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題名 |
公開日 |
人数(男:女:不問) |
時間 |
こんな話 |
作者 |
修理工とまじない屋の平凡な一日(ケイの友達編) |
2017/01/15 |
5(1:1:3) |
50分 |
クゥが3人の友情を取り戻そうと、ケイに会いに…。 |
りり~ |
クゥ : 不問 …ケイの友達。ひらひらした服が好き。見た目は、女の子。考えなしの行動で、直情型。今回の依頼人。
ケイ : 不問 …修理工。手先が器用。体術も得意。怒らせると結構こわい。リサは、ケイにとって大切な存在。
リサ : 女(台詞少なめ) …ケイの助手。魔術大国サダクビア国のリサ・サダクビア王女。
モコ : 不問 …まじない師。リサに、こき使われている。破天荒だが、実は一番周りがよく見えている?
ジェイ : 男 …ケイの友達。サダルスウド国とサダクビア国の国境間を管理する、 二国間関門審査官。堅物。
『修理工とまじない屋の平凡な一日(ケイの友達編)』
リサ: ふぁあ~(あくび)
ケイ: 随分大きなあくびだね。これからモコさんのところに行くっていうのに、大丈夫?
リサ: う~ん、ちょっと昨日、夜更かししたのが、今になって身体にきてるみたい。ふぁあ~(あくび)
ケイ: パズルの修復3000ピース、元の位置に戻すの、手伝ってもらったせいで…ごめんね
リサ: 大丈夫だよ~。依頼してくれたお客様も喜んでくれてたし、これくらい平気平気!
それに、今日はモコに会うだけだし、気を遣うことないから、気にしないで。
今日中には帰ってこれると思うけど、深夜になると思うから、ケイさんは先に休んでおいてね
ケイ: うん、分かった。気をつけて行ってくるんだよ
リサ: 分かってる。それじゃあ、行ってきます
ケイ: 6時か…。そういえば、お店クローズにしてなかったな。よいしょっと
カランカラン
ケイ: あ…すみません。今日はもう閉店なんですが…
クゥ: ケイだよね?
ケイ: え?…あなたは?
クゥ: ひっさしぶり~!!ケイ!!会いたかったよおお!!
ケイ: わぁ!っと、いきなりなんですか!!
クゥ: そんな他人行儀な態度やめてよー!私達親友でしょ!!
ケイ: ちょっと、えっと、え?!
ジェイ: クゥ、離してやれ。ケイが困ってる
クゥ: むーわかったよー
ケイ: ジェイ?!
ジェイ: 久しぶりだな、ケイ
クゥ: えー!ジェイのことは覚えてるのに、私のことは忘れてるのー?
ジェイ: お前の格好が、奇怪だから気付かないんだろ?
クゥ: この服ひらひらしててかわいいし、サイズぴったりだし、最近の一番のお気に入りなのになー
ケイ: ジェイと一緒ってことは…あなた、クゥなんですか?
クゥ: そう!そう!そうだよー!!私の顔忘れるとか、ほんっと失礼しちゃうなー!
ジェイ: 化粧が濃すぎだからな。気付かないのも無理ない。俺も最初別人だと思ったからな
クゥ: ひどーい!!そんなこと言わないでよ!
ジェイ: 事実を言ってるだけだ
クゥ: ぶーぶーぶー!
ケイ: 10年ぶりですか…。でも、二人揃ってどうしてこの店へ?
クゥ: ケイに会いに来たに決まってるじゃーん!
ジェイ: 噂に聞いてたからな。これを直してほしいんだ
クゥ: ジェイ…久しぶりの再会にもっとこう、なんかないの?情緒ないなー
ジェイ: お前と付き合ってると、話が進まなさそうだからな
クゥ: ぶーぶーぶーぶー!!
ケイ: えっと…これは…写真ですか
クゥ: ね?懐かしいでしょ?私達3馬鹿トリオの貴重な写真だよ!
ケイ: こんな写真いつ撮ったんですか?
クゥ: 卒業式の時だよ!覚えてないの?あ、そっか、私のカメラで撮ったから、二人にはあげれてなかったんだね
ジェイ: あれから、皆会う機会なんてなかったからな
クゥ: そうだよー!二人共、忙しいって言って、ぜーんぜん会ってくれなくなっちゃって。
ジェイは出世しちゃったし、ケイは職転々として忙しそうだったし、私を取り残してさー
ジェイ: ケイ、直りそうか?
ケイ: 色は劣化して薄くなってますが、直せると思います。破れてはいますが、パーツは揃ってるので、問題はないかと。
ちょっと待っててください
クゥ: ちょっと!そんなに急がなくていいんだよ?もっとお話してからでもいいんだよ?
ケイ: 薬品に浸すだけなのでーすぐ戻りますから
クゥ: …あーあ。行っちゃった。久しぶりに会ったのに、愛想ないなー
ジェイ: 元々、ああいう奴だっただろ
クゥ: まぁね。それにしても、例の彼女はどこにいるのかな。まだ見てないけど
ジェイ: そうだな
クゥ: 探さないの?
ジェイ: 焦らなくてもいいだろう
クゥ: 余裕なんだね…いつも余裕ないのは、私ばっか
ジェイ: クゥ?
クゥ: ジェイはさ、怒ってないの?
ジェイ: なんのことだ
クゥ: 私、あの写真撮った時、ジェイにひどいこと言ったじゃん
ジェイ: …
クゥ: あれから二人共会ってくれなかったから、怒ってるんだと思ってた
ジェイ: 随分昔のことを覚えてるんだな
クゥ: 私、すごく後悔してたから…
クゥ: はいー二人共笑って笑って!はいチーズ!よし撮れた!
ジェイ: 予告ぐらいしろ、クゥ
クゥ: え?だって言ったら、二人共撮ってくれなさそうじゃん?それに自然体の方がいいっしょ?
ケイ: ジェイはこれからどうするんですか
ジェイ: これから?
ケイ: 卒業した後ですよ
ジェイ: 大学校に行って、国の機関員になるのが、今の所の夢だな
クゥ: ジェイは賢いし、現実になりそうだなー!
ジェイ: クゥはどうなんだ?
クゥ: え?私は…ジェイに言えるほどの夢はないなー
ケイ: 言ってないのか?クゥ
ジェイ: ケイは知ってるのか?
クゥ: だって、ケイは私になら何でも、話してくれるんだもん。だから話したの
ケイ: クゥ、その言い方には御幣があるような
ジェイ: クゥ、お前の夢は何なんだ?
クゥ: 絶対笑うもん
ジェイ: 言ってみないとわかんないだろ
クゥ: …
ケイ: クゥ…
クゥ: 私の夢はね…ダンサーになることなの
ジェイ: ダンサー…ククク、フフフハハハハハハハ!!!!
クゥ: ほら!やっぱり笑うんじゃんかー!!
ジェイ: だって、ダンサーとかいきなり聞かされたら、普通笑うだろ?
お前みたいな奴が、そんな馬鹿みたいなこと言うだなんて…フフフ、想像できなかったからな…
クゥ: ひどい!!いっつもそうやって馬鹿にして、ジェイは私の気持ちなんか考えたことないよね!!
ケイ: クゥ
クゥ: ケイは黙ってて!!私は頭にきてんだから!!人の夢馬鹿にして!!
私はね!ジェイのことなんて、本当は苦手だけど、仕方なく付き合ってるんだよ!
ジェイのおとーさん偉いひとだし、怖いし!ずっとご機嫌取ってたけど、今日でもうおしまいだよ!!
ケイ: クゥ!!
クゥ: 私はね!ジェイのその人を見下した態度、ずーーっと嫌いだったんだから!!!
ジェイ: …そうか
クゥ: 大嫌い!!
ケイ: クゥ、落ち着け
ジェイ: 悪かったな…クゥ
ケイ: …ジェイ?
ジェイ: じゃあな
ケイ: え?ちょっと、待ってください!ジェイ!!ジェイ!!
クゥ: あんな奴、もう放っておいたらいいんだよ
ケイ: クゥ、それ、本気で言ってますか?
クゥ: 本気だよ
ケイ: …そうですか。残念ですよ、クゥ
クゥ: え?
ケイ: 僕も、行きます。さようなら、クゥ
クゥ: え?ケイ待ってよ、おいていかないでよ!
ケイ: クゥは、僕の夢、知ってますか?
クゥ: え?
ケイ: クゥは自分のことを話したいだけで、他の人に興味なんてないんでしょ?
僕のことなんて、話がしやすい石の壁としか思ってなかった
クゥ: そんなことない!ケイは私にとって大切な人だよ?
ケイ: だったら、ジェイにどうしてあんな言葉を吐いたんです?
クゥ: それは…ちょっと、カッとなっただけで…別に嫌とかそういうつもりじゃなかったんだもん
ケイ: でも、僕がああ言われたら、きっと傷つきます
クゥ: っ…
ケイ: ジェイと仲直りしてくださいね。
クゥとジェイにどういう風に思われていたとしても、僕は二人と一緒に居られて楽しかったですよ、では
クゥ: ケイ!!
……どうしよう、私のせいで…皆ばらばらになっちゃった。
皆と離れるのが、寂しくて…ごまかそうと思って、なんかカッてなっちゃって私馬鹿だ。嘘ついちゃった…
クゥ: 覚えてる?卒業式のあれ以来…私達ずっと会ってなかったでしょ?ずっと、私後悔してたんだよ
ジェイ: そんなことも、あったか。…もう昔の話だな
クゥ: 昔っていう程、昔の話じゃないじゃん!だから今日も、会ってくれるか心配だったんだ
ジェイ: 今回の件は、俺の仕事にも関与してたからな
クゥ: 仕事だから…か。やっぱりまだ良くは思ってないんだね、私のこと
ジェイ: どうだかな。まぁ、お前がこの情報をくれなかったら、ここに一緒に来ることはなかっただろうな
クゥ: …そっか
ケイ: お待たせしましたー。今処理してきたので、あの写真は明日の朝には直ると思いますよ
クゥ: …あ、そうなんだ。思ったより早く直るんだね…
ケイ: クゥ?どうかしましたか?
クゥ: ううん…
ジェイ: ケイ、聞きたいことがある。いいか?
ケイ: ん?なんですか?ジェイ
ジェイ: 単刀直入に聞く。…この店に魔女は居るか?
ケイ: !!どうして、突然そんなことを聞くんですか?
ジェイ: 俺は…二国間関門審査官だからだ
クゥ: ケイのことが心配なんだよ。もし悪い魔法にかかったら、自我をなくすっていうじゃない?
ケイ: もし、居たらどうなんです?
ジェイ: もちろん隣国に帰す。もしくはこちらの国で処刑を執行する
クゥ: え…?
ケイ: 処刑…ですか
クゥ: ちょっとちょっと待って!な、何も殺すほどじゃないんじゃないの?
ジェイ: 隣国の力は、とてもこちらの国では扱えない魔法という技術は、こちらの国では脅威だ。
そして魔女は国の争いで用いられるほど邪悪な力を持っている。
呪いの力で人々を惑わし、災いを生むものだ。もし被害が既に出ている場合は、処刑する権限も二国間で協定済みだ
クゥ: そんなの…そんな話、聞いてないよ
ジェイ: 一般的に知れ渡ってないだけだ。で、どうなんだ、ケイ?
この店に魔女がいると聞いたんだが、事実か?
ケイ: それは…
クゥ: …っ
ケイ: 魔女は、ここにはいませんよ
クゥ: …!!そうだよ!ここにはいないよジェイ!だから今日は早く帰ろう?
ジェイ: …また二人で、俺に嘘をつくのか?
ケイ: ジェイ…?
クゥ: 違うよ!!全部私の勘違い!魔女なんて、ただの根も葉もない噂だから!
ジェイ: お前も魔女の洗脳を受けたのか?
クゥ: 違う!!!
ジェイ: ケイ、なんで嘘をついた
ケイ: …大切な人を、守りたいからです
ジェイ: お前も洗脳を受けたのか
ケイ: ジェイがどう考えようと勝手ですが、この気持ちは、そんなものではないと思います
ジェイ: …洗脳された奴は皆、そう言うさ。あの頃から、二人共変わらないな。
俺にだけ嘘がうまくて、騙されそうになる
クゥ: ジェイ…
ジェイ: 明日朝、魔女を拘束しにくる。もし隠すようなら、隠匿とみなして、直ちに刑を処す
ケイ: それを、もし僕が防ぐと言ったら?
ジェイ: …お前も、同じ道を辿ることになるだろうな
クゥ: 何言ってんのジェイ!私達友達でしょ?そんなことするわけないじゃん!!
ジェイ: 俺は、二国間関門審査官の役目を果たすだけだ。私的感情でどうこうする問題じゃない
クゥ: でも!!
ジェイ: では、またな
クゥ: ジェイ!!
ケイ: …行きましたか
クゥ: ……ごめん、ケイ。ほんとごめんなさい…
ケイ: なんでクゥがあやまるんですか?
クゥ: 私がジェイを呼んだから…私が3人で…昔みたいな3馬鹿トリオで会いたいって思ったから、こんなことになっちゃった
ケイ: クゥ…?
クゥ: 私が、この店に魔女がいるって、ジェイに話したの!ジェイが動くことといったら、そういうことしかないと思ったから
ケイ: リサさんを知ってるんですか?
クゥ: リサっていう魔法が使える女の子がいるって噂で聞いたの。
でも、ほんとにいるとは思ってなかったし、ケイがそんなに大切に思ってる人って知らなかったし…
ケイ: …
クゥ: さっきのジェイと話してる時の目、ケイ本気だったもん。ケイが本気で守りたい人なんだなって、私でもすごく分かっちゃった。
…なのに、私は…私が皆に会いたいがために、また嘘ついたから、こんなとんでもないことになっちゃった…
ケイ: そうですね…
クゥ: ごめんなさい
モコ: ……あらあら…リサさん、捕まっちゃうんですか?
クゥ: …え?
ケイ: モコさん…聞いてたんですか?
モコ: ええ。3人方が揉めてるあたりに、来ちゃったもので。
こりゃ今姿を現わすのはまずいかなって、身を潜めていましたよー
クゥ: え?え?…ケイ、この人誰?
ケイ: モコさんです。僕の店を手伝ってもらってます
モコ: どうも。どんなまじないでもどんとこーい、いつでもあなたの味方!
まじない師のモコです。どうぞよろしく!
クゥ: まじない師?
モコ: あなた方が言う、魔女みたいなもんですよ。
人を惑わし、この世に災いを生む、まさにこの世を世紀末の地獄と化す!!グフフフ…
クゥ: ひぃ!殺される!
モコ: …はぁ。僕達って、ほんとひどい認識なんですね?取って食う化け物って感じ?ケイさん
ケイ: すみません。
クゥ、大丈夫だよ。モコさんは悪い人ではありませんから
クゥ: そうなの?さっきジェイが怖いこというから…もうてっきり、そういう人なのかって思って
モコ: いいですよー、それにちょっと僕も冗談が過ぎましたから
ケイ: それにしても、モコさん。リサさんはどうしたんです?
モコ: 僕の家で寝てらっしゃいますよー。仕事手伝ってもらってから、ちょっと仮眠させてーって言われまして。
30分後に起こせって言われたんですけど、なんか起こしたら起こしたで怒らせそうなので…ごほんごほん。
いやゆっくり休ませてあげたいな!という僕の心遣いですね!
ケイ: じゃあ、こっちにはまだ来てないんですね…良かった
クゥ: モコさん!!さっきは怖がってごめんなさい!
でも、私のお願い聞いてくれませんか?
モコ: え?え?あ、はい。何ですか?
クゥ: モコさん、魔法が使えるんですよね?それじゃ、あのジェイをどうにかしてください!!
モコ: どうにかって?
クゥ: 私のせいで、ケイの大切な人がいなくなっちゃうなんて、嫌なんです!!
だから、だから!!!だからー!!!!
モコ: ちょっとちょっと、あなたの感情は分かりましたけど、それじゃ意味わかんないですよ?落ち着いてくださーい!
クゥ: あ…すみません、取り乱しちゃって
モコ: うーん。むずかしいなー。
僕も話聞いてたけどさー、あのジェイっていう人、二国間関門審査官って言ってたよね?
それだと、僕まで巻き込まれちゃうかもだし。
正直この話に首をつっこんだら、ミイラ取りがミイラになるっていうか、超危険な気がするんだよねー
ケイ: そうですよね…
モコ: 二国間関門審査官といったら、国家警察のトップエリートで構成されてる、おっそろしー人達だよ?
よくもまぁ、僕達今まで捕まらなかったな、って感じだしー。僕達もそろそろ潮時かなぁ?
クゥ: そんな…
モコ: でも何にも悪いことしてないのに、ひどい話だね~。あなたが、僕達のこと密告したんでしょ?
クゥ: …だって
ケイ: クゥ…?
クゥ: ケイが私達以外の人と楽しくしてるのなんて、信じられなかったんだもん。
ケイも、ジェイも私のことなんか、忘れちゃったみたいに会ってくれないし…許せなかった
モコ: 嫉妬ですか?きれいな顔してるのに、独占欲強いんですねーあなた
クゥ: 口数少ない二人だけど、私は二人のことが好きだった。
私のこと信頼してくれてるんだと思ってたけど…本当は、私のこと…嫌だったのかな…。
今日だって、私は、昔の3人に戻りたかっただけだったのに、どうしてこんなことになっちゃったんだろ
ケイ: 嫌だなんて、思ったことはないです
クゥ: でも、今も私は、信じられない。だって魔女と一緒にいるんでしょ?
店開いたことも、私に教えてくれなかったし、どうしてなの?
ケイ: 話すきっかけがなかっただけで
クゥ: もうもう!そうやって、ケイはいつもそう!でも、ケイは悪くない…私が勝手なだけで…!!
モコ: はいはい、そこまで
ケイ: モコさん?
モコ: お二人はいい友達ですね。でもクゥさんが少し感情的になってきてるようなので…ケイさん?
落ち着かせるためにも、何か甘い飲み物用意してもらえますかね?
ケイ: あ…わかりました。すみませんちょっと席をはずします
クゥ: …
モコ: 大丈夫ですか?クゥさん
クゥ: …すみません
モコ: もうあやまらなくていいですよ。ぜーんぜん、気にしてないですから。
それに、僕もね?友人とケンカしてね、牢屋にぶち込まれたことだってあるんです。
いやーあの時はもう大変でしたよー?
クゥ: 牢屋…って?何ですかそれ
モコ: 自分で言うのもなんですけど、僕天才で、あいつも天才で。いっつも良いライバルだったんです。
でも、ちょっとすれ違っちゃって、歪みが生まれて…。
僕が真っ直ぐ向き合わずに、ケンカをするのを避けてたら、いつのまにか牢屋に入ってました。
まぁ、今となれば笑い話なんですけどね
クゥ: はぁ…
モコ: …話さないと、分からないこと。多いですよね?
話してもぶつかることも多いし、分かり合えないこともある。
でもやっぱり全てを話すのには勇気がいる
クゥ: はい…。私達は、それがうまくできてなかったから、バラバラになっちゃったんだと思ってます
モコ: バラバラ?ですか?そうですかねー?
クゥ: え?
モコ: きっと大丈夫ですよ。だからクゥさん、二人をもっと信じてください
クゥ: 信じる…
モコ: ………うんしょっと…じゃあ、ちょっと、僕も行ってきますかねー
クゥ: え…どこへ?
モコ: これからね!僕ちょっと緊急な用事っていうかー、友達に連絡しなきゃいけないことあるんだ!
クゥ: 緊急って…こんな夜遅くにですか?
モコ: うん!すぐ戻るからー心配しないでね!じゃーまたね!
クゥ: …ほんとに行っちゃった。
……信じる、か。私二人のこと…信じれてなかったのかなぁ…
ケイ: クゥ?あれ?モコさんは?
クゥ: さっき、なんか急いで、友達に連絡しなきゃいけないことがあるーとかで、出て行っちゃった
ケイ: そうですか…。どうぞクゥ、ココアです
クゥ: ありがと。いただきます
ケイ: まだ熱いかもしれないので気をつけてくださいね
クゥ: …ふぁ~私猫舌じゃないしちょうどいいあったかさだ~甘くておいし~よ
ケイ: それなら良かった
クゥ: …
ケイ: 少しは落ち着きましたか?クゥ
クゥ: うん。…………ねぇ
ケイ: ん?
クゥ: ケイは、魔女…いやリサさんだっけ?その子のこと信じてるの?魔法で心が操られてるのかもしれないよ?
ケイ: いざそう聞かれると、どうでしょうかね…
クゥ: …そうだよね。やっぱり難しいよね
ケイ: でもね
クゥ: ?
ケイ: 僕は今リサさんと一緒に居れて幸せだっていう気持ちは、嘘じゃないから。
彼女が魔女でも、人間でも、何だっていいんです。だから…信じたいと思ってます
クゥ: …そっか…
ケイ: …?どうかしましたかクゥ?
クゥ: ごめん…やっぱり私、大変なことしちゃったのかも
ケイ: クゥ…
ジェイ: 本当に…とんでもないことをしてくれたな?クゥ?
ケイ: ジェイ?戻ってきてたんですか
ジェイ: ああ。少し事態が変わってな
クゥ: …
ジェイ: リサが魔女なのだと…どうして嘘の情報を俺によこした?
リサがケイの命を狙ってるなどと、言うから、こうやって来たのに、事実無根の情報だった。
ケイ: よかった…リサさんに対する誤解は解けたんですね?
ジェイ。クゥは僕達の仲を取り持とうとして、やったことで…
ジェイ: ケイは少しだまってくれ。俺は、今、クゥに聞いているんだ
ケイ: ジェイ?
ジェイ: …どうしてこんなことをした、クゥ
クゥ: …実際よくわからないことできるんでしょ、魔女って?まじないだっけ?
そんな簡単に人のことをどうにかできるものがあるんだったら、こうやってケイを独り占めもできるよね?
…ケイがこの店を開いてから、私にも全然会ってくれなくったし、ジェイはいつも忙しそうだし…私だけ仲間外れだよ。
そのリサって奴のせいで、また私は一人ぼっちだ。
そいつがいなくなれば、また私たちは元の関係に戻れるって思ったんだもん!!
昔の私の嘘なんて全部消して、皆元通りになるって!!
ジェイ: それで、お前は満足か?
クゥ: え?
ジェイ: また他人のせいにして、それで自分の思うようになったら、幸せだと感じるのか?
クゥ: それはリサって女が悪いから仕方ない(でしょ?)
ジェイ: 会ったこともない、根も葉もない噂だけで、勝手に憎んで、また嘘を重ねて…ふざけるな
クゥ: ジェイ?
ジェイ: いくつになっても、お前は、変わらないな
ケイ: ジェイ!やめろ!
クゥ: 何するの?ジェイ、痛いよ…やめて
ジェイ: いいか?俺は怒ってるんだ…何に怒ってんのか分かるか?クゥ?
俺はな…お前の、いつまでも俺たちのことを信じない態度にいい加減頭にきてる!
クゥ: 何言ってんの?ジェイ?私はいつでも二人のことを信じて…
ジェイ: 信じてるんだったら、どうしてこんな回りくどい試すようなことをするんだ!!
クゥ: …それは
ケイ: 寂しいから…そうなんでしょ?クゥ
ジェイ: ケイ…
ケイ: 離してあげて、ジェイ
ジェイ: …
クゥ: …うん。寂しかったんだ。あの後皆ばらばらになっちゃって…私のせいで、もう三人で会えなくなっちゃったから…。
すごく後悔した。私のせいだって思った。だから、どうにかして元通りにしなきゃってずっと考えてた!
ケイ: …違うよ、クゥ?クゥのせいじゃないよ
クゥ: でも、ケイもジェイも、私と会ってくれなかった
ケイ: それは…皆それぞれ環境が変わって忙しくなったから。そういう時期が重なっただけだよ。
別に僕はジェイのこと嫌いじゃないし、クゥのこともこうやって普通に話してるでしょ?クゥの思い違いだよ
クゥ: …ジェイは?
ジェイ: 俺は、あの時のことはすごく怒ってた。でも、それはクゥがその後に謝りにきたから、それでもう納得している。
俺も感情的になってたし、いやむしろ、喧嘩っ早い所は今でもあるから、反省してる
クゥ: 嘘ついたの、怒ってる?
ジェイ: もちろんだ。今すぐにでもお前のほっぺた引きちぎってやりたいぐらいにはな
クゥ: …こわいよ、ジェイ
ジェイ: それだけのことをしてるんだ、いい加減学習しろ
ケイ: 僕もジェイに同意見です
クゥ: ケイまで?!
ケイ: 関係ないリサさんが悪者扱いされていた訳ですからね?
そんなレッテル貼られたら、僕だって黙ってはいませんよ?
僕に対していくら嘘ついても、僕は咎めはしません。
ただし、彼女は別です。
今回の様なことが何度も繰り返されるようでしたら、僕もクゥとの関係を考え直す必要があるなと思う程度には怒ってますよ?
ジェイ: …ケイ。お前意外と根暗な怒り方なんだな?
ケイ: そういうジェイこそ、暴走列車みたいな怒り方、昔から変わりませんね?
ジェイ: その言いようも相変わらずだな
クゥ: …二人とも、喧嘩しないで
ジェイ: 誰のせいでこうなってるのか分かってて言ってるのかクゥ?
はぁ…普段からこいつとはこーだ!クゥの前ではまだ大人しい顔してたみたいだけど。
たまに気に食わないことがあると、こうやって理論で俺を口伏せていくっていうか、もー性格悪い奴で!
クゥが知らないだけで、こいつは相当嫌な奴だぞ?
ケイ: お生憎様。僕はジェイの本当はそれなりに利巧なのに、あえて自分の愚かさを前面に押し出して、飛びかかっていくスタイル
嫌いじゃないですよ?
ジェイ: そりゃどうも
クゥ: えっと…やっぱり悪口言い合ってるように私にはみえるんだけど…
ジェイ: 本当に嫌いな奴だったら、口も聞かない
ケイ: そうですね、僕も同意見です
クゥ: あれ?…じゃあ二人とも、私が知らないだけで…仲は悪くはなかったってこと?
ジェイ: 認めたくはないけど、クゥがずっと引きずってる昔のもめごと一つくらいじゃ、
こいつの悪態のオンパレードと比べりゃ、かわいいもんだったってことだな。勝手に深刻に考えてたのは、クゥ、お前だけだ
ケイ: まぁもちろん、こういう姿をクゥに見せなかった僕たちにも非はありますけれどね
ジェイ: そうかもな
クゥ: それじゃあ、本当に本当の…私の勘違いだったってこと?
ジェイ: あぁそうだ。俺たちは姿形はおっさんになったけれど、心はあの時のまんまだ
ケイ: 昔と何も変わってないんですよ?クゥ
クゥ: …そうなんだ?…そうだったんだ……良かった…フフフ
ジェイ: ん?
クゥ: 私たち、何も変わってなかったんだ…。良かった…良かったよぉー!!わぁーん!!
ジェイ: おっと!泣いたり、笑ったり…ほんと忙しい奴だな、お前は
クゥ: いいもんー!嬉しいんだもんー!!!うわぁーん!!馬鹿ー!ジェイもケイも好きだー!!うわぁーん!!!
ケイ: はいはい
モコ: お~?ようやく、仲直りできましたかね?
ケイ: あ、モコさん。戻ってきてたんですね
モコ: はい~つい先程ピュンっと帰ってきましたよー!
いやぁ~若いころに起きたすれ違いは、なかなか直すタイミングないと、誤解がさらに誤解を生み、果てはサスペンス!
ってのが、昼ドラにありがちな展開ですが、無事解決したようで、何よりです
ジェイ: あなたがモコさんですか?直接会うのは初めてですね。
例の話といい、今回の件といい、ご連絡の方、どうもありがとうございました
モコ: いえいえ♪大切なご友人方の誤解が解けるご協力ができたようで何よりです♪
ケイ: え?モコさん、ジェイと知り合いだったんですか?
モコ: 知り合いというかーちょーっとお話はしたことはあったんですけどねー?会ったのは今が初めてでーす
ジェイ: モコさんの友人のクロマから連絡が来たんだ。『リサは悪い魔女ではない』とね
モコ: いやはや、余計なお節介だったかもしれませんが、いい方向に行ったようで何よりー。
友達のつてがあってよかったよかった!
クゥ: ご迷惑おかけして、すみませんでした…
モコ: 僕に謝るよりも、もっと適任の方がいるのでは?あ、ちょうど来たみたいですね
クゥ: え?
リサ: モーコー。あなた、私の言ったことがわからなかったの?
少し仮眠をとるから、30分たったら起こしてくれって頼んでおいたわよね?
なのに、この時間…不始末どうしてくれるのよ…
モコ: いやいやいや!だって、ぐっすりと、心地よさそうに眠っていらしゃったしー!
起こすのもかわいそうだなーって!
リサ: モーーーコーーーーーー
モコ: ひいいいいいいい!!!怒らないで!こんなところで詠唱はやばいって!家壊れちゃうよ!!
リサ: そんなの!また直せばいいでしょ!結界張って、周りに飛び散らないようにすればいいだけのこと…
モコ: 鬼ー!!!悪魔!!!僕のささいな優しさを返せー!!
リサ: あんたが私の言うこと聞かないからいけないんでしょ!!!
ジェイ: …あれが、リサか?
ケイ: そうですよ
ジェイ: ケイ…ああいうのが好みなんだな。意外だな?
クゥ: うう…私、怖いよ!リサさん利用して、自分達の仲取り繕おうとしたとか言えないよ!!
リサ: ん?呼んだ?
クゥ: ひいい!
リサ: そういえばさっきからいたわね。ケイさんの知り合い?
ケイ: 中等生時代の友人だよ。ジェイとクゥ
ジェイ: よろしく
クゥ: うぅ…よろじぐお願いじまずぅぅ
リサ: ん??どうしたの?その子、なんで私の方見ながら、そんなに震えてるの?
モコ: それは!リサさんが魔女みたいだからですよ!!
リサ: 魔女…ですって…
クゥ: ごめんなさい!ごめんなさい!魔女とか言ってごめんなさい!!
リサ: …ふぅ。気にしてないわよ?こっちの世界の人から見れば、そういう風に見えちゃうのも仕方ないってわかってるもの
クゥ: 許してくれる…んですか?
リサ: 許すも何も、何にもされてないんだけどー…あ、じゃあ、友達になってくれる?
クゥ: え?
リサ: こっちの世界で、私友達少ないんだ。だからよかったら…どうかな?
モコ: あっちの世界でも少ないくせに…
リサ: モーコー?お口塞いであげようかー?
モコ: あぁあそんな本当に縫い付けないで…
クゥ: 喜んで!!…むしろ私の彼女になってください!!
リサ: え…?ははは!何言ってるの?あなた女の子でしょ?私女よ?
ジェイ: いや、そいつは男だ。見た目はその成りだが、れっきとした男だ
リサ: へ?どっからどうみても…女の子にしか見えないんだけど
ケイ: 昔はここまでではなかったんですけどね…クゥは男性ですよ
クゥ: あなたのその強さに恐怖を通り越して、一目ぼれしてしまいました!
リサ: え…こんなかわいい子が、本当に…男の子?そんなの…有り得ないでしょ?
ジェイ: 昔から女々しい奴だったから、今回みたいなことになったんだろうけど、この展開は俺にも予想できなかったな
ケイ: クゥ?リサさんに手を出したら、いくら僕といえども容赦しませんよ?
クゥ: 私だって、本気出したら、ケイなんかに負けないんだからね!いーだ!!
ケイ: …それじゃあ、早速手合わせしようか?
ジェイ: 審判は俺がするぞ
リサ: ちょっと本気なの?
モコ: ひゅー!ケイさんって意外と熱い人だったんだなー、びっくりびっくり!
リサ: ちょっと!モコもどうにかしなさいよ
モコ: 僕には何もできませんよー無力無力!できるのは応援くらいかな?フレーフレー二人共!
リサ: あんたねぇ…ケガでもしたらどうする気よ
ジェイ: 拳で語り合わないと分からない不器用な奴らなんだ。分かってやってくれ
クゥ: リサさーん!私がケイに当てたら、付き合ってねー?
ケイ: クゥ、そんなできもしないこと言っても、意味ないですよ
クゥ: やってみないとわかんないだろ!バーカケーイ!
リサ: こらこら、勝手に話、進んじゃってるみたいだけど、私YesもNoも言ってないわよー
モコ: なんか面白いからいいじゃないですか?ちなみに、リサさんはどっちが勝つと思います?
リサ: そんなの、分かる訳ないじゃない!
ジェイ: じゃあ…どっちに勝ってほしいんだ?リサ・サダクビア
リサ: え!!どうしてジェイさんがそれを…?
ジェイ: 一応、二国間関門審査官だからな。隣国のことくらいは把握している
モコ: わお。じゃあ僕達本当に逮捕されちゃうの?
リサ: そうなっても、おかしくはないかもね
ジェイ: …答えを聞かせてもらおうか
クゥ: 勝手に自分のものだと思ってるんだろー!そんなことないんだからな!絶対私のものにしてやるんだから!
ケイ: クゥ…?あなたの言葉で、一つだけ訂正させてください
リサ: …そんなの、決まってるじゃない
ケイ: リサさんは、ものなんかじゃありません。僕の大切な『人』です。…だから、クゥには絶対!渡しませんよ!!
モコ: いや~!それにしてもよかったよかった
リサ: 何よいきなり
モコ: いやだって、僕達こっちの世界で言う魔女みたいなもんじゃないですか。絶対追放されるーって思ったんですもん
リサ: でも私達悪いことしてないじゃない?モコはどうかはしらないけど
モコ: 僕だって悪いことなんかしてませんよ!多分!!
リサ: その『多分』が怪しい
モコ: 細かいことは気にしない♪
リサ: はぁ…。それにしても…ケイさん今日はお疲れ様
ケイ: 色々二人にはご迷惑をかけてしまって、すみませんでした
モコ: 迷惑だなんてとんでもなーい!ケイさんの意外な一面が見れて、非常に有意義な一日でしたよ!
リサ: 私も、ケイさんの友達と会えて楽しかったし、そんなあやまらないで
モコ: そうだよー!ジェイって人は怖かったけど、僕達のこと見逃してくれたし、案外優しかったし。
クゥって人は、リサさんのことが好きって言い出した時びっくりしたけど、ケイさんのおかげでどうにか落ち着いたみたいだし
リサ: クゥさんは最後泣いちゃって大変だったけど、でもどこにもケガしてなくてよかったよ
モコ: ケイさんの寸止めの眼前パンチ…あんなの見せられたら、誰でも泣いちゃうと思うよ?
ケイ: 色々と醜態を見せてしまいましたね
モコ: でーも、それは全部リサさんのため、ですよね?
ケイ: それは…
リサ: あ~!!ケイさん、これ!!
ケイ: え?
リサ: クゥさんとジェイさん、忘れていってる
モコ: ほんとだー。これを直しにきたのに、忘れてくなんて、うっかりしてるなー
リサ: きれいに直ってるね。クウさんとジェイさんに挟まれてるのがケイさんかー
ケイ: 随分昔のことのように感じるな…
モコ: 久しぶりの再会、どうでしたか?何か変わってましたか?
ケイ: え?
モコ: ジェイさんがね。ケイさんと会う前に、最近のケイさんの様子はどうか、とか。
何か困ってることはないのか、とか、色々聞いてきたんですよ
ケイ: ジェイが?
モコ: クゥさんの件で、会うのが少し気まずかったとかで…でも今日の様子を見て、僕も安心しました。
いい友達ですね、お二人共。多分、ジェイさん…僕たちのこと本当は全部分かってたんじゃないのかなー?
あ…もしかして、写真を直しにきたんじゃなくて…、三人の関係を戻したかったのかもしれませんね
ケイ: …そうかもしれませんね
モコ: まー戻すも何も、元々壊れてなかったんだし、何にせよ、僕達も追い出されないで済んでホッとしましたよ!
今日は一日お疲れ様でした、ケイさん♪それじゃ僕は我が家に帰りますー
ケイ: 色々ありがとうございました、モコさん
モコ: いえいえ♪それでは、また明日♪
リサ: …ケイさん
ケイ: リサさん、どうかした?
リサ: なんか、私のことで…あんな風にケンカみたいになっちゃって…。
今度クゥさんと会うの気まずくならない?
ケイ: それは…
ジェイ: これで満足か?クゥ
クゥ: 満足なわけないじゃーん!リサさん彼女にしようと思ったのに、ケイに負けちゃうしさー。
相変わらずキレッキレの動きしてるしさー、嫌んなっちゃう!
ジェイ: 昔も、一度もケイに勝てたことなんてなかっただろう?
クゥ: それはまだ私が本気を出していないだけで
ジェイ: 今日も本気出してなかったのか?
クゥ: …そうじゃないけど…あああもう!くやしーー!!
ジェイ: それは、残念だったな
クゥ: ジェイ、全然気持ちこもってないよ、その台詞。まーいーけどねー別にー
ジェイ: そう拗ねるな。…そういえば、あの写真はどこにやった?
クゥ: あ…
ジェイ: 忘れたのか
クゥ: うん。でもいいんだ。本当に直したかったものは、もうちゃんと直ったからー
ジェイ: そうか…ならいいんだ
クゥ: ねぇ?ジェイ
ジェイ: なんだ?
クゥ: リサさんが本当に悪い魔女だったら、ジェイはどうしてたの?
ジェイ: それは、もちろん、追い出してただろうな
クゥ: 国のため?それとも、ケイのため?
ジェイ: どちらもだ
クゥ: どちらも、だなんて、その答え方はずっるいなー!
ジェイ: 俺はクゥもケイも、どちらも俺の大事な友人だと思ってる。これは間違いか?
クゥ: …そんなの何も言い返せる訳ないじゃん
ジェイ: お前が心配するほど、俺たちは薄っぺらい友人関係じゃないと思うぞ
クゥ: もー…ジェイはさ、私が、こんな、皆に迷惑ばっかりかけたりしてるのに、優し過ぎだよ
ジェイ: 確かに、お前のホラ吹き癖には毎回呆れさせられているが
クゥ: やっぱり…
ジェイ: でも、そういう不器用なところも、俺とケイみたいな、頭が凝り固まった人間には、不思議と過ごしやすいんだよ。もっと自信をもて
クゥ: それって、ほめられてないような気が…
ジェイ: まぁ深く気にするな。俺はお前と一緒に居て、十分楽しませてもらってる。
おそらく、ケイも俺と同じだ。お前はそうじゃないのか?
クゥ: え?
ジェイ: クゥは、俺とケイと一緒に居ても、楽しくないのか?
クゥ: それは…
ケイ: 大丈夫ですよ、クゥは
クゥ: 二人と居た方が、楽しいに決まってるじゃん
ケイ: それに僕達は、そう簡単に壊れる関係じゃありませんから
クゥ: ジェイとケイが私から離れるって言っても、私は絶対離さないから!だって…
ケイ: だから心配する必要はないんです
クゥ: だって私達は、友達の中の友達。唯一無二の親友だもん!
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