。
   そこ5年も住んでたのに、全く土地勘身につかなかったからさー…

B  そっか…

A  こんな近所だし、地元だし、今回は大丈夫だろうって思って、運転しようって思ったのに…。
   嫌な思いさせてごめんね

B  そんなことない

A  あ、ちょうどいいや…あそこの路肩で止まろっか?
   最初っから交代しとけばよかったね。なのに、片意地張っちゃって…

B  しないよ。そのままでいい

A  …でも迷子だよ?

B  …

A  …

B  俺、嬉しかったんだよ

A  え?

B  運転代わってあげよっか?って言われた時

A  …そうだったの?

B  二度見してたじゃん

A  いや、何か物落としたのかなって…

B  驚いてたんだよ。なんでもいつでも俺にまかせるよって言うじゃん?
   『朝ごはん、和食と洋食。どっちがいい?』
   『まかせるよ』
   『お中元、海苔かビール。どっちにしようか?』
   『まかせるよ』
   『旅行、南極にでも行こうか?』
   『まかせるよ』
   あんまり、意思を示してくれないっていうか…俺のこともう興味ないのかなって思ってたから…。
   何かしようって言い出してくれたこと、初めてだったからさ…

A  …そんなに私、いいかげんな感じに見えてたんだ…?

B  だから…嬉しかったんだよ。
   ずっと一緒にいたけど、そんな事、初めて言ってくれたからさ

A  そうだったんだ…

B  俺が心配しすぎて、声かけすぎたし…。そのせいで迷っちゃったのかもしれないし。
   俺の方こそ、嫌な気分にさせちゃってごめん

A  ほんと、優しいんだから、あなたって人は…

B  え?

A  いつも甘えてばっかりでごめんね。
   あなたに全てまかせっきりなのは…あなたが選んでくれるのが、いつも私の中で最高な選択だったから…
   つい、そればっかりになっちゃうんだよね

B  無関心、じゃなかったんだ?

A  うん。そうだよ

B  そっか…。
   なんか恥ずかしいな

A  なんで?

B  そんな風に思ってくれてたって知って、なんか…カーってなっちゃって

A  …照れてるの?

B  そうかも

A  ふふふ。かわいいんだから

B  どっちがー…

A  あなたに決まってるでしょ?ふふふ

B  はいはい…ふふ

A  なーに?笑ってんの?

B  いやーね?やっぱ笑ってた方がいいなって思ってね。
   さっきいっぱい怒ってたからさー

A  何それ。のろけ?

B  多少

A  ふふふ

B  ふふふ…って、あれ?あの看板なんだろ?

A  ん?ほんとだ。こんな山奥にこんな場所あったんだ…?

B  牧場…って書いてるね

A  『牛、豚、にわとり、羊やうさぎなどたくさん生き物と触れ合えるよ!!』って書いてる!
   わー行ってみたい!行きましょ!

B  いいけど…。
   あれ?俺たちって、どんな目的で出かけたんだっけ?

A  え?卵買いに行こって?
   オムライス作ってくれるって言ってたじゃん?

B  そういえば、そうだったね

A  じゃ!早く行きましょ!私、アルパカモフモフしたい!!

B  アルパカ?!羊はいるだろうけど、いるのかなー?
   とりあえず分かったから、前見-るー

A  分かってますよー見てますよー
   あ!卵も、生みたてホカホカの、ゲットできるね。やったー!

B  …近所のスーパー行って、卵買うだけだったはずなのに。
   まさかこんなことになるとはね

A  私のおかげだねー?

B  そうだね。君のおかげだ

A  ふふふ~。よしっ!着いた。
   …帰りも運転、したげるね

B  それだけは…勘弁

A  えー!!ひどーい!

B  帰りは僕がしまーすー!反対意見は受け付けません!
   はい!!あ、サイドブレーキちゃんといれた?

A  いれた。扉もこれで…閉めた!よし!行くぞー!!モッフモフー!!

B  はいはい。モッフモフー



     
 
           
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